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マネーリテラシーが高い人が積極的に始めている資産運用とは

  • 2020.9.4
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日本人のマネー(金融)リテラシー向上を目的に、日頃セミナー講師業も行っている筆者ですが、最近興味深い資料を見つけました。マネーリテラシーの高い人と低い人で、長期運用に選択する金融商品に差があるという調査結果です。
今回は筆者と同じマネーリテラシー向上を目標にしている(はず)の本サイト読者の皆さんへ、調査結果と長期運用のポイントをご説明しましょう。

マネーリテラシーが高い人ってどんな人?

マネーリテラシーが高い人については、これと決まった定義が無いので筆者の独断になりますが、「貨幣価値の最低限の知識を持ち、感情に流されずに、お金の管理ができる人」でしょう。
筆者のもとを訪れるのは多くが投資初心者ですが、投資経験がないからといって、リテラシーが低いとは限りません。また逆に投資経験が10年以上ある方でも、ずいぶんとリテラシーの低い方も見てきました。

本題の調査についてみてみましょう。関西大学ソシオネットワーク戦略研究機構構(The Research Institute for Socionetwork Strategies:以下 RISS)が、一般の人々5370人から回答を得、「日本人の投資行動調査」を発表しました(2019年4月19日発表)。
それによると、金融知識がある人ほど、長期投資において投資信託の保有に積極的であることがわかりました。

同調査では、「インフレーション」「分散投資」にまつわるクイズと、「長期投資に最も向く資産は?」の問いを並行して行い、その結果をまとめています。
結果はクイズの正解率が、高い人(マネーリテラシーが高い人)と低い人(マネーリテラシーが低い人)では、長期投資に向く商品の回答に歴然とした差がありました。

日本人の投資行動調査

図:RISS「日本人の投資行動調査」(2019年4月)より引用

リテラシーの低い人ほど、長期運用に向くのが「現金・預金」だと回答しているのに対して、リテラシーの高い人は「投資信託」と回答しています。この傾向から、長期にわたる運用期間においてインフレーションのリスクを、リテラシーの低い人は理解していないと読み取れます。

貯蓄と投資信託、どっちがトク?

資産運用といっても、目的によって選択するべき商品が大きく異なります。
自分の老後のための資産運用であれば、20~40年といった長い時間をかけて運用する「長期運用」になりますし、教育費のための運用であれば10~20年といった「中期運用」になります。
また余力資金で手早く利益を確定しながら、短期で運用する方法もあります。

目的に見合った運用商品を選択するのはとても大事なことなのですが、残念ながらその教育を、幼少時代から学校で習う事がほとんどない日本では、多くの人が運用商品の性質や、仕組みを理解した上での商品選択ができていません。

「預金と投資信託、どっちがおトクですか?」このような質問は、まさにリテラシーの低さを象徴するものです。
金融商品における「おトク」度合を測る場合は、同じカテゴリーの商品でかつ同じ運用期間でしか比較できません。そもそもカテゴリーの異なる銀行預金と投資信託では、比較のしようなどありませんし、運用成果は結果論ですので、「予言」することは不可能なのです。

最後に笑う、長期運用のポイント

長期運用は、「時間をかけて分散投資を行う事で、リスクを抑えながらリターンを得る」手法です。運用期間中に評価額がマイナスになる事も、一時的には(とくに投資初期の期間は)起こり得ることですが、目の前の評価額が下がったことを悲観してはいけません。

運用の成果は「最後(売却の際)に購入した額よりも高く売れれば」いいのですから、基準価額や価格が下がった際は、むしろ安値で買えるチャンスだという理解が無ければなりません。
冒頭で筆者は、「感情に流されずに運用ができる」という点を、リテラシーが高い人の条件に入れましたが、それはまさにこのような状況下での判断を指します。

「終わりよければすべて良し」という言葉は、まさに長期運用の為にあるようなものです。時間をかけてコツコツ買い増す運用手法を「ドルコスト平均法」と言いますが、投資初心者の長期運用にはこの運用方法がオススメです。
事実、長期運用の王道といえるこの手法を利用できるiDeCo(イデコ、個人型確定拠出年金・DC)の制度では、投資信託が多くラインアップされています。

マネーリテラシーを高めよう

調査結果から分かる通り、マネーリテラシーを高めることは、正しい商品選択ができることにつながります。
長期運用にはポイントをおさえた投資信託を活用し、結果的にはリテラシーの低い人よりも上手に資産運用をすることができそうです。

執筆者:ファイナンシャルプランナー(AFP) 佐々木愛子

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