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『モンスター・ハンター』アジア系差別表現を削除、中国では1日で公開中止に

  • 2020.12.7
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ハリウッド映画版『モンスター・ハンター』で大きな問題となっていたアジア系差別表現が、取り除かれることが発表された。(フロントロウ編集部)

『モンスター・ハンター』にアジア系差別表現

カプコンによる日本発の世界的大ヒットゲーム『モンスター・ハンター』シリーズが、映画『バイオハザード』シリーズのポール・W・S・アンダーソン監督とミラ・ジョヴォヴィッチ主演で実写映画化された。

本作は他の国々に先がけて12月3日に中国で公開されたのだけれど、作中のあるシーンが大きな問題となっている。それは白人とアジア系の2人の兵士が話すシーンで、こんなやり取りを聞くことになる。

「このニーズ(ひざ)は何?」「チャイニーズ!」

これは、アメリカで昔からある差別的表現が基となっていると言われている。“ニーズ”で終わる言葉を並べ、中国人と日本人の外見をバカにするもので、「中国人、日本人、汚いひざ、これを見て/チャイニーズ、ジャパニーズ、ダーティーニーズ、ルックアットディーズ」と歌いながら、「中国人、日本人」の部分を歌う時には指で目を引っ張り、「これを見て」の部分を歌う時には胸を触ってアジア系女性の体型をバカにするもの。

また、このシーンの中国語字幕も、批判をさらに大きなものとした。このシーンの字幕では、男性は尊厳を持って簡単に膝をつくべきではないという中国の口語を引用しており、中国人という件には触れられておらず、「男はひざの下に金を持っている。天国と母親にしかひざをつきはしない」といった意味の字幕となっていたと、米Varietyは伝えている。それによってアメリカの人種差別に対する別の角度からの批判もあがることになり、インターネット上では、「あなたのひざの下に誰がいるって?中国人?」「このひざはなに?(白人警官にひざで首を押さえつけられて死亡した黒人の)フロイド、息はできる?」といった批判も確認された。

このシーンが原因で、中国では公開から1日で公開中止が決定された。また、アメリカの多くの映画メディアも、2020年にこのようなあからさまな差別表現が使用されたことに驚きを隠せないといった様子で報じている。

制作会社がコメント、作品からシーンを削除

画像: ポール・W・S・アンダーソン監督
ポール・W・S・アンダーソン監督

これを受けて、『モンスター・ハンター』の制作を担当したプロダクションのうちの1つであるドイツの企業が、声明文を発表。また、作中から該当のシーンが削除されることが発表された。

「映画の初めに含まれたセリフについて、中国の観客に真摯に謝罪します。中国系の方を差別したり、侮辱したり、怒らせるつもりはまったくありませんでした。弊社は中国の観客から出た意見を聞き、不注意にも誤解を引き起こしてしまったセリフを削除いたしました」

本作でメガホンを取ったアンダーソン監督といえば、これまたカプコンによる『バイオハザード』シリーズの映画シリーズを大成功させた人物であり、元々はゲーム『モンスター・ハンター』の大ファン。そして10年前に『モンスター・ハンター』の映画化をカプコンに持ちかけたことを明かしており、カプコンが作り上げた世界観に敬意を持ち、映画化にあたっては正義を貫くことへのプレッシャーがあったと、ニューヨークコミコンで話している。この件に関して監督からのコメントはまだない。

中国で『モンスター・ハンター』が再上演されるかどうかは不明。現在、中国はアメリカに次ぐ第2の規模のマーケットとなっているため、これは作品の興行成績にもかなりの痛手となると見られる。(フロントロウ編集部)

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