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夜の闇って、こんなにも大切!

  • 2020.9.14
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最近の夜って明るすぎませんか? 街灯の数、電飾看板、そしてコンビニの明かり…etc. その昔「夜=暗闇」でした。陽が昇れば起きるし沈めば寝る。そういう感覚で生活している人は、現代人の中にいないに等しいのでは?

《夜》の効果、“暗闇”の役割って?

そもそも《夜》とは一体どんな意味をもつものなんでしょうか。まず、おまじない博士のマークさんに聞いてみたいと思います。だってほら、おまじないとかで、“夜のおまじない”とか“明かりを消してお祈り”とかあるじゃないですか! 『暗闇』にはどんな役割があるんですか?

マークさん「人は昼間に行動して、夜に電気を消して眠るよね。陽が昇って明るい時が“生”の世界なら、夜の闇は“死”の世界。だから《夜》は、人間の力を超越した神様や魔物など、ふしぎな力を宿すものに近づくためのふしぎな空間なんだよ。それに、人は五感を使って生きている。目で見て耳で聴いて、物事を理解したり楽しんだりするんだ。けれどそれが暗くて静かな闇の中にいると、五感がマヒして、そのぶん心の目で見ようと第六感が働くんだ。精神が研ぎすまされて心の能力にスイッチが切り替わってさ。闇はそういう役割があるんだよ」

なるほど! 本来使っている五感をシャットダウンさせて、第六感を研ぎすませる。つまりインスピレーションが豊かになるってことでしょうか!

それでは次に、「童話占い」や「童話タロット」で大人気の天野原みちる先生にお聞きしたいと思います。童話とのつながりはこの後聞くとして、先生、まず『夜』の効果について教えてください!

天野原先生「夜、とくに真夜中の空気って、すがすがしくて開放的な気分になりますよね。とくに寅の刻(とらのこく:午前4~6時頃)は、“陽”の時間帯と言われて、とても空気が新鮮なんです。反対に、その前の丑の刻(うしのこく:午前2時~4時頃)は“陰”=邪なの。それが去った後の陽の時間だから、清浄な気に満ちているんですね。もし夜更かししていたり、勉強や仕事で遅くまで頑張っていたりするのなら、その時間にちょっとだけ窓を開けて、深呼吸して気分転換をしてみてください。ツキも上がりますよ」

なるほど寅の刻・・・。夜って、一見、恐いイメージがあるのですが、なんだか楽しいではありませんか。

お話の《夜》の闇は、イメージする力をつける!

ピーターパン、小人の靴屋、星の銀貨・・・etc.お話の中では、現実で起きないようなふしぎなことがたくさん始まって、読む人をドキドキワクワクさせます。全てではないけれど、始まりはいつだって、人々が寝静まった《夜》であることが多くないですか? 童話に詳しい天野原先生に、夜中に素敵なことが起きるお話を紹介して頂きました!

例えば、

『小人と靴屋』 グリム童話

→貧しい靴屋のおじいさんが寝静まっている間に、小人が現れて立派な靴を作り上げてくれる話。

『チックとタック』 著者/千葉省三

→12時に時計の鐘を合図に現れ、おじさんの部屋でいたずらをたくらむ、小人のチックとタックの話。

『トムは真夜中の庭で』 著者/フィリパ・ピアス

→13回打つ1時の鐘の音を合図に、おじさんの家に預けられたトムが、ないはずの庭に足を踏み入れてふしぎな体験をする話。

『星の銀貨』 グリム童話

→食べるものも着ているものも全て、貧しい人に分け与えてしまった心優しい少女に、神様が空に輝く星を銀貨にして降らせるという話。

天野原みちる先生「物語の世界では、ふしぎなことが起こったり始まったりするのは《夜》が多いんですよね。闇夜は、日常生活とは違う『非日常の世界』へと導く入り口だと考える人が多いからなんです。闇夜のふしぎなお話は、人々の心に“想像力”を生むのです。それにお話自体も“想像力”の産物じゃないですか」

人は、ワクワクするような《夜》から始まるお話から、ふしぎな世界を頭で描きながら読んでいきます。たくさん読めば読むほど想像する力が湧いてきて、またそういう人達が新しいお話を作る・・・。《夜》の闇は、このように人にとっていいサイクルをもたらしてくれるんですね。

◎闇が及ぼす 良いサイクル◎

コンビニの《夜》の光は、想像する力を低下させる!

