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子どもが独立して悠々自適のはずが…夫婦が直面した悲劇

  • 2020.8.27

子どもはある程度の年齢になったら独立する、という前提で将来の暮らしを考えている方は多いでしょう。ところが今は、社会人になってからもずっと実家暮らしだったり、どこかのタイミングで引きこもりになったままだったりという方も少なくありません。

■子どもが独立して悠々自適、のはずが……

Sさん夫妻は60代、もうすぐ30歳になる息子と暮らしています。

子どもと同居していても、その子が生活費を入れてくれたり家事を手伝ってくれたり、何か支えてくれるのであれば親の負担は少なくて済むのですが、どうやらSさんの息子はそういったタイプではないようです。

「実家の楽さ」を満喫して、自分の収入は自分の趣味に費やして生活費を入れず、貯金もほぼしていない様子。異性との関わりもないようで、結婚するような気配はありません。

この状況でさらに、結婚前提の彼氏と同棲するために家を出ていた娘が「別れたから」と戻ってくることになりました。

今はSさんの退職金を取り崩して生活できていますが、今のペースでいくとSさんが80歳を迎える前に貯金が尽きる計算です。

老後は夫婦2人で悠々自適に暮らしていくつもりだったSさんですが、ふと気が付けば自身の収入は減ったのに子どもたちを学生だったときと変わらず支え続け、ゆとりのない生活を送っていました。

■子どもはいつか独立するもの……という考えは古いかも

一昔前なら、子はある程度の年齢に達したら結婚や就職をきっかけに家を出て自立するものだと思われていました。しかしながら、今は年々「実家暮らしの中高年」の方も増えています。

Sさんのようなケースだけでなく、病気や障害で家から出られない方もいます。また、ずっと実家暮らしで、逆に親を気に掛けて面倒を見てくれるような子もいます。「いつまでも実家にいること」が必ずしも悪いわけではありません。

ただ、子どもの将来がどのような形でも家族の誰も困らないように、しっかり話して信頼関係を築いておく、お金を貯めておく、お金を稼げるようにしておくというのが大切ではないでしょうか。

●親も子も幸せに暮らすためにできること

・子どもたちとじっくり話す
Sさんの家庭はお金だけの問題というわけでもないので難しいところですが、まずは子どもたちとコミュニケーションをとって、家計の現状を話して、少しでも生活費を入れてもらえるようにしたいですね。

もしそれがうまくいかないようなら、子どもたちもそれぞれ自分の収入があるのですから、親に頼らず自立するよう一人暮らしを促してもいいかもしれません。

それも、一方的に指示するのではなく、子どもたちの考えを聞いて今後について話し合ったうえで、お互い合意できるようにするのが理想です。

・お金を工面する
子どもたちとのコミュニケーションがうまくいかない、いつまでも変わってくれないというのなら、自分たちが変わるしかありません。

お金が足りなくてまずいということなら、毎月数万円分だけでもいいので稼ぐために働きに出ることも考えましょう。毎月の赤字を埋めて資産が尽きるまでの年数を延ばすことができますし、もしかしたら子どもたちもその様子を見て、事の重大さに気付くかもしれません。

また、今はまだそうなっていない家庭でも、今後子どもが独立しないという可能性は十分あります。人生には想定外の事態が起きることもありますので、余裕を持って資金を準備しておきたいところです。

貯金もそうですが、前もって老後に備えてiDeCo(イデコ:個人型確定拠出年金)など、税金の優遇が受けられる制度を活用して地道にお金を運用しておくのも対策になります。

■親子の関係はずっと続くから

親子の関係はこれからもずっと続くものです。どこかで崩れてしまわないためにも、不満や不安があるのであれば、それを抱え込まずに早めに正直に家族で共有した方がよいのではないでしょうか。

もしかしたら親がお金の悩みを抱えていることに気付いていないかもしれません。子どもたちもいい大人に成長しているので、対等な目線でじっくりと話し合って、課題の解決を図りましょう。

文・馬場愛梨(ばばえりFP事務所 代表)
自身が過去に「貧困女子」状態でつらい思いをしたことから、お金について猛勉強!銀行・保険・不動産などお金にまつわる業界での勤務を経て、独立。むずかしいと思われて避けられがち、でも大切なお金の話を、ゆるくほぐしてお伝えする仕事をしています。AFP資格保有。

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