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【女子のばんそうこう】あなたの周りに「見えない覆い」はないか?

  • 2020.9.4

完全に私事なんですけど、住んでるマンションがいま大規模修繕工事中です。

マンションを囲う足場が組まれがっちりとシートが張られ、外からは外観が一切見えない状態。日差しは完全にさえぎられており、いつでも外は薄暗いまま。風は通るし洗濯物は干せる日もあるけど、布団を干すことは全くできないので工事終了までは布団乾燥機でしのぐしかありません。暗いだけじゃなく、工事のたびに出る砂ぼこりや小さなゴミがどこにも出ていかず、ベランダや外通路がどんどん汚れていくんです。その薄汚れ感もまたイヤで。

コロナ禍でのステイホームとこれが丸重なりしてどうなったかというと、ちょっと病みました。一時期は鬱々として浮上できずメンタルがヤバい状態でした。日が当たらない閉塞空間での滞在が長くなると、例えそこが落ち着く我が家でもダメなんですね。外に向けないので内を向くしかなく、おのずとネットにかじりつく時間が増えましたね。

そうして梅雨が明け真夏になりました。窓の外を見上げると、足場とシートの隙間からものすごく真っ青な空と真っ白い雲が見えるようになったんです。それで初めて気づいたんですよ、「なんだ、外は快晴じゃないか!」って。マンションの外に出てみると内側に漂う永遠の薄暗さがウソみたいに、日がさんさんと(というよりはガンガンに)照っていて、世の中はそれはそれは明るいんです。一歩踏み出して「完全に外に出る」という状態に至らないとそれに気づけないのですが、出ればものすごくホッとするしうれしくなります。

なぜ「女子ばん」でこんな関係ない話を延々しているかというと、思ったんですよね。「この状態って自分の内面にもわりと起こり得ることかも」って。

人は、とくに女子は、意識的にしろ無意識にしろ知らない間にたくさんの「私ってこうだから」をパーテーションみたいに自分のまわりにいくつも立て回してたりします。私、もう○歳だから。人見知りだから。こういうの苦手だから。やったことないから。体型がこうだから。可愛くないから。似合わないから。それは自分の思い込みの場合もあるし、むかし誰かに言われたことかもしれないし、社会やメディアが発する呪いかもしれない。

もちろん自分の「したい・したくない」がハッキリあるならそれでいいんだけど、一見ネガティブに聞こえないものでも「私はそういうキャラじゃないんでここから先は無い」って勝手に決めつけちゃってるものもある。

1つ1つは大したことなくてもそういうものがどんどん積み重なると、マンションの外壁工事みたいに頑丈な足場とシートですっぽり覆われた自分が出来上がるのかもしれない…と思うのです。

身を守る鎧レベルならまだしも、完全に覆われてしまうとこれはもうその範囲でしか動けない。この覆いは自分には見えないから苦しい。それが自分の境遇であり実力なのだと思い込んでしまう。他の人はうまく楽しく暮らしているのに自分はそうできない。そうなると目線は内へ内へと向いてしまい、勝手な内省を始めてしまう。私はこのまま1人で生きるのかな。私はやりたいことを何もできずに年だけ取るのかな。私のことなんて誰も気にかけてくれないんだな…。うう…書いてて苦しくなりました、やめましょう。

私はそういうのに陥りがちな人間なので、今回物理的に覆われた鬱蒼とした感じを全身で感じて「これ、自分にやってるかも」ってなりました。

そして隙間から夏空が見えた時の自分の居場所とのギャップや、一歩出た時の世界の明るさ。これは決して自分と世界の隔たりをあらわすものではなく、「それ単なる覆いだから。一歩出りゃいいだけだよ」ってメッセージに思えたんです。だって、あまりにも違うのに、あまりにも簡単に世界が変わったから。

自分だけはどうしようもない。うまくいかない。素敵じゃない。振り向かれない。つらい。そんなふうになってしまった時、今度から「これは単なる覆いだ」って思うのはどうでしょう。それを組んだのは自分自身かもしれないし他人かもしれない。それはもうどうでもいい。大事なのは「簡単に外せるよ」ってこと。けっこう強固に覆われていてなかなか外すことができなくても、とにかくそのまま一歩外に出てみちゃって下さい。

そしたらびっくりするはずです。太陽はちゃんとあなたの方を向いて存分に光を照らしてくれてる。世界はあっけらかんとして明るく、誰もあなたのことを拒否ってなどいない。遠慮してないで、声張って「出てきたよー!」と手を振れば、「お、来たね」と迎えてくれる。手足を動かしさえすれば、自分で決めつけてた自分のキャラや立場なんてどうでもよくて、世界は意外と自由に何でもやらせてくれる。多分これ、間違ってない気がします。

この頑丈ぶってるくせに意外とあっさり破れるこの覆いから、そろそろ出ましょうね私たち。

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