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男性もメイクをする時代へ。美容大国・韓国発コスメ『LAKA』が提案する「新しい美意識」

  • 2020.11.20
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90年代に青春を過ごした大人たちのファッションの入り口がアメカジだったように、今の世代はK-POPや韓国ドラマから装いのインスピレーションを受け、自らの装いに取り入れている。彼らが憧れるスターたちはファンデーションやアイシャドウ、そしてリップと女性と変わらないメイクアップを施し、それは無意識に“女性のもの”と思い込んでいたメイクや美容にも少なからず影響を及ばしている。今回はそんな美容大国韓国で急成長を見せ、日本展開も始まったばかりのジェンダーニュートラルコスメブランド、「LAKA(ラカ)」に、ブランドを取り巻く環境や変化し続ける美意識について話を訊いた。

韓国では男女関係なくメイクをすることが始まっている

「シャネル」から男性用のコスメラインが登場したのが、2018年の秋のこと。世界初のローンチ国となったのは、本国フランスではなく、韓国であり、このことは韓国がどの国よりもメンズメイクが浸透していることを印象付けた。ラグジュアリーブランドが目を付けるほどの、韓国の進んだ男性美容市場。なかでもアイテムをジェンダーでカテゴライズせず、ジェンダーニュートラルを掲げた新しいアプローチが光るコスメティックブランドが「LAKA」だ。このようなブランドが生まれた背景には、韓国に根付くいくつかの文化があると、「LAKA」のPRを担当するI-ne広報の田部井さんさんはいう。

「韓国は日本よりも男性がメイクに対しての意識が強い国。今の日本でもスキンケアのジャンルから少しずつ変わってきているかもしれませんが、スーパーやドラックストアにメンズ用のコスメが並んでいるのが普通なんです。なので、男性が日常でメイクをすることに抵抗感がなく文化として浸透しているんですよね」

続けて田部井さんは、このように日常にコスメティックがある環境は、競争社会を生き抜くのに欠かせない要素である「見た目」を意識する文化が、男性の美に対する価値観に影響しているのではないかという。

「見た目に対する意識が高い国なので、必然的に、スキンケアやメイクアップの需要はずっとありました。就職=生活に関わることなので、学歴などと同じように見た目も磨く必要があるのかもしれません。特に肌作りには熱心で、10代の頃からスキンケアをするのが当たり前だったりします」

こちらが男性から人気の高いアイテム。(右下から順に)LAKA ジャストアイパレット 06.TANGERINE ¥2,860、ソフトライティング カバークッション 全4色 ¥3,520、ジャストチーク 01.MARS ¥1,980、ジャストアイシャドウ 03.MATTHEW ¥1,430、シンスティーラー UVファンデーション 全8色 ¥3,520、スムースマットリップティント 05.LIB ¥1,815、ウォータリーシアーリップスティック 06.LEONARD、03.MAURICE 各¥1,980(すべて税込価格)Harumari Inc.

「♯MLBB」が象徴する、自分を活かすのが美しいという価値観

スキンケア、メイクともに男性たちの日常に溶け込んだ韓国において、数シーズン前からトレンドインしているのが「My Lips But Better(本来の唇の色をより美しく)」という言葉だ。“素の唇に近く、より唇の色をきれいに見せてくれるナチュラルな色が見直され、よりナチュラルに自分を活かすメイクアップが求められている。

「LAKA」のカラーラインナップは、そんな時代の美意識がうまく反映されている。ファンデーションひとつとっても、明るい色から暗い色まで通常のコスメブランドより色味に幅があり、性別や肌色などにかかわらずどんな人にも使って欲しいという、ブランドの意思を感じることができる。さらに、アイシャドウやリップなどを試してみると、肌にのせたときの色の出方にも工夫が凝らされている、とバイイングを担当するI-ne鳥羽さん。

「肌に溶け込むような澄んだ発色と肌にのせたときに全てのカラーが、薄付きなのが『LAKA』の大きな特徴です。これは自分の好みで色の調整をしてもらうため。色の開発も発色を薄く、できるだけ無色に近づけて欲しいというリクエストをしていると聞きます。商品の色の良さに説得されて自然に使ってもらえるようになるのが理想です」

このメイクをやっているか、やっていないかがさり気ない点は、男性からも好評とのこと。ひと塗りでしっかり密着するメイクを行うのはメイクに慣れていないとなかなか難しいが、やり直しも利く薄い色味というのはこれからメイクを始める男性にも大きなメリットになりそうだ。

写真のように2、3回色を重ねることで、パレットのカラー見たままの発色になる。Harumari Inc.

男女が対等に並ぶビジュアル作り

もう1点、「LAKA」が今の美容業界の動向に影響を与えたと鑑みられるのが、ジェンダーニュートラルというコンセプトに基づいたイメージビジュアルの作り方だ。今シーズンを境に、ビューティ市場のメインビジュアルは男性と女性のモデルに起用したものに少しずつシフトしつつあるが、2018年のローンチ時から男女が対等に登場するビジュアルの見せ方はまぎれもなく「LAKA」が先駆けであった。

「いわゆるこれまでのメイクブランドですと、女性がメインで出演して男性は横にいるようなビジュアルが多いのですが、『LAKA』ではあくまで対等の立場でみせています。例えば1人のショットで写っているものも、男女で同じようなメイクをして交互に出演するなど、ブランドとして計算しながら作っています」

美しいは誰かの自由の尊重である

日本では2019年の12月から国内展開が始まった「LAKA」。男性のスキンケアが身近なものになった一方で、メイクにおいてはまだまだハードルの高さを感じていると鳥羽さん。

「例えばファンデーションなら、購入者の3割が男性というデータが出ているのが韓国。まだまだそこには追いつけないですが、量販店でも取り扱いが増えたりと、少しずつ時代が変わってきているのも感じています。自分らしさを表現するために、そして色んな人の趣味やジェンダーについて考えるきっかけとして、手に取ってもらえたらいいなと思います」

髭を整えたりヘアセットの延長で、本来自分をよりよく見せるための手段のひとつであるメイクアップ。そのような自由な自己表現は、自由の尊重にもなる。メイクにおける男女に共有する“美しい”の価値観は、そんな方向に向かっているのかもしれない。

お話を聞いたのは

(左から順に)LAKAを担当するI-ne広報 田部井 亜津沙さん、I-neバイイング担当 鳥羽朝子さんHarumari Inc.

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撮影:浦 将志

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