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育休中って給料はもらえるの?子育てのための手当の種類

  • 2020.9.14
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これから新しい家族を迎え入れようとしているあなた。でも育休中に自分のお給料が支払われるのか気になりますよね?安心して子育てができるように、その疑問を解決しておきましょう。育休中のお給料と、あなたの助けになる各種手当について解説します。

育休中にお給料はもらえる?もらえない?

結論から言えば、育休中にお給料がもらえる可能性はまずありません。産休中も同様です。産休・育休中の給料は、多くの会社で原則支払われないことになっています。子育て支援のために給料の何割かを支給する会社もありますが、圧倒的に数は少ないのが実情です。

しかし、これでは安心して出産・育児ができません。なにかお給料の代わりに、収入になるものはないのでしょうか?
実は、お給料はもらえませんが、受けられる手当金があります。
産休・育休中の手当金について解説していきます。

産休中にもらえる手当金

出産にかかわる手当金には「出産手当金」と「出産育児一時金」があります。どちらも健康保険から支給されます。

出産手当金は、給料の約3分の2

出産手当金は、出産のために会社を休む産休中に、お給料の支払を受けなかった期間の生活保障として支給されるお金です。
出産予定日の42日前(双子以上の場合は98日前)から、出産の翌日以後56日目までの範囲内で、会社を休んだ期間を対象に出産手当金が支給されます。
支給の1日あたりの金額は、標準報酬日額(標準報酬月額の30分の1)の3分の2に相当する金額となります。

【支給例】
標準報酬月額(残業代・賞与・各種手当の合計÷12)=250,000円の人が支給される金額

標準報酬日額:250,000円÷30=8,333円(1円未満切り捨て)
1日あたりの金額:8,333円×2/3=5,550円(10円未満切り捨て)
受取り総額:5,550円×98日(出産予定日の42日+出産の翌日以後56日目)=543,900円

ただし、受取れるのは出産する本人が勤務先の健康保険に加入している場合です。
夫の会社の健康保険の扶養になっていたり、国民健康保険に加入していたりする場合は対象外になります。

出産育児一時金は、すべての健康保険加入者が対象

出産育児一時金は、勤務先の健康保険、国民健康保険いずれの加入者でも受け取れるお金です。夫の扶養になっていても受け取れます。

出産育児一時金は出産費用の補助としてのお金で、妊娠85日以上で出産(死産・流産含む)するすべての健康保険加入者に支給されます。
基本的な支給額は赤ちゃん1人につき42万円ですが、産科医療補償制度に加入していない病院で出産した場合の支給額は40.4万円となります。

また、付加給付金がある健康保険に加入している場合は基本の支給額42万円+付加給付分となります。なお、付加給付分の金額は各健康保険によって異なります。金額については、会社で加入している健康保険組合等にて確認することができます。

育休中にもらえる手当金

育休は通常子供が1歳になる前日まで取得可能です。取得可能開始日は、女性の場合産休(出産翌日から8週間)終了日の翌日からとなっています。保育園に入れないなどやむを得ない事情がある場合は、手続きをすれば最長、子どもが2歳になる前日まで延長ができます。
育休中はお給料が出ないため、育休を取得している間、ほとんどの人は無給で過ごすことになってしまいます。

お給料は出ませんが、会社員として勤務し定められた期間、雇用保険に加入していた人は「育児休業給付金」が支給されます。
支給額は、最初の180日間(半年間)は育児休業を開始したときの給与額の67%、それ以降は50%です。

【支給例】
標準報酬月額(残業代・賞与・各種手当の合計÷12)=250,000円の人が、子供が1歳になるまで育休を取得した場合

180日目まで:250,000円×0.67=167,500円
181日目から:250,000円×0.5=125,000円
(167,500円×6カ月)+(125,000円×4カ月)=育児休業給付金1,505,000円

他にも産休中、産前産後に受けられる手当金を合計すれば給料の5割~7割ほどを受け取ることができます。

また、出産後には「児童手当」が支給されます。0~3歳未満の子ども1人あたり毎月1万5,000円支給されます。支給時期は、原則として、毎年6月、10月、2月に、それぞれの前月分までの手当を支給されます。
児童手当を受けとるためには、申請が必要です。出生届を現住所の市区町村に出す際に、同時に児童手当の申請もすませておきましょう。申請が遅れると、原則、遅れた月分の手当を受けられなくなるので注意が必要です。

税金、社会保険料はどうなる?

産休・育休中は給付金が支給されるとしても、お給料に比べると収入は低くなります。そうなると税金や社会保険料(健康保険と厚生年金)について気になるところです。

産休・育休中に支給される「出産手当金」「出産育児一時金」「育児休業給付金」は全額が非課税所得となり、所得税は免除されます。
ただし、住民税については、産休・育休中でも免除はされません。住民税は前年の所得に対してかかるため、住民税の支払義務は発生します。

社会保険料については産休・育休期間中は支払いが免除されます。
その間は保険料の負担なしで厚生年金に加入している扱いとなり、将来、年金額を計算する際は保険料を納めた期間として扱われます。
また健康保険も、免除中でも被保険者のまま資格は継続します。
ただし、社会保険料の免除は自動的に行われるわけではなく、会社が手続きをする必要があるため、忘れられないように声をかけておきましょう。

出産前に準備しておきたいこと

産休・育休中はお給料の支払いがなくても、各種手当金の支給や、税金の優遇、社会保険料の免除などが受けられます。しかし、収入の減少は避けられないため、出産前に準備しておきたいことがあります。
それは、家計の見直しです。

出産前にはマタニティ用品やベビー用品を購入する出費がかかります。また里帰り出産であれば帰省代、出産後は光熱費・食費・子供の日用品など支出は増えていきます。
特に第1子だとベビーグッズやベビー服など、色々購入したくなりお財布の紐も緩みがちなので、支出の予算をしっかり立てておくことが大切です。

また、子供の教育費の準備など早いいうちからコツコツ準備しておくと無理せず貯めることもできます。出産前は家計の見直しをしておく良いタイミングだと思います。
職場復帰した際、時短勤務するのであればお給料が妊娠前より減少することも考慮し、家計について考えておくと良いでしょう。

手当て金を確認しよう

自分がいくら手当金を受け取ることができるか確認したいなら、インターネット上の計算サイトが便利です。安心して育休中を過ごせるように手当金を確認して、忘れずに申請するようにしましょう。

執筆者:ファイナンシャルプランナー(AFP)今関倫子

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