1. トップ
  2. 恋愛
  3. 恐怖を共にした相手を好きに…「つり橋効果」で本当に恋は実る?そのメカニズムは?

恐怖を共にした相手を好きに…「つり橋効果」で本当に恋は実る?そのメカニズムは?

  • 2020.8.27
「つり橋効果」は本当にある?
「つり橋効果」は本当にある?

恐怖や不安を一緒に体験した人に恋愛感情を持ちやすくなることは「つり橋効果」と呼ばれています。皆さんの中にも、「気になるあの人」を恐怖や不安を感じる場所に誘い、振り向かせようと試みた人もいるのではないでしょうか。しかし、実際には「つり橋効果で気になる人を振り向かせることができた」という声はあまり聞きません。本当につり橋効果で恋は実るのでしょうか。心理カウンセラーの小日向るり子さんに聞きました。

「感情」に「解釈」をつける

Q.そもそも「つり橋効果」とは、誰がどのようにして発見したものでしょうか。

小日向さん「つり橋効果はカナダの心理学者であるドナルド・ダットン、アーサー・アロンが行った実験をもとに発表した『つり橋理論』という学説が由来です。実験では、最初に18~35歳の独身男性を揺れるつり橋を渡るグループと頑丈な橋を渡るグループの2つに分け、実際にそれぞれの橋を渡ってもらいます。それぞれの橋の中央には、若くてきれいな女性が待っており、アンケートへの回答を独身男性にお願いします。

同時に『アンケートの結果に関心があればお電話ください』と女性から男性に連絡先を渡すのですが、揺れるつり橋を渡った男性は約5割が電話をかけてきたのに対し、頑丈な橋を渡った男性は約1割しか電話をかけてきませんでした。

この結果から、人は『出来事(女性と橋で出会う)に対して解釈(女性を美しいと思う)をし、その後に感情(その女性を好き)が湧く』という思考経路だけでなく、『出来事に対して感情(つり橋によるドキドキ)が湧き、後から、その感情に解釈(好き)をつける』という心の動きもあり、これは恋愛心理においても活用できると提唱しました」

Q.具体的に、どのような心理から、恐怖や不安を感じる場所で一緒にいると恋愛感情を抱くとされているのですか。

小日向さん「恐怖や不安を感じると、心臓がドキドキして脈拍数が上がります。これは脳が一種の興奮状態になっているのですが、この状態は好きな人が近くに来たときの状態とよく似ていますよね。つまり、脳が同じような状態になる状況を作れば、それに対して後から、『ドキドキしたから好きなのかも』という解釈をしてしまうことがあるのです。簡単に言うと、脳がだまされているのです」

Q.とはいえ、つり橋効果で恋愛がうまくいったという話をあまり聞きません。本当に、つり橋効果で恋は実るのでしょうか。

小日向さん「つり橋効果で必ず恋が実るとはいえません。先述した実験でも、揺れるつり橋を渡った男性のうち残る約5割は電話をかけていません。過度な期待は持たず、恋愛関係になるきっかけ程度のものとして利用する価値はあるかもしれません」

Q.つり橋効果で恋愛関係になっても、恋愛感情が冷めるのが早いという声もあります。本当でしょうか。

小日向さん「つり橋効果と恋愛の持続期間については、証明されているものはありません。ただ、つり橋効果と同じ状態になれる場面、例えば、スキー初心者で不安なときにインストラクターに教えてもらったり、スポーツジムで心拍数が上がっている状態でインストラクターと会話したりする場面では、つり橋効果で恋に落ちやすいとはいえます。

しかし、いざ付き合いが始まれば、いつもスキーをしたり、ジムで会ったりするわけではありません。最初に感じたときめきが強すぎるため、ギャップを感じやすく、ここに『思ったより相性が合わなかった』などの現実が加わると、別れにつながりやすいということはいえるかもしれません」

Q.恋愛関係になるきっかけとして、つり橋効果に期待する人はいると思います。一緒に恐怖や不安を感じられる場所というのは、つり橋以外ではどのような場所でしょうか。

小日向さん「先述しましたが、つり橋効果とは簡単にいえば、不安や興奮によるドキドキを恋愛のドキドキであると脳に錯覚させてしまえばよいのです。従って、よくいわれているジェットコースターやお化け屋敷、ホラー映画など、ドキドキするものが数多くあるレジャー施設をデートコースに選ぶのは理にかなっており、おすすめです。

しかし、コロナ禍で外出が不安だと感じる人も多いかもしれません。そのような場合、例えば、オンラインで話す際にいつもの髪形や服装を変えてみる、自炊しない人は自炊した料理を並べてみるなど、日常のほんのちょっとしたことでギャップを加えてみるだけでも効果はあります。

出来事があり、それに相手が解釈をつける前に相手の感情をドキドキとさせてしまうものであれば、どのようなことでも構いません。ぜひ、気になる相手をよく観察して、相手のドキドキを誘発する“仕掛け”を考えてみてください」

オトナンサー編集部

元記事で読む
次の記事
の記事をもっとみる