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働きながら障害年金をもらうことはできる?障害年金の対象者や手続き方法も解説!

  • 2020.9.9

現在は健康に働いている方であっても、突然の病気や怪我を負う可能性があります。その際に受け取れる手当金のひとつとして、障害年金があります。
この記事では障害年金を受け取りたいと考えながらも、その内容がわからないという方に向けて、障害年金の概要や適用要件・手続きについて、また働きながら受け取ることは可能なのかについて、解説します。

障害年金とは

まずは障害年金の概要について説明します。具体的な内容を理解し、自身の状態と適用要件を照らし合わせていきましょう。

障害年金とは?

障害年金とは、障害や病気によって日常生活に支障をきたした場合に支給される年金のことです。障害年金の対象となる障害や病気には、先天性のものや事故による重度障害だけでなく、ほとんどの傷病が含まれます。障害年金には「障害基礎年金」と「障害厚生年金」があります。

障害年金の適用となる病気や障害の初診日に、どの年金の種類に加入していたかによって、障害年金の種類が異なります。初診日に国民年金に加入していれば、障害基礎年金1級または2級となりますが、国民年金に加入していない期間である20歳未満、60歳以上65歳未満の間に障害が生じ、その状態が続いている場合にも対象となります。
一方、厚生年金に加入していれば、障害厚生年金1級、2級、3級となり、障害基礎年金に上乗せする形で年金が支給されますが、それよりも程度が軽い場合は一時金である障害手当金の適用となります。なお、これらの等級と障害者手帳の等級は同一ではありません。

障害年金のしくみ

図:筆者作成

障害年金の金額

障害基礎年金と障害厚生年金の等級により受け取れる金額と、子の加算や配偶者加給年金についてご説明します。なお、年金額は年度ごとに変わります。以下は2020年度のものです。

障害基礎年金

・障害基礎年金1級:年間977,125円/月額81,427円
・障害基礎年金2級:年間781,700円/月額約65,141円

子の加算

18歳になる年(高校卒業時)までの子どもがいる場合は、子どもの分が加算されます。なお、子ども自身が障害年金の等級において1または2級に該当するときは、20歳になるまで、加算期間が延長されます。子の加算が適用する条件として、子どもの年収基準(前年850万未満)があります。

・1人目、2人目:1人につき、年間224,900円(月額18,741円)
・3人目以降:1人につき、年間75,000円(月額6,250円)
障害基礎年金における配偶者加給年金はありません。

障害厚生年金

・障害厚生年金1級:障害基礎年金(977,125円+子の加算)+報酬比例の年金×1.25+配偶者加給年金
・障害厚生年金2級:障害基礎年金(781,700円+子の加算)+報酬比例の年金+配偶者加給年金
・障害厚生年金3級:報酬比例の年金(最低保証586,300円(月額48,858円))
・障害手当金(一時金):報酬比例の年金の2年分(最低保証1,172,600円)
※報酬比例の年金はその人の平均標準報酬額や年金加入期間によって異なります。

配偶者加給年金

年金受給者本人が1または2級で、生計維持関係にある65歳未満の配偶者がいれば、配偶者加給年金が加算されます。ただし、配偶者の年収制限(前年の年収850万円未満など)があるほか、配偶者自身が加入期間20年以上の老齢厚生年金や障害年金などを受給している場合には、受け取れません。

・1または2級:224,900円(月額18,741円)
・3級または障害手当金:なし

障害年金の対象者

障害年金を受給するには受給要件があります。受給要件としては、以下の3つがあります。

初診日要件

障害の原因となった傷病の初診日が、国民年金または厚生年金の被保険者期間中であるという要件です。初診日とは確定診断を受けた日ではなく、その傷病により初めて診察を受けた日を意味します。

保険料納付要件

加入期間の3分の2以上保険料を納めているという要件です。初診月の前々月までの被保険者期間のうち、保険料納付期間と免除期間を合算したものが、加入期間の3分の2以上あることを意味します。これを満たさない場合は、初診月の前々月までの1年間において、保険料の滞納期間がないことが要件となりますが、初診日が65歳未満でなければなりません。

障害状態該当要件

障害年金受給の申請をし、障害等級に該当していることが認められたという要件です。障害等級のどこに該当するかは、国民年金法または厚生年金保険法施行令別表に記載されていますが、さらに総合的かつ具体的に定められたものとして「障害認定基準」があります。
「障害認定基準」には障害の状態や程度に関する規定などの概要から、障害部位別に細かく分類された認定基準が記載されています。認定基準に記載されている病名には、たとえば緑内障、手足(四肢)の運動障害、統合失調症、慢性気管支喘息、狭心症などがあり、その程度により、障害等級の認定がなされます。

障害年金は働きながらもらうことはできる?

