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今話題のインナーに装着するソニーの“着るクーラー”。その実力を実際に試してみた

  • 2020.10.3
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全国的に厳しい猛暑、さらにマスクの着用により不快指数が例年以上に高かったであろう2020年。季節の変わり目やアウトドア時、スポーツ後など、「暑い」「寒い」ことにより体感温度の調整を求める瞬間はもはや夏だけにとどまらず誰しもが求めるものとなりつつある。
そんななか、“着るクーラー”なる商品が登場したとの情報が入ってきた。その名もソニーのインナーウェア装着型ウェアラブルサーモデバイス「REON POCKET」。クーラーを着るという今までにない新たなアイテムを紹介しよう。

ソニーから登場した“着るクーラー”「REON POCKET」

「REON POCKET」は、ソニーのスタートアップの創出と事業運営を支援する「Sony Startup Acceleration Program」から登場した。専用のインナーウェアに装着してセットで使うことで、“着る”ことができるサーモデバイスだ。
昨年の夏にクラウドファウンディングを実施し、1週間で目標額の6,600万円以上を集めるなど話題を集め、今年ついに一般販売がスタートした。
価格は本体が13,000円、専用インナーウェアが1,800円(いずれも税抜価格)。
インナーウェアは、メンズサイズの半袖Vネックのみの展開。S、M、Lの3サイズで、カラーはホワイトとベージュの2色展開となっている。

本体は手のひらサイズの小さなデバイスだ。これを専用インナーウェアの首元にあるポケットに装着し、本体接触部分の体表面を冷やしたり温めたりできるのだという。

基本的に操作はスマートフォンで行う。
まずはスマートフォンに専用アプリをダウンロードし、本体とペアリング。ワイヤレスイヤホンなどと同じ要領で、画面の指示に従いものの15秒ほどで完了……とそう難しいものではない。

アプリ画面はいたってシンプル。
「COOL」と「WARM」の2つのモードから選ぶことができ、それぞれに3段階の温度調整+2分間のBOOSTモードがついている。さらにファンの強さも調整可能だ。取材時はまだ残暑だったため、主に「COOL」でレポートをお届けしよう。

「MY MODE」機能を使えば、COOL5秒、停止20秒を繰り返す……といったように、自分好みの動作を設定できる。

停止時間を組み込めば、当然バッテリーの持続時間も長くなる。シーンに合わせた設定の使い分けが、より快適に使用するコツだ。

手ぶらで叶う、身体の冷却と加熱

実際に、本体を専用インナーウェアに装着してみた。

見た目は当然ながら“肌着”といった印象だが、サラサラとした肌触りで着心地が良い。
今回着用したのはMサイズ/ホワイト。
現状メンズサイズの展開しかないため、身長167cm、普段はMサイズ着用の筆者だと全体的に少しゆとりが出てしまう。
女性はいつもよりひとつ小さめのサイズを選ぶほうが良いかもしれない。
本体をポケットに装着すると、重みで若干インナーが下がる。首元というよりは、背中の上部に本体が当たるイメージ。
とはいえ本体の重さはわずか89gほど。ずっしり感はないのですぐに慣れ、つけていることが気にならなくなる。
「COOL」モードで設定してみると、わずか数秒で本体が冷え始めた。保冷剤や氷枕を押し当てているようなひんやり感が気持ち良い。

本当に外から見えない?さまざまなファッションで検証

機能的なのはわかったが、絶対に譲れないのはやはり見た目。いかにも機能性下着をつけていそうになってしまうのは正直しんどい。ということで、さまざまな洋服にあわせ、見え方などを試していく。
まずはオフィスシーンに欠かせないシャツスタイル。
本体自体の厚みはほとんどわからない。音もほぼ気にならないので、周りの人から指摘されることはなさそうだ。

ただ、今回着用したシャツがゆったりとしたデザインだったこともあり、前面はかなりしっかりインナーウェアが見えてしまった。Vネックなので首元は比較的大きく開いているが、後ろ姿も、上からなど角度によってはインナーがチラチラと覗いてしまう。
ベーシックなワイシャツであればまず問題ないが、女性の間でトレンドの襟抜きシャツや、Vネックなどのデコルテ見せアイテムとあわせるには、それなりにまた重ね着が必要かもしれない。

続いてやや厚手の白いTシャツの下に着てみた。
本体は、斜めの角度からよく見るとやや膨らみを感じるかな……というレベル。ほとんど見た目に影響はなかった。

丸襟デザインなので、前後どちらからもインナーがはみ出る心配はない。

今回着用したホワイトのインナーウェアでは、明るいところで若干透けが気になった。
白Tは夏ファッションの定番なので、こういった場合のためにも、ベージュ/ホワイトの2色展開がされているのは嬉しい。

最後は大きめサイズのTシャツ。ゆとりあるサイジングのため、今までで一番本体が目立ちにくく感じた。

襟ぐりが大きいため、激しく動くと時々インナーがずれて見えてしまうことがあったが、これも気にならない程度。

3つの洋服で試している間、本体の使用を続けていたが、一部分を冷やすだけでこんなにも体感温度が下がり、快適に過ごせるのかと驚いた。

感覚としては、保冷剤入りのネッククーラーを着けているイメージに近い。
しかし、ネッククーラーは時間が経つほどに冷たさが弱まっていくのに対し、「REON POCKET」は充電がなくならない限り冷感が続く。(ただし安全のため、連続使用は30分間で停止)
心地良いひんやり感をキープできるのが、最大の違いであり魅力だ。

日常に溶け込むデザインで持ち運びにも最適

「REON POCKET」は本体のみでも使用することもできる。
コンパクトかつ軽量なので持ち運びやすく、日常に溶け込むスタイリッシュなデザインも魅力的。

一般的に定着してきたとはいえ、ハンディ扇風機を街で使うのはどうも気が引ける……という人は少なくはないだろう。
「REON POCKET」なら周りの目を気にすることなく、ハンカチで首元を拭うようなさりげない動作で、涼をとることができるのが良い。

今回実際に使用してみて、「REON POCKET」は本体の厚みや音はほとんど気にならず、ストレスなく持ち運ぶことができると感じた。
専用インナーウェアに装着して使用する場合、現状はメンズサイズのみの展開のため、女性や小柄な人はインナーウェアが見えないような服装を心がける必要があるが、ベーシックなワイシャツや丸襟Tシャツなどであれば、気にせず充分快適に使うことができる。
また、充電が持つ限り快適な冷たさをキープしてくれるうえ、手で持っても目立たないサイズなので、ハンディファンの見た目がちょっと……という方にもぴったりだ。
“着るクーラー”が体感温度対策の常識となる日も近いかもしれない。

文:日笠麗奈
撮影:南方篤

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