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安くておいしい!アンガス牛の特徴と安全性を知って美味しく食べよう

  • 2020.9.3
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最近は安い牛肉がスーパーに並ぶことが多くなっています。その上、ただの「牛肉」ではなく、どんなブランド牛なのかを売りにしていることも多いですよね。たとえば、レストランなどでも牛肉料理メニューの片隅にたまに書いてありませんか?「アンガス牛使用」という文字。
「アンガス牛はおいしいもの」かと思いきや、食べたら危険!という記事を発見してしまい、安いけどどうしよう…? と、スーパーのお肉売り場で迷った人は、ぜひご一読ください。次にスーパーへ出かけたときは心置きなく買い物カゴに入れることができるはずですよ。




■アンガス牛の主な特徴
もしかしたらよくわからないまま、安いからと手に取った牛肉に「アンガスビーフ」と書いてあって、「何それ?」と疑問に思った方もいるかもしれません。まずはアンガス牛という牛の特徴を知りましょう。

・日本の牛肉事情を変えた肉牛


一昔前は外国産の牛肉といえばだいたいオーストラリア産でしたよね。今でも国別輸入量の第1位はオーストラリアに違いありませんが、第2位のアメリカからの輸入量は急激に増えてきていて、今ではオーストラリアに追いつきそうなほどです。

昭和から平成にかけて、日本国民の牛肉消費量は右肩上がりでした。平成13年に起きた牛の深刻な病気である通称BSE問題があってからその勢いは衰えましたが、昔より牛肉を食べる人が確実に多くなってきています。

しかし、海外の牛肉は「かたくておいしくない」というイメージを持っていませんでしたか?安いステーキ肉を買って焼いてもかたくて筋っぽいから、ちょっと高いけど国産牛を買った方がいい…というのは数年前の話。TPPによって関税が下がったことと、そして今年1月、アメリカ産牛肉の関税が引き下げられたことから、安くておいしい海外産アンガス牛は日本の主婦・主夫の大きな味方となりました。

・赤身が多いのに柔らかい肉質



アンガス牛の魅力は安いだけではありません。その肉質にもあるのです。

そもそも、赤身が多いお肉は焼くとかたくなるので、煮込み料理に使うのが常でした。ですがこのアンガス牛は、ぜひステーキにして食べていただきたいのです。たいてい肉牛は広い牧草地で牧草を食べて育ちます。これがかたくて臭みがある原因です。対してアンガス牛は穀物を与えられています。肉牛の飼料の違いが、肉質のやわらかさと臭みがなくなる秘密だったのです。

・和牛よりも低カロリーで栄養も豊富



さらに、アンガス牛はダイエットの強い味方でもあります。ダイエット中は油分の多いお肉を控える人が多いはず。でも、アンガス牛のサーロインは食べてもダイエットの邪魔をしないかもしれませんよ。実は、アンガス牛は和牛と比べて、カロリーは1/2以下、脂質は1/5程度なのに、たんぱく質は約1.8倍で、ビタミンB12や鉄分は約1.5倍。

ダイエット中はたんぱく質が不足しがちです。たんぱく質をとることを意識している方は、豆腐など大豆製品を食べているのではないでしょうか。植物性たんぱく質も大事ですが、筋肉をつけるには動物性たんぱく質が重要です。せっかく筋トレをしても、たんぱく質をとらなければ筋肉になってくれません。ダイエットを効率よく成功させるためには、植物性たんぱく質も動物性たんぱく質もどちらもとりたいところ。

お肉は脂質が多いから…と避けていた方は、ぜひ和牛よりもカロリーや脂質が低いアンガス牛を選びましょう。

■アンガス牛の種類



つまり、外国産の牛肉はアンガス牛と呼ぶの? いえいえ、アンガスとは品種の名前です。正式にはアバディーン・アンガスといって、オーストラリアや、アメリカはもちろん、ヨーロッパでも飼育されています。実は、数は少ないですが日本でも育てられています。

・『オーストラリア産』のアンガス牛



よく目にする「オージービーフ」という言葉。これは「オーストラリア産の牛肉」という意味があります。オーストラリア産のアンガス牛はつまり「オージービーフ」であり、「アンガスビーフ」でもあるということ。

基本的にオーストラリア産の肉牛は牧草を食べていることが多く、アンガス種といえども牧草を食べて育っていればそのお肉には臭みが出てしまいます。オーストラリア産のアンガス牛を買うときは、できることなら何を食べて育ったのかを確認しましょう。「グラスフェッドビーフ」と書いてあれば牧草を食べた牛。「グレインフェッドビーフ」の文字があれば、それは穀物を食べて育てられたということになります。

また、「イオントップバリュー」の「タスマニアビーフ」は、オーストラリアのタスマニアにある自社直営の牧場で育てられたアンガス牛のブランド名です。これもつまりは「オーストラリア産のアンガス牛」ということになりますね。

・『アメリカ産』のアンガス牛



一方、アメリカ産アンガス牛はとうもろこしなどの穀物を食べて育っているので、臭みがなくやわらかいのが特徴です。アメリカ産の「ブラック・アンガス」といえばその品質は良いとされ、アメリカの農務省(USDA)がアンガス牛の品質基準を設けてブランド化しています。

