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世界に誇る観光地・浅草の今とこれから

  • 2020.10.17

東京のみならず、日本を代表する観光地である浅草。世界中から観光客を集める人気の街だ。世界中の観光地と同じように、浅草もこのコロナによるパンデミックに大きな影響を受けた。緊急事態宣言下から、現在の復調傾向はどうなのだろうか。浅草の象徴「浅草寺・雷門」の真向かいに位置する「浅草文化観光センター」で話を伺った。

話を伺ったのは浅草観光文化センターの増田圭佑さん。台東区の施設であるこちらに常駐する台東区観光課の方だ。

ここはいわゆるビジターセンターやインフォメーションセンターといったところ。ボランティアによるガイドツアーの申し込みや、観光スポット・おすすめのグルメ情報などを求め、観光客が観光の合間に足を運ぶ場所だ。年間約120万人が利用する施設となっており、8階の展望フロアからは仲見世通りを見渡せる絶好のビューポイントだ。スカイツリーも同時に眺められる上に無料とあって、トリップアドバイザーでも上位に入る人気のスポットだ。

(展望フロアより)Harumari Inc.

過去最大の盛り上がりのなかでのコロナショック

「この施設は新国立競技場と同じ隈研吾先生の設計で2012年にリニューアルしました。ここ数年は、浅草は観光地としてものすごく盛り上がっていて、2020年は東京オリンピックもあるので、まさに盛り上がりの真っ只中というタイミングでしたね」
街全体も盛り上がってきたなかで、まさかこんなことになるとは誰も想像していなかっただろう。
「1月末くらいから徐々に観光客の数が目に見える形で減り始めました。それから2月、3月と訪日外国人も日本人観光客もどんどん減っていきました」

そして、日本全国に出された緊急事態宣言。
「4月8日〜6月1日までは感染拡大防止のため休館しました。もちろん観光客はいないですし、観光に従事するスタッフも街から消えました。仲見世もほとんどが閉めていましたし、人力車も休業。やっとの思いで再開しました。本当に徐々に、6月、7月、8月と人が増えてきたという感じです」

「コロナ前の浅草といえば、平日でも雨の日でも、雷門前に観光客で溢れかえっていて賑わっているのが当たり前の光景でしたが、現在はあまり遠出というよりも近場の方々に来ていただいていると感じています」
戻ってきてくれた人たちが、少しでも安心安全に過ごせるよう、感染症対策はばっちり行われている。

ソーシャルディスタンスをとるため、館内は一方通行になるよう導線が引かれており、入り口では検温と手指の消毒が求められる。

インフォメーションの受付カウンターでは飛沫防止のガードが設置され、待機列も指定されているので安心だ。

浅草のみならず、こちらへ立ち寄って他の観光地への行き方など、観光全般の相談をすることができる。東京に住んでいても知らない浅草の良いところを教えてくれる貴重な存在だ。対策をきちんととってくれている場所なら安心して立ち寄れるだろう。

今できるのは、“浅草に行きたい”という機運を高める魅力発信

台東区の観光課としては、緊急事態宣言下よりさまざまな取り組みを行なっている。テイクアウトをやっているお店の情報をPRしたり、地元の事業者へのサポートに注力してきた。現在行なっているのは「#たいとう愛」というSNSの投稿キャンペーンだ。
浅草を含め、上野や谷中といった台東区全般の街の情報をInstagramやTwitterで発信しており、#たいとう愛というInstagramのまとめアカウントでは、区内のお店や施設のアカウントを集約している。

「今すぐに浅草にお越しになれない方を含め、改めて良さを知ってほしいです。美味しいお店も多いし、ものづくりなどの老舗も多い。“地元の皆さんと協力をして、台東区の良さ”を改めて発信するということに注力しています。それぞれのお店や施設が行なっている具体的な感染症対策も併せて公開することで、安心安全をPRしています。地元の魅力を発信していくことで落ち着いたら行こうかな、という機運を高めていくことが今は大事かなと考えています。Gotoキャンペーンも始まりますし、できることを最大限やった上で観光客が戻るのを待つといった感じです」

館内の壁スペースには、来館者より口コミ情報が寄せられている。一つひとつどれもが“浅草愛”にあふれている。

確かに東京在住の人間でも浅草に行けばなぜか旅気分を味わえる。7月、8月は近隣の方が旅行代わりに観光していたようだ。

いよいよ10月からは東京もGotoキャンペーンの対象となることが発表されている。
「この(9月の)4連休ではどこの観光地もそうだと思いますが、コロナ後では一番よかったです。やっと賑わった浅草の姿が見られましたが、それでも同日前年比でいうと来館者数は5割くらいという感じでしたし、今後も厳しい状況には変わりないです。今後は密を防ぎながら少しずつ人に来ていただきたいですね」
増田さんの仰る通り、劇的にコロナ前の状況にはもう戻らない。新しい生活様式を保ちながらも、改めて今まで“観光地”としてしか見てこなかった浅草の新たな魅力を発見することで、東京観光を週末のお出かけの選択肢に加えて行きたい。

(2020年9月24日取材・撮影)

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