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感染防止対策も万全。琉球ガラスづくりで感じる沖縄の風

  • 2020.10.22

鮮やかな色合いと、再生の過程で混入する気泡が特徴の琉球ガラス。沖縄の自然を思わせる美しいガラス作品は、沖縄のお土産としても人気が高い。そんな琉球ガラスの作家であり、名護市で工房とショップを運営する「グラスアート藍」の寿 紗代さんに、コロナ禍での店の状況を伺った。

琉球ガラス工房「グラスアート藍」は、名護市の郊外、中山地区にある。沖縄に魅せられ、母親とともに県外から移住した寿 紗代さんが1998年に創業し、2010年、この地に工房をオープンした。

琉球ガラスとはもともと、米軍統治時代の沖縄で、米軍関係者が沖縄本島内のガラス工房に海外の製品のような洋風のガラス工芸品をオーダーするようになったのがきっかけだった。

当時の米軍関係者がカラフルな色使いを好み、その後日本人観光客にみやげ品として広まるようになってからも、南国らしさを表現するためにカラフルな色使いが多かった琉球ガラスだが、寿さんは「沖縄の風景や自然を、ガラスに写し取りたい」という思いで透明感のある淡い色合いや柄を取り入れており、人気を集めている。

「グラスアート藍」には、琉球ガラス作りを体験できる体験工房も設けられていて、こちらも人気がある。オプションで柄を入れることができるので、自分だけの琉球ガラスが作れるのだ。

沖縄の思い出作りにぴったりの工房。それが故に、コロナ禍の影響は大きかったと、寿さんは語る。

「4月頃からお客様の数がかなり減りました。感染が落ち着いた7月前半は前年に比べて7割というところまで回復していましたが、再拡大の影響で体験予約のキャンセルが多く、8月は前年比3割まで減ってしまいました。もともと来店するお客様はほとんどが県外からの方だったので、その影響は大きかったです」

厳しい状況の中で助けになったのは、6月に沖縄県内で実施された観光キャンペーン。これを利用して、地元客の来店が増えたという。

「地元の方に琉球ガラスの良さを感じてもらうことができたのはありがたく、嬉しかったですね」

観光でも地元でも、利用してくれるお客さんには、心から楽しんでほしい。そんな思いから、工房では感染防止対策をしっかり実施している。店舗入口での検温の実施やマスク着用のお願い、消毒液やゴム手袋の設置のほか、体験施設ならではの対策も。

「吹きガラスなので、お客様は吹くところを一番気にされます。今は一つひとつマウスピースをつけていて、終わると完全消毒して、また新しいマウスピースをつけています。こうした対応をし始めてから、不安は少なくなったと思います」

熱いガラスに息を吹きかけて膨らませる「吹きガラス体験」では、吹き筒にマウスピースを取り付け、客の入れ替わりの度に取り替えている。また、工房内に入る人数を制限し、感染防止対策の説明も細かく行っている。

「体験を電話で予約される方はその時に、メールで予約された方は前日に電話し、改めて感染予防に対する説明を行い、了承いただいた上で体験いただいています」

こうした工房の気配りにより、訪れた人は笑顔で体験をしてくれると寿さん。そしてお客さんの笑顔は寿さんはじめ、工房の支えになっている。さらにこんな話もしてくれた。

「工房の作品は、オンラインでも販売しています。なかなか沖縄に来られない方が購入してくださって、『沖縄の風を感じた』『自宅が沖縄にあるようだ』と感想をいただき、それも今の励みになっています」

「やんばる」とも称される沖縄本島北部は中南部に比べ、自然が多いうえ、人口密度が高くないところが魅力のひとつ。グラスアート藍でゆっくりとしたひとときを過ごしながら、お気に入りの作品を見つけ、思い出のガラス作りを体験してほしい。(2020年9月11日 午後3時頃 撮影)

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