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実際に「PTA」から「PTO」に改革した嶺町小学校のエピソード

  • 2015.5.21
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【ママからのご相談】

小学5年生の息子がいます。4月のクラス懇談会でじゃんけんに負けてしまい、PTA役員になってしまいました。まだ具体的な活動は始まっていませんが、憂鬱で仕方がありません。どうしてPTAをなくせないのでしょうか。

●A. PTAを大改革した実例アリ! みんなで行動すれば改革可能です!

こんにちは、今年は数年ぶりにPTAの役員ではなくなった、ライターの川中利恵です。

毎年4月、懇談会の時期が訪れるたびにママたちが戦々恐々とするPTA。私が住む地域は働いているママが多いためか、負担はさほどではなく、“できる範囲”での活動が可能です。

委員や役員を引き受ければ、学校の内部が見えるため、それなりに楽しいのものです。しかし、やはり強制感が付きまとうせいか、やりたがる方はほぼいない状況です。PTAに関する悩みが絶えない状況が続く中、これはおそらくどの地域でもそうなのだろうなと推測できます。

●PTAの価値観は変容しつつある

仕事で懇談会に出席できなかった私のもとへ、20時近くにクラス代表の方が、「役員をやってくれる人がいないと帰れない」と泣きそうな声の電話がかかってきたことがありました。あまりにも気の毒で、「あまり活動する時間は取れないかもしれないけど」と役員を引き受けています。これは、私個人の体験のほんの一例です。

本来、PTAとは、任意ボランティア団体であり、親と教師がつながりを持って協力し合い、家庭と学校と社会における子どもの健全な成長を図るためにあります。実際に、教育充実のための諸活動を全国規模で行い、日教組のスト回避を実現したり、給食の内容を改善したりと、さまざまな活動を行ってきました。

しかし、戦後に発足して年月が経つうちに、“ボランティア団体”であるという重要な理念が抜け落ちてしまい、親たちも何のためにPTAがあるのかよく理解できていないまま、強制的な加入・活動を強いられるという謎の団体になってしまった地域が多々あるようです。

実際に、ひとり親家庭で終日働いていたり、介護などで家を空けられなかったりする人も強制参加させられる……と、ママたちにとって、PTAはすっかり恐怖の対象に陥りつつあります。

●“ボランティア団体”という原点に返る

「PTAは不要か?」という議論があります。私は、その質問に明確な答えを出すことはできません。なぜなら、確実に子どものためになっている活動もあるためです。

いずれにせよ、高度成長期やバブルを経て、世帯収入が減少し、少子高齢化が進む中、父親だけが働き、母親が専業主婦でいられる家庭も激減しています。戦後設立されたPTAのあり方や活動方法が、すでに時代にそぐわなくなっているものとなっていることは確かです。

必要でないもの、必要なものを区分けして、「これまではこうしていた」という前例を壊して新たに構築してゆく作業が必要でしょう。しかし、そのためには、誰かが声を発しなければなりません。

それを実践したのが、大田区立嶺町小学校です。平成25年度まであったPTAを解体し、お試しPTOを経て、平成27年度より“PTO”として子どもたちの日常を支える活動を“完全ボランティア制”で行うことを実現しています。

●仲間を作ってPTAにメスを!

同小の、“PTOについて”のサイトには、以下の記述があります。

**********

活動は「できるときに、できる人が、できることをやる」が基本です。

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これは本来、任意ボランティア団体でもあるPTAの理念でもあるはずなのですが、あらためてPTOの理念として明言しています。1年間のお試し期間中、この理念で子どもたちのサポートが実現できたからこそのPTO発足でした。

ただし、これまでの前例を打ち破るためには、計画性とパワーが必要でしょう。日本人は良くも悪くも、前例のないことに取り組む人をたたく傾向があるためです。

同小の改革は、人気小説、『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら』(岩崎夏海・著)を参考に進められたそうです。理論的かつ理性的に進めた改革であれば、必ず理念を共有できる仲間ができるはずです。

もし現状に問題があると感じるのであれば、やはり自ら立ち上がり、改革するしかありません。ぜひ、“もしドラPTA”の活動を参考にしてみてください。全国の公立小中学校が大田区立嶺町小学校に続けば、おそらくPTOが全国的な標準になるのではないかなと思いますし、そうなることを心から祈っています。

【参考リンク】

・PTOについて | 東京都大田区立嶺町小学校PTO

●ライター/川中利恵(在宅ワーカー)

IT系からインタビュー、コラムなど雑多なジャンルの執筆を手がける在宅ワーカー。21歳のときにデキ婚し、2児に恵まれるも26歳で離婚。以降、女手一つで子どもたちを育てつつ、現在に至る。都内開催の一人親家庭支援や在宅ワーク系セミナーで壇上に立つことも。子どもたちとは少し遠くから見守るスタンスで、それが結構面白い。ポリシーは、「やりたいことがあるなら時間を作ればいいじゃない!」

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