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ご自慢の眼鏡を指紋でベタベタに…募る夫への不満、妻の“報復”は十人十色

  • 2020.12.10
夫への不満、妻はどう発散?
夫への不満、妻はどう発散?

どれだけ円満な夫婦でも、さまざまなあつれきや葛藤を抱えている、あるいは乗り越えてきているものです。不満に思った点を話し合えれば、関係は改善に向かう可能性がありますが、夫婦のどちらか、特に妻の側が黙って我慢している例が少なくありません。彼女たちが胸の内にわだかまった不満をどのように解消しているのか、いくつかのケースを紹介したいと思います。

ネットには過激な報復の数々…

不満の発散法としてスタンダードなのはやはり、愚痴を吐き出すことでしょう。誰かに話を聞いてもらうだけで気持ちはかなり楽になります。

夫に対する愚痴はネットをにぎわせるトピックの一つで、例えば「旦那デスノート」という書籍化されたこともある人気サイトは夫への憎しみを募らせた妻たちによって、日夜、盛り上がっています。最近では「#世界一役に立たない旦那の行動」というハッシュタグがツイッターのトレンド入りをしていました。

ネットで見られる妻の報復でスタンダードなものは「夫の歯ブラシで便器を磨く」「夫が車を運転する前に眠気を誘う成分を含む頭痛薬を食事に入れる」など、なかなかにすさまじいものが目立ちます。より過激なものが求められがちな、ネットならではの傾向が表れているといえるかもしれません。

筆者が実際に会って話を聞くと、報復といってももう少し穏やかで「夫の不在時、子どもとおいしいものを食べにいく。食事代が1人分節約できてお得感もある」(35歳女性)、「一緒に出掛けるときは全力でおしゃれをして、夫のみすぼらしさを際立たせられるように心掛けている」(38歳女性)といった具合で、ネットにあるような“殺意”をにおわせるものはあまりありません。

そうした中で、特にかわいらしい“報復”を聞かせてくれたのがAさん(40歳女性)です。

「昔から、夫は謝るのが苦手で、自分に非があることでも謝罪の代わりに言い訳か逆ギレをします。あるとき、子どもの保育園の送り迎えを巡って夫に注意すると、お得意の逆ギレがあって、本当に腹が立ちました」(Aさん)

夫に対するいら立ちを静められないまま、Aさんは「明日も仕事だし、とにかく、翌日に備えて寝なければ」と洗面所に向かいました。そこには夫が愛用する黒縁眼鏡が置いてあったのです。夫のトレードマークともいえるアイテムで、それが目に入った瞬間、普段、温厚なはずのAさんが「眼鏡をたたき壊したい!」という破壊衝動に駆られました。

自分の意思とは関係なく、眼鏡をガッとわしづかみにして振り上げたAさんでしたが、そこで「本当に壊すのはやりすぎかな…」とふと、われに返ります。しかし、怒りが消えたわけではありません。Aさんは鬼の形相で眼鏡のレンズに指をこすり付けて、思い切り指紋を付けました。翌朝、ベタベタに汚れた眼鏡を必死に拭く夫の姿を想像しながら。

「夫に対して陰で何かしたことはなかったので心底、『ざまあみろ!』という気分になりました。翌朝、冷静になってから、『しょうもないことしたし、しょうもないことで満足を覚えたものだな』と思いましたが」

その後、夫婦間で何かいさかいがあっても、Aさんが夫の眼鏡に手を出すことはありませんでしたが、Aさんは「何かあったら、いつでもおまえのメガネを汚してやるぞ!」と思い、日々を過ごしているそうです。

義理の母を味方につける

愚痴を言うことや陰で夫に報復することは、募る不満を発散させるという点では非常に効果的ですが、対症療法的で、根本的な問題の解決にはなりません。しかし、報復であっても改善を促すことを目的とすれば、その限りではなくなります。例えば、次のようなケースです。

「夫に何度注意しても洗濯物を脱ぎ散らかす癖が直らないので、私が拾って洗濯機に入れるのはやめることにしました。夫の洗濯物は発見次第、足で部屋や廊下の隅に寄せておきます。夫の着替えが足りなくなって、文句を言ってきても、『洗ってほしいなら洗濯機に入れて!』の一点張りで通しました。

それを続けて、やっと、夫が自分の洗濯物は自分で洗濯機に入れるようになりました。ただ、脱ぎ散らす癖が完全になくなったわけではないので、たまに『着替えが足りない』と騒いでいることがあります」(Bさん、38歳女性)

厳しめの措置で夫の学習を促すやり方です。他に、外堀から埋めていくやり方も有効なようです。

「私は義理のお母さんと仲がよく、お母さんはいつも『息子の至らないところはないか』と私を心配してくれます。夫に不満があるときはまず、お母さんに相談するようにしています。改善を願うのが半分、『お母さんに叱られてしまえ』という気持ちが半分です」(Cさん、29歳女性)

夫との直接対決を避けるのがこの方法のミソです。夫の評判を下げて社会的にダメージを与えるだけなら、ただの報復にとどまりますが、第三者の協力を得て改善を目指すことが可能なら、不満の根本原因をなくすことができるかもしれません。

とはいえ、原因の解決に向けた行動だけが、結婚生活において前向きなものだということもないでしょう。愚痴や陰での報復も、結婚生活をうまく成り立たせるためには極めて有益な方策という考え方もあります。

解決の糸口を探るも、どうしても見つけられず心が折れた妻、あるいは夫は実に多くいるでしょうし、愚痴の発散ではカバーしきれなくなって、離婚を選択するなら、それも一つの解決策に違いありません。

筆者も一人の夫として、妻に陰で報復をされてしまうようなことがないか、改めて自分の生活態度を振り返り、考えさせられました。

フリーライター 武藤弘樹

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