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中学受験生の娘を援護射撃したい! 第1志望校の「全ての説明会と学校行事」に通った母の努力は報われたのか?

  • 2020.11.30
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“親子の受験”といわれる中学受験。思春期に差し掛かった子どもと親が二人三脚で挑む受験は、さまざまなすったもんだもあり、一筋縄ではいかないらしい。中学受験から見えてくる親子関係を、『偏差値30からの中学受験シリーズ』(学研)などの著書で知られ、長年中学受験を取材し続けてきた鳥居りんこ氏がつづる。

中学受験生の娘を援護射撃したい! 第1志望校の「全ての説明会と学校行事」に通った母の努力は報われたのか?の画像1
写真ACより

現在、各中高一貫校では、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止に十分に配慮した形で、生の学校説明会を実施している。ある学校の11月下旬の学校説明会では800人限定という人数制限ではあったが、アッという間に予約が満杯になったと聞いている。実際にライブで聞く説明会はリモートでは得られないものがあるのだろうなと思っている。

今年はコロナ禍での受験になるので、例年とは違うことがたくさん出てくることが予想されている。そのため保護者は志望校の最新情報を常にチェックしておく必要があることは言うまでもない。

当たり前ではあるが、学校説明会は(合同説明会を除くと)、その学校で開催されることが普通だ。先述したように多くの学校は予約制。予約を取った上で、学校が指定したその日時に行く必要があるのだが、保護者の中には、これを面倒がる人がいる。

しかし、筆者に言わせれば、学校開催の説明会に行かないというのは結婚相手を釣書と写真だけで決めてしまうようなもので、大変、危険である。つまり偏差値とウェブ情報だけで志望校を決めるのと同じことに思えてしまうからだ。やはり、どんな学校なのかを実際に確かめていくことを強くお勧めしておきたい。これには有形無形のメリットがあるのだが、今回は実際に起こった“よくある”有形のメリットについてお話しよう。

学校説明会のアンケートには、名前を書いて熱い思いをつづった

洋子さん(仮名)と藍ちゃん(仮名)母娘はV女学園をとても気に入り、小5の段階で、早くも第1志望校にしていたという。一方で、洋子さん自身は他校も含めて、偏差値の上下は考えず、通学できる範囲内の学校説明会には足繁く通っていたそうだ。

「偏差値とか大学合格実績という先入観を捨てて、娘に合う学校をと、いろいろな学校を見て回ったのですが、『やはりV女しかない!』って気持ちは募る一方でした。ただ、娘の成績は思うようには上がらず、模試の判定は、V女にはいま一歩届かないという数字が続いていたんです。そこで、どうしたら娘を援護射撃できるのかを考えて、とにかく、V女が公開している全ての学校行事に娘を連れて行きましたし、学校説明会には私が全部参加して、そこで配られるアンケートには必ず名前を書いて、熱い思いをつづってきたのです」

V女学園はいわゆる中堅校に属しているのであるが、上位校の併願に選ばれることの多い歴史と伝統がある人気校。決して簡単に入れるような学校ではない。

実際、近年では上位校で不合格になっている子たちの受け皿にもなっているので、藍ちゃんのように第1志望の子が不利になることもないとはいえないのだ。

そうこうしているうちに、いよいよ、藍ちゃんの入試本番が始まった。V女学園の入試のチャンスは3回。ところが、藍ちゃんは健闘虚しく、3回とも不合格になってしまったという。

「V女に恋焦がれている娘を落として、こともあろうにV女を小バカにしていた花音ちゃん(仮名)が合格して、進学することを決めたって知った時には、本当に悲しかったです。花音ちゃんママが『一度も行ったことがない学校に行く羽目になって……』と言っているのを、偶然耳にしちゃって。『それなら、ウチにその権利を譲ってよ! ウチはV女命でやってきたのに!』って涙が止まらなかったです」 と洋子さんは当時の悔しさを振り返ってくれた。

V女学園から突然の電話……「思い出したら、また涙が」

しかし、その日から数日が過ぎた頃、洋子さんの携帯が鳴ったという。それは、V女学園からの繰り上げ合格の連絡だった。

V女学園は昔から、第1志望である子をとても大切にしている。学校の教育方針を理解してくれている家庭の息女に来てもらいたいという願いがあるのだ。

もちろん、定員ありきの選抜試験。成績上位の子たちから合格を出すシステムに違いはないが、何十人もいる補欠合格者から繰り上げ合格を出すのであれば、学校を愛してくれているご家庭を優先しているという。

「その時、先生が私にこう言ってくださったんです。『何度も何度も本校にお越しくださっていたこと、承知しておりましたよ。感謝しております。この度、本校に藍さんをお迎えすることができ、私共は本当にうれしく思っています。心からおめでとうございます』って。私は、もう号泣してしまって……。いやだ、思い出したら、また涙が……」

洋子さんと藍ちゃんは、何年もV女学園を熱望していただけに、先生の中にはすでに顔見知りの人も複数いたといい、その入学式は「まるで実家に帰って来たみたい」な感覚だったそうだ。

藍ちゃんは現在、中学3年生。学校が楽しくて仕方ないそうで、V女学園が大切にしているボランティア活動にも励んでいる日々だという。志望校には必ず足を運んで、どのような学校なのかをその目でちゃんと確かめる。そして学校側にその思いを伝える……それもまた中学受験では重要なことといえると思う。

鳥居りんこ(とりい・りんこ)
エッセイスト、教育・子育てアドバイザー、受験カウンセラー、介護アドバイザー。我が子と二人三脚で中学受験に挑んだ実体験をもとにした『偏差値30からの中学受験シリーズ』(学研)などで知られ、長年、中学受験の取材し続けている。その他、子育て、夫婦関係、介護など、特に女性を悩ませる問題について執筆活動を展開。

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