障害年金の受給要件を満たしていても、必ずしも仕事ができないわけではありません。そこで、仕事を続けながらでも、障害年金を受け取ることはできるのかご説明します。

働きながら障害年金をもらうことができる場合もある

結論から言えば、働きながらでも障害年金を受け取ることはできる場合があります。障害年金の受給においては、就労しているという事実が判断に影響する場合とそうでない場合があります。就労が影響するのは、うつ病やてんかんなどの精神疾患や発達障害、またがんなどです。

「障害認定基準」における3級では、「労働が著しい制限を受けるか、労働に著しい制限を加えることを必要とするもの」と定められています。精神疾患ではとくに、「働けている=病状が軽い」とみられがちですが、「健康」とは異なる状態であり、勤務日数の減少、通勤時の困難、コミュニケーションの問題など、人によってその状態は異なります。そういった労働上の制限について除外してしまうと、障害等級が下がったり認定されなかったりする可能性があるため、それらを含めて具体的な診断書を記載してもらうことが必要です。目には見えない、単なる治療経過からはわかりづらいこともきちんと伝えるようにしましょう。

一方、就労の有無が影響しないのは、人工の関節を入れている場合や腎臓機能の問題などで血液のろ過を人工的に行う透析を受けている場合です。これらはその状態であることがすでに、日常生活や就労への制限につながっていると判断されるため、原則として等級に該当することとなっています。また、視覚・聴覚などの障害においても、検査数値による判断がなされるため、就労の有無は影響しないと言えます。

障害年金の手続きの手順

以下に障害年金を手続きする際の手順をご説明します。

1.初診日を調べる

初診日は傷病により受診した最初の日であり、たとえば口の中の腫瘍が歯科受診で見つかり口腔外科を紹介されたという場合は、歯科受診が初診となります。このように初診の医療機関と現在の医療機関が異なる場合は、初診の医療機関で「受診状況等証明書」を記載してもらう必要があります。

2.医師に診断書の作成を依頼する

診断書は傷病部位により異なります。初診日から1年6カ月から1年9カ月の間に受診し、その時期に障害があった場合は障害認定日請求をすることになり、その頃の障害の様子と現在の様子がわかるよう、診断書は2通必要になります。

3.病歴・就労状況等申立書を作成する

上記が済んだら、病歴・就労状況等申立書を作成します。発病の時期や状況、入退院も含めた治療経過、就労の状況、日常生活における支障事項などを正確かつ具体的に記入します。

4.必要書類を市区町村役場の窓口に提出する

すべての人に共通する書類は以下となります。

①年金手帳
②戸籍謄本、戸籍抄本、戸籍の記載事項証明、住民票、住民票の記載事項証明書のいずれか(単身者で日本年金機構にマイナンバーを登録していれば添付不要。マイナンバーの登録がなければ、年金請求書にマイナンバーを記入することで添付不要。)
③医師の診断書(障害認定日より3カ月以内)
④受診状況等証明書
⑤病歴・就労状況等申立書
⑥受取先金融機関の通帳等(本人名義)
⑦印鑑(認印可)

このほか、18歳到達年度末までの子どもや配偶者がいる場合などは、追加書類が必要となります。

働いていても障害年金を受け取ることはできる

できれば病気や障害を負うことなく、元気に働けるのが一番ですが、万が一そうなってしまった場合には、働いていても障害年金を受け取れる可能性があります。本記事を読んで、障害年金を受け取れるかどうかを知りたいと思われた方は、市町村役場や障害年金に関する専門家に問い合わせてみてはいかがでしょうか。

執筆者:C・M
監修者:ファイナンシャルプランナー歴5年 北野小百合

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