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グザヴィエ・ドランが綴る“青春”への別れの詩。『マティアス&マキシム』【今月のプロ押し映画!】

  • 2020.9.26
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(c)2019 9375-5809 QUÉBEC INC a subsidiary of SONS OF MANUAL
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早熟の天才と謳われたグザヴィエ・ドランの第8作目となる『マティアス&マキシム』は、彼の地元モントリオールを舞台に展開する青春映画だ。幼馴染のマティアス(マット)とマキシム(マックス)は、幼馴染みだが、それぞれまったく別の道を歩んでいる。マティアスは、若手のエリート弁護士で美しい婚約者がいる。マキシムは、介護が必要な母親を叔母に任せ、オーストラリアで新しい生活を始めようとしている。マキシムの旅立ちが迫る中、仲間の妹が撮る短編映画の中で、キスをすることになったふたりだが、その“演技”でのキスによって、思いがけない(あるいは直視しようとしなかった)自らの感情に気づき、動揺していく。

これまでのドラン作品の核となってきたのは、愛すべき親しい者同士の間にある対峙であり葛藤だ。ほとんどがそれは母と息子の間の激しい嵐のような闘いだった。だが、デビューから10年を迎え30歳となったドランは、母親に向かって叫び続けるのではなく、外側の世界と折り合いをつけようと歩みだした。殻を破り、自らの本当の姿や愛、人間関係を見つめ直そうとする、穏やかで優しい視点がこの作品には溢れている。過ぎ去るべき若き日々への哀愁も孕む。ドランにとって、これは最初で最後の「青春映画」なのかもしれない。

Text: Atsuko Tatsuta

マティアス&マキシム』9月25日公開

配給:ファントム・フィルム

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