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スイーツ王国・十勝の人気店「十勝トテッポ工房」のコロナ対策

  • 2020.10.15
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美しいロケーションと商品のナチュラルな素材感で、地元客にも人気の「十勝トテッポ工房」。現在はカフェスペースを商品コーナーに変えるなど、柔軟に対応しながら営業を続けている。コロナ禍での変化と想い、現在の取り組みについて話を聞いた。

緑に囲まれた中に建つ「十勝トテッポ工房」。ここは「とてっぽ通り」と呼ばれ、その名前は1920年から1977年まで走っていた帯広市街地旧十勝鉄道の愛称に由来している。

鉄道は、砂糖の原料となる甜菜(てんさい)を農地から工場へ運んでいた歴史があり、十勝トテッポ工房は、開店以来、その甜菜糖を使ってスイーツを製造している。

2010年のオープンから多くの観光客が訪れていた同店。コロナ禍で、どのような変化があったのだろう。社長の三井邦裕さんと、シェフパティシエの今 稔郁(こん としふみ)さんに話を伺った。

十勝トテッポ工房 三井邦裕 社長Harumari Inc.

「コロナが広がってすぐに店内カフェを休業しました。例年は全国の催事にも出店していましたが、催事がなくなり、4~6月は来客数、売上への影響が顕著でした。GWは、従業員から不安の声が上がったことから休業し、現在も、お客様の感染リスクとともにスタッフのリスクを常に念頭においています」と話してくれた三井さん。

一面窓で心地よい空間だったカフェスペースは、現在休業し、焼き菓子などの商品陳列に使われている。感染対策としては、入店人数を代表1~2名に制限、通路を区切って人の接触リスクを減らし、ショーケースの上にはシールドを設置。従業員はマスクとフェイスシールドを着用している。

「限られた中でも、十勝の素材でおいしい菓子を、という想いは変わりません。今は、地元農家や企業とのコラボ商品、HPリニューアル、LINEでの集客やアプリ開発などに着手しています」

コロナ以前から地元との連携を深めていた同店。コロナ渦でもその動きを止めることなく、より良い店づくりのために前向きに動いている。

店頭には、大手乳業メーカーとコラボした商品、人気カレー店と共同で作ったクッキーが並び、ショーケースには、地元野菜や果物が使われた新商品が輝く。店のまわりには芝生とイングリッシュガーデンが広がり、春には満開の桜が、秋には美しい紅葉も見られる。すぐ横に続く「とてっぽ通り」も気持ちいい散歩コースだ。

「この春夏は、こんな状況下でも、ぼくたちが作るお菓子でほっとひと息ついてもらえたら。少しでも幸せな気持ちになってもらえたら。そんな想いでしたね」と話すのはシェフパティシエの今さん。通常の衛生管理に加え、検温を徹底し、体調への意識を高めた。

シェフパティシエ 今 稔郁さんHarumari Inc.

取材日は毎月10日前後に設けられている「トテッポの日」。地元客を中心に次々と人が訪れていた。Go toトラベルキャンペーンの効果はまだ見えないそうだが、この日、東京ナンバーのバイクの男性が立ち寄っていた。個人旅行客は少しずつ、戻ってきているのかもしれない。
また、十勝トテッポ工房では同日、コロナショック後初となる新潟での催事も始まっており、業界でも、日常が戻ってきているようだ。

できる限りの感染防止対策がなされている「十勝トテッポ工房」。地元で生産される甜菜糖、生乳、野菜、果物を使った優しい菓子が、十勝の自然と、小さな幸せを運んでくれる。(取材日:9月12日)

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