編集スタッフのつぶやきです。「最近コンビニや街灯が明るすぎて、夜が明るすぎるよね。東京が大停電になったらどうするんだろう」

そうなんです。最近は夜を夜とも思わせないほど、都会の夜は明るいですよね。人の体内メカニズムにとって、《夜》の闇というのは、とても大切なんだそうです。光を受けるとメラトニンという眠りのホルモンが分泌されにくくなってしまい、眠気が起きなくなる、と良い眠りを追求する枕メーカーの方が言っていた、とのことでした。これは私も快眠法の本で読みました! 光は刺激となるので、良い眠りにするためには、眠る少し前から、部屋の明るさを落としたり、TVやパソコンの画面をみないようにしたほうがいいんだとか。

そして、ちゃんと眠らないと、脳のある部分の発達が低下し、情緒を感じたり思いやりをもつことができにくくなって、「こういうことをしたら相手がどう思うだろう」という“想像力”が足りなくなってしまうらしいんです。

想像する力が湧かないっていうことは、考えてみたら恐いって思います。相手のことを思いやれないのだから、すごく自分勝手な行動をとったり、理不尽なことをする人が多くなったりしている、ということですもの。

以前、「街灯を、青色(※青は人を鎮静させる効果がある)にするだけで犯罪が減る」という実験が行われたくらい、コンビニの明かりは神経を高ぶらせる効果があるらしいのです。

つまり、《夜》の闇を打ち消す街の明かりは、ときに人の想像力を低下させ、犯罪を増やす原因のひとつになっている、ということなんです!

「犯罪を防ぐためのその明かりによって、犯罪が増えていくなんて、社会全体のサイクルがおかしいね」byスタッフ

そうかもしれません。けれど、女の子なら誰だって、夜暗い道を一人で歩くことはするなって言われてきているし、わざとコンビニや街灯の多い道を選んで帰りますよね。そして今は、防犯よけのために、留守の間も寝静まった後でも玄関の電気をつけっぱなしというお家は少なくなくて、どんどん夜が明るくなる一方・・・。

これは、本来の自然なサイクルとは少し違ってきてるように思うんです。

◇光が及ぼす 良くないサイクル◇

さて多方面の分野から、《夜》の闇について見てきましたが、私は驚きました。《夜》は一見、恐い、気味が悪い、なんていう悪いイメージをもたれがちなのですが、人にとって、大切な“想像力”をつけていくことに、非常に大きな役割があったんですね!

確かに本当の暗闇は恐いです。真っ暗で飲み込まれそうな気分になります。でも果たして、何もかも見えすぎる今の現状は良いのでしょうか・・・。

実は天野原先生が紹介してくれたお話がもう1つあるんです。それは、『あらしのよるに』という、少し前に映画にもなった有名な作品です。先生はこうおっしゃいました。

「『あらしのよるに』の狼のガブとヤギのメイは、嵐を避けるために入った真っ暗闇の小屋の中で出会って、お互いの姿が見えないまま友達になったのよね。ときには見えないことで、素敵なことが生まれるということもあるのかもしれないわね」と。

見たままのものを感じるのではなくて、見えないものを少し想像して感じること。この“想像力”こそ、本当に素敵なものを見つけるためのカギになるのではないのでしょうか。《夜》の闇から、私はそんなことを思いました。ぜひちょっと、目を閉じて感じとってみてください。素敵なもの、見つかりませんか?

お話/天野原みちる先生 マーク・矢崎先生

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