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2022年度から高校の家庭科で「投資教育」開始! 未成年でもできる投資には何がある?

  • 2020.9.18

日本ではお金のことを学ばずに社会に出る人がたくさんいます。大人になってからはじめてお金のことを知り、驚いたという話もよく聞きます。そうした現状が今後、変わっていくかもしれません。2022年度から高校で投資教育がスタートするからです。

今回は、高校での投資教育の内容と、未成年でもできる投資について紹介します。

高校の投資教育はどんなものになる?

学習指導要領は、文部科学省が定める大まかな教育内容の基準です。幼稚園、小学校、中学校、高校と、子どもが学校で学ぶカリキュラムはこの学習指導要領をもとにして作られています。
学習指導要領は約10年に1度、時代の変化や社会情勢を踏まえて改訂され、順次実施されていきます。高校の新しい学習指導要領はすでに公開されており、2022年度から実施される予定です。この中に、投資教育が盛り込まれています。

投資教育に関する記述は、家庭科の学習指導要領に記載されています。

(1) 生活における経済の計画
ア 家計の構造や生活における経済と社会との関わり、家計管理について理解すること。

文部科学省「高等学校学習指導要領」より引用

家計管理については、収支バランスの重要性とともに、リスク管理も踏まえた家計管理の基本について理解できるようにする。その際、生涯を見通した経済計画を立てるには、教育資金、住宅取得、老後の備えの他にも、事故や病気、失業などリスクへの対応が必要であることを取り上げ、預貯金、民間保険、株式、債券、投資信託等の基本的な金融商品の特徴(メリット、デメリット)、資産形成の視点にも触れるようにする。

文部科学省「高等学校学習指導要領解説」より引用

これから大人になり、人生を歩んでいくにあたって、いわゆる「人生の三大資金」である教育資金・住宅資金・老後資金だけでなく、事故や病気、失業など、もしものリスクにも対応しなくてはならないことを学びます。また、株式や債券、投資信託といった基本的な金融商品を理解し、資産形成をしていくことについても学びます。いずれも、これまで学校で教わることのなかった話でしょう。

投資は何歳からできる?

学校で投資を習ったら、「投資してみたい」と考える高校生がきっと増えるでしょう。とはいえ、未成年でできる投資には、制限があります。主な投資が何歳からできるか、表にまとめました。なお、下記は一例で、金融機関によって取り扱いが異なる場合があります。

各投資商品と年齢

図:筆者作成

証券会社や銀行の口座は、多くの場合未成年でも開設可能。極端にいえば0歳でも開設できます。未成年者の口座を未成年口座といいます。
ただ、未成年口座だけを開設することはできず、親権者(法定代理人)もその金融機関に口座を開設し、未成年口座を開設することに同意する必要があります。

とはいえ0歳、あるいはまだ幼い子どもが投資の判断を下すのは実質的に不可能です。ですから、満15歳になるまでは、子どもの代わりに親権者が売買を行います。
満15歳以上になれば、自分で取引ができるようになります。15歳といえば、ちょうど高校生になる年齢ですから、今後投資教育が進めば、自ら投資をスタートさせる高校生も出てくるかもしれません。

上の表のうち、債券・株式投資・投資信託・金は、年齢制限なしで投資できます。一方、株の信用取引・FX・先物・オプションといった、比較的リスクの高い商品には投資できません。外貨預金も、為替変動リスクを見越して、原則20歳以上としている金融機関が多くなっています。不動産も、未成年はそもそも契約できませんし、ローンを組むこともできません。

運用益にかかる税金が非課税になるNISAは、ジュニアNISAのみが対応。毎年80万円まで投資できます。ただ、ジュニアNISAは2023年をもって終了します。ジュニアNISA終了後も、20歳になるまでは金融商品を非課税で保有できますが、2024年以降、未成年者はNISAを使った投資ができなくなる点には注意が必要です。一般NISAやつみたてNISAができるようになるのは、20歳になってからとなります。

そして、節税しながら老後資金を運用で増やすiDeCoは、原則として20歳にならないと加入できないのですが、例外として厚生年金の被保険者であれば15歳から加入できます。たとえば、中学・高校を卒業後に会社員・公務員になった場合には、20歳未満でも厚生年金の被保険者ですから、iDeCoに加入できます。

これからは投資がより身近な社会に

多くの日本人は、お金についての教育を受けずに大人になります。ですから、金融リテラシーが身についていないのも仕方ないのかもしれません。しかし、昔と同じように預金していても、お金が増えていかないのも事実です。お金を増やしていくのに、投資は欠かせない時代なのです。そんな時代に高校での投資教育がスタートすることで、将来に向けて自分の資産を増やそうと考える人が増えると考えられます。

未成年でも証券会社や銀行などに口座を開設することで、投資ができます。これからの高校生には、投資がより身近なものになっていくでしょう。もしかすると「投資しないなんてもったいない」と子どもに言われる日がくるかもしれませんね。

執筆者:ファイナンシャルプランナー(AFP)頼藤太希

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