・最高級品質の『サーティファイド・アンガス・ビーフ』


そして、「ブラック・アンガス」を超えるブランドが、「サーティファイド・アンガス・ビーフ(CAB)」と呼ばれます。これはアメリカン・アンガス協会が定める10の基準をクリアした牛肉しか名乗ることができないブランドで、その基準は農務省(USDA)が設けたものよりもさらに厳しくなっています。脂肪の入り方、きめの細かさ、外観など、そのすべての基準を満たすアンガス牛は全体の2割弱。まさに最高峰の牛肉の称号というわけです。

■輸入されるアンガス牛の安全性



輸入牛肉はホルモン剤を使いまくっていて、食べたら乳がんのリスクが高まるというニュースを耳にしたことはありませんか? いくらおいしくても安全性がはっきりしないうちは手を伸ばしにくいですよね。その真相はどうなのでしょうか。

・農薬やホルモン剤の厳しい残留度チェック


そもそも、農薬はおわかりでしょうが、ホルモン剤とは?と疑問に思われるでしょう。日本では使用が禁止されていますがアメリカではよく使われているもので、牛の成長を早めるための動物用医薬品のことです。成長が早いということはそれだけ出荷までの期間も短くなり、育成コストも抑えられることになります。

しかし、このホルモン剤が輸入牛肉に含まれていることでがんのリスクが高まるとして、危険性を訴える記事が多数世に出されているのです。

ですが、アメリカ国内でも全く安全性を確認せずに使用を許可しているわけではありません。複数の研究機関が検証し、承認された範囲での使用は安全であるとしています。日本を含む世界188か国とEUが加盟している国際機関「コーデックス委員会」が定める安全基準に従って、肉牛が食べる飼料の残留農薬と使われるホルモン剤の量はしっかりチェックされています。
参考:農林水産省「コーデックス委員会」

・入荷から出荷まで分析・記録



BSE問題以降、肉牛のトレーサビリティシステムが施行されています。トレーサビリティとは、出生に関すること、ワクチンやホルモン剤の時期や量、そして加工や流通までのすべての工程を記録しておくもの。そうして食品安全検査局(FSIS)が検査し、何か問題が起きても記録をたどって即座に対応がとれるような仕組みが敷かれています。

・厚生労働省が定めた基準をクリア


輸送した先の日本でも、厚生労働省が「残留基準値」を設定して、すべての食肉をモニタリングしています。その基準は、人が毎日食べ続けても健康に害がないかどうか。農薬の量、ホルモン剤の量などを計測して、基準をクリアしたもののみ輸入が許されます。

この基準値は輸入品だけではなく、国産のものも同じ数値を設定してあります。「国産のものは安心」なら、同じ基準で検査されている輸入品も安心して食べられるはずですね。

■アンガス牛の旨味を味わえるおすすめの食べ方
さて、安全だとわかったら食べないわけにはいきません。どうせ食べるならおいしく食べたい!やわらかくて臭みのない牛肉だからこそのおすすめの食べ方をご紹介します。

・シンプルだけど難しい『ステーキ』



ステーキなんて、ただ焼くだけ。そう思うかもしれませんが、しかしちょっとしたひと手間を加えることで、おいしさが格段に変わります。ぜひお試しください。
【下準備のコツ】
1・焼く20~30分前に冷蔵庫から出して常温に置く
2・垂直にフォークを複数か所刺して火の通りを良くする
3・塩こしょうは焼く直前
4・フライパンはしっかり熱しておく

【焼くコツ】
1・強火で1分、弱火で1分
2・裏返したら強火で30秒、弱火にして2分
3・火からおろしてアルミホイルで包み余熱で火を通す

塩こしょうを振ると水分とうまみが流れ出ていってしまうので、焼く直前に振るようにします。何度も裏返したりはせず、両面焼き色がきれいについたらアルミホイルに包んで余熱で火を通すこと。こうするとお肉の水分を逃さないので、やわらかくジューシーなステーキのできあがりです。

・焼く前が肝心『ローストビーフ』



ブロック肉が安かった日はこれで決まり!コツを押さえてワンランク上のディナーを楽しみましょう。

こちらも肝心なのは焼く前。ステーキのときと同じように、焼く前にお肉を常温に戻すことがカギです。分厚いブロック肉ですから、2~3時間前には冷蔵庫から出しておくようにしましょう。下味は塩こしょうを表面にすり込むようにします。おろしにんにくを加えてもおいしいですよ!

焼くときは、厚さ1cmにつき1分が目安。3cmのお肉なら3分ずつ、全面を焼いたら熱いうちにラップでぐるぐる巻きにします。その上からアルミホイルで二重に包み、ぐつぐつと沸騰する前の80℃ほどのお湯にしずめて5分。火を止めて自然に冷めるまで待ってできあがりです。

あとは定番のオニオンソース、和風わさびソース、マスタードソースなど、お好みのソースを用意するだけ。簡単なのにパーティーの主役が決まります。

■安くておいしいアンガス牛を安心して食卓へ



今年の1月から関税が下がって安く手に入るようになったアンガス牛。しかも穀物を与えられて育った牛は肉質がやわらかいと知れば、主婦・主夫の皆さんにはありがたい限りですが、週刊誌やネットニュースには「食べたら発がんリスクが高まる」という記事がとても多くて不安になりますね。

でも大丈夫。アメリカ国内でも、そして日本に来てからも検査と監視がしっかりされています。安心しておいしい料理に変身させ、大切な人たちと豪華な食卓を囲みましょう。

(AYA)

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