【鹿児島・姶良】謎のお手紙交換が静かなブームに　私設の仮想郵便局

インターネットやスマートフォンが急速に普及した影響で手紙を出す人が減り、全国の郵便局総数が減少している中、鹿児島県内に静かなブームになっているのは謎のお手紙交換が楽しめるという取りくみです。その名も「仮想郵便局」。この「仮想郵便局」プロジェクトは志學館中高等部（鹿児島市）の国語科教諭梶原末廣さんによって２０１８年の４月に始動され、鹿児島県内で細々と継続しています。

先日私も謎の手紙を書いて、謎の世界へ…

でもその前にハンガリーにちょっと寄り道しましょう！

日本とハンガリーを繋ぐ切手

私は「手で書くこと」が好きです。少し時間が空いたら母国ハンガリーへ絵葉書やレターを出し、多い時は月に3～４回も切手を買いに郵便局に行きます。日本の切手はとても美しくて、印刷技術も素晴らしく綺麗だと思います。ハンガリーに居る親戚に頼まれて1円から100円まで定番の切手を揃えて何度も送ったこともあるほど日本の切手は海外でも人気です。

昨年、日本とハンガリーの外交関係が150 周年を迎えることを記念して、両国で特殊切手が発行されました。その切手を見るだけでハンガリーと日本の名産品を知ることができます。例えば、風景では日本は富士山ですが、ハンガリーはドナウ川と国会議事堂が登場します。食べ物では日本は寿司、ハンガリーは定番煮込み料理グヤーシュスープが美味しく描かれています。そして日本の柴犬に対してハンガリー原産の牧畜犬プリ犬が登場します。このようにハンガリーにちなんだもの、日本にちなんだものがイラスト化され、それぞれシートの左右に配置されています。

日本で発行されているのは84円切手を10枚にしたシート、ハンガリーで発行されているのは60フォリント（60 HUF/ 日本円にしておよそ20円）切手を10枚にしたシートです。切手に歴史や文化がぎっしり詰まっていて、描いた人の性格まで感じとることができます。

日本郵便局ウェブサイトで記念切手をチェック

仮想郵便局とは

宛名のない手紙に日常の何げない出来事や思いを書いて送ると、知らない誰かの物語が返ってくるという仕組みです。手紙を普通の郵便局に出すのはなく、鹿児島県内に設置された私設の「仮想郵便局」に投函します。現在までに７カ所の郵便局ポストがあり、手紙の内容によって郵便局が異なります。例えば月曜日に起こった出来事を手紙に綴れば、その手紙を月曜日の郵便局宛に投函します。火曜日に起こった出来事を手紙に書けば、その手紙を火曜日の郵便局に投函するというように曜日によって手紙を出す郵便局が異なります。

私はあまり遠くの仮想郵便局までは持って行けなかったので、姶良市にある「くすのき・森の郵便局」に持って行くことにしました。

曜日別の手紙の送り先

【月曜日】〒890・0903 三島村竹島43番地 竹島小中学校気付「三島村竹島郵便局」 【火曜日】〒899・5305 姶良市蒲生町白男2780-1 森の学校楠学園「くすのき・森の郵便局」 【水曜日】〒891・1419 鹿児島市桜島横山町61-4 MINATO Cafe内「桜島水曜日郵便局実験工房」 【木曜日】〒899・2201 日置市東市来町湯田4477-2 「学びの杜郵便局」 【金曜日】〒892・0822 鹿児島市泉町1-8 古本屋ブックスパーチ内「とまり木郵便局」 【土曜日】〒896・1101 薩摩川内市里町里2664-1 サイトウハウス 「こしき島土らま郵便局」 【日曜日】〒891・0702 南九州市頴娃町牧之内7548-1 「えいART-SPACE星空郵便局」

謎体験の仕組み

手紙を書いて仮想郵便局に持っていくと、縁もゆかりもない人の日常に出会えます。 その手段は下記の通りです。

1. 手紙を書きます：自分の思うこと、日常で感じることでいいです。小さな幸せや他人と共有しても良い想いなら何でもＯＫです。平凡で当たり前のことであってもそれを読みたい方がいるかもしれません。昔の思い出も、思い出すことならなんでも文章にしてください。手紙の最後の行に「都道府県」「年齢」「ペンネーム」を書いて記入します。
2. 返信用の封筒に８４円の切手を貼って、住所と名前を書きます。
3. 手紙と返信用封筒を仮想郵便局ポストに投函します。（仮想郵便局ポストへの郵送も可能）
4. 仮想郵便局に届いた手紙は、あなたと同じように仮想郵便局ポストに送った誰かの手紙と交換され、あなたの住所に送られます。
5. 謎の相手からの手紙があなたに届き、謎の体験の一連が終了します。返送に期間は１ヶ月程度時間がかかることもあります。首を長くして謎の手紙を待ちましょうね！（笑）

姶良市（あいらし）の仮想郵便局

私は書いた手紙を森の学校楠学園内にある「くすのき・森の郵便局」に郵送せずに実際に持って行ってみました。その場所は鹿児島空港から車で約３０分、鹿児島市より一般道経由で国道10号線または県道40号線より約１時間で、自然に囲まれた静かな場所です。

入口に愛らしい柴犬たちが居て…

…偶然に森の学校楠学園の代表藤浦様と出会いました。

学園の庭に何とモンゴル高原に住む遊牧民が使用している伝統的な移動式住居ゲルもあります。とても珍しく感動しました。

森の学校楠自然学園に開設された「くすのき・森の郵便局」宛てに、あなたの火曜日の出来事や物語などを書いて送りませんか？あなたの火曜日の手紙は、誰かの火曜日の手紙と交換され返送されます。

脳のトレーニングしましょう！

記憶力アップ 手で文字を書くという触覚を使う複雑な動きはキーボードで文字を打つ行為よりも脳を刺激するそうです。その作業は脳の複数の領域を同時に活性化するため、情報との関わり方が強化され、連想する思考力が高まることが科学的にも証明されています。また意識を拡張すると同時に、内容への理解を深めることもできます。

癒し効果 手書きという行為はゆっくりと考え事をする行為です。日記をつけることはトラウマや精神疾患に苦しむ人に対して治療効果のある強力なツールとなることも証明されています。手紙を書くことが楽しいこととともに癒し効果もあるので、やってみてはいかがでしょうか。

想像力を期待 特に手紙の相手が不明の時に想像力を働かせ、ドキドキしながら文章を書くことがいいですよね？！私はとてもワクワクしていましたので、ぜひとも鹿児島の謎の手紙プロジェクトに参加してみてください。

最後に…

「仮想郵便局」を基に生まれた物語がＮＨＫラジオドラマにもなりました。 詳しくはこちらです。

鹿児島県外の方にも気軽に参加して頂けると楽しいですね！ 手紙と返信用封筒を謎の仮想郵便局に送ってみてね！

【お問い合わせ】 梶原末廣 （かじはら・すえひろ） 電話番号：０９０－１３４６－３０９０ E-mail: kanoyu@po.synapse.ne.jp Facebook