1. トップ
  2. 恋愛
  3. モラハラ男性はなぜモラハラするの?解決法は?【ひとみしょうの男ってじつは】

モラハラ男性はなぜモラハラするの?解決法は?【ひとみしょうの男ってじつは】

  • 2020.11.26
  • 2119 views

今回はモラハラ男性について、一緒に見ていきたいと思います。

彼女(妻)に暴言を吐くとか、とことん貶める、相手の言い分を認めない、束縛する、気分次第で急に怒り出すなどの行為をモラハラと呼びますね。

まずは、そのモラハラをはたらく男性のホンネについて、以下に一緒に見ていきましょう。

自分の人生に絶望している

彼女にモラハラをはたらく男というのは、彼女になにか決定的な不満があるわけではなく、端的に、自分の人生に絶望しているのです。言い方を換えれば、自分の人生に、自分なりに希望を見出せていないのです。いとしの彼女が隣にいるにもかかわらず、彼は絶望の中に暮らしているのです。

つまり、モラハラ男性を分析するとは、端的に、怒りの感情を分析することと同じなのです。

人は、自分の人生に絶望した時に怒ります。もちろん怒らない人もいますね。「ああ、わたしの人生はこの程度のものなのか、まあしかたないわ。とりあえず彼氏とエッチして寝よ」こう思う「心穏やかな」女性って、わりといますよね?

でもそう思える男性は、女子に比べて少ない。多くの男性は、彼女のことが嫌いじゃなくても、自分の人生に絶望しているというだけで怒ります。そしてその怒りをもっとも身近な人、つまり彼女(奥さん)にぶつけます。

別の人間になりたいと思ってもなれない、そのなれなさに反抗している

彼が自分の人生に絶望しているというのは、別の言い方をすれば、彼が「別の人間」になりたいと思っているということです。あるいは「ここではないどこか」で暮らしたいと思っているということです。

繰り返しになりますが、彼は彼女のことが嫌いだから別の人間になりたいと思っているのではありません。また、彼女のことが嫌いだから、ここではないどこかへ行きたいと思っているわけでもありません。

彼は「今の自分」が嫌いだから、別の人間になりたいと思います。また、ここではないどこかへ行きたいと思います。

さて、ではなぜ、別の人間になりたいと思えば、モラハラをはたらくのでしょうか。

答えは「別の人間になりたいと思ってもなれない、そのなれなさ」に対して、彼が反抗しているからです。

人って、たとえば「こんな安月給で、しかもブラック企業で働くしかない自分」ではない「別の自分」になりたいと思っても、すぐにはなれないですよね?その「なれなさ」に彼は反抗するのです。その反抗がモラハラとなって現れるのです。

ではなぜ、反抗がモラハラという「他人を巻き込む形」で現れるのでしょうか。

彼が「自分の正しさ」を証明したいと思っているから

その答えは「彼が<自分の正しさ>を誰かに証明してみせたいと思っているから」です。

彼が「別の自分」になりたいと思う、その「別の自分」とは、彼にとっては根も葉もない、夢のような「なりたい自分」ではないのです。彼は「本当は自分はこうあるべきだ、こう生きるべきだ(こうありたい・こう生きたい)」というのを「知って」いるのです。

その「本当は」を、彼は誰かにわかってもらいたいのです。

たとえば、彼のもっとも身近な存在である彼女に、「自分は本当は、もっとバリバリ仕事をしてガンガンお金を稼げる男である」ことをわかってもらいたいのです。

と書くと、「彼が言う<本当の自分>が、根も葉もない夢物語ではない根拠はなに?」と思う人も出てくるでしょう。

その根拠とは、「彼はじつは自分がこの世に生まれてきた使命を知っている(が、今現在においてそれを体現できない)」ということです。

モラハラとは逆説的な愛情表現だから解決が困難なのです

モラハラをはたらく男性に限らず、あなたもわたしもみんな、自分がなにをするために(どう生きるために)この世に生まれてきたのかを、「じつは」知っています。その知っていることに意識的ではない(あるいは知っていることを言語化できない)人も含め、みなさんじつは知っています。その「知っている自分」を、みなさん「理想の自分」と呼んでいるのです。

その理想の自分と、現在の「こうあるしかない自分」の乖離(へだたり・差異)が大きければ大きいほど、怒りの感情が生まれやすいのです。

そして、人によっては(男はとくに)怒りをあらわにするのです。自分の「正当性」を誰かに知ってもらいたくて。

つまり、モラハラとは、逆説的な愛情表現なのです。だから解決が困難なのです。

というようなことをもっと具体的にお知りになりたい方は、拙著『自分を愛する方法』(玄文社)をお読みください。その元ネタはキルケゴールという哲学者が書いた『死に至る病』です(本稿は、その『死に至る病』の117ページから129ページを参考にしました(鈴木祐丞訳/講談社/2017))。

よかったら参考になさってください。

(ひとみしょう/作家・コラムニスト)

元記事で読む
の記事をもっとみる