1. トップ
  2. ライフスタイル
  3. 過酷な暑さ! この夏疲れを解消するための方法 #70

過酷な暑さ! この夏疲れを解消するための方法 #70

  • 2020.8.21
  • 5552 views

晩夏になり、猛暑もひと段落つきそうですが、この暑さや日差しで疲労感や頭痛など、相当なダメージを心身に受けた人は少なくないでしょう。そこで、漢方薬剤師の大久保愛先生が、簡単な夏バテ対処法を教えてくれます!

文・大久保愛

【カラダとメンタル整えます 愛先生の今週食べるとよい食材!】vol. 70

夏の疲れを感じていませんか?

今年は長い梅雨でしたが、猛暑が続くここ最近は本来の夏の暑さを再認識させられますよね。そろそろ、夏の疲れが出始めるころだと思います。毎日ジリジリと降り注ぐ紫外線による疲労感、頭痛など身体的な不調に加え、シミやシワ、皮膚の黒ずみ、ざらつきなどを感じ始めてはいないでしょうか? 放っておくとこのまま秋になっても夏の疲れを引きずってしまうことも…。

ただ、秋には、インフルエンザなどウイルス、花粉やダニなどのアレルギーなど体に起こる不調が現れる可能性があるので、夏の疲れは今のうちに整えていかなければなりません。そこで今週は、夏の疲れを取り除く食薬(※)習慣を紹介します。

今週は、夏の疲れを取り除く食薬習慣

今年は少し遅れたとはいえ、夏の強烈な暑さを感じますね。自粛傾向もあり例年よりインドアで過ごす時間が多い分、移動中に感じる紫外線の強さをより強く感じるようです。そして、外を少し歩くだけでクタクタになることもあるかもしれません。「あー疲れた」と何もしてないのに口癖になってはいませんか? これが夏の疲れの始まりの合図です。

今、疲れたな、だるいな、頭が重いなと考えている人は、夏に乱れやすい自律神経を整えることに加え、紫外線対策をしていくことも大切です。そのため、紫外線による活性酸素を除去する食材を取り入れていくことがおすすめです。紫外線は、体の細胞を傷つけるため、漢方で考える「気」を消耗し疲労感を感じさせます。

そこで今週食べるとよい食材は、「気」を補い防御機能が身につく抗酸化作用のある食材です。食べるとよい食材・料理は【ニンジンとクルミの粒マスタード和え】です。

今週食べるとよい食材・料理:ニンジンとクルミの粒マスタード和え

野菜の赤や黄色、緑、紫などのカラフルな特徴を出している色素はファイトケミカルという抗酸化作用のある成分です。夏には燦燦と降り注ぐ紫外線の中、力強く生き抜くために抗酸化作用の高いカラフルな野菜が増えます。夏野菜にはトマト、ナス、キュウリ、オクラ、ズッキーニ、ピーマン、パプリカなどがあり、どれも手軽に食べられますよね。夏野菜も良いですが、今回はオレンジ色のニンジンとクルミを合わせて抗酸化作用を高めるメニューを紹介します。

食べるとよい食材:ニンジン

ニンジンは抗酸化作用が高く、胃腸の粘膜を修復するカロテンを含みます。また、ニンジンの栄養素は中より皮など外側に多く存在するので、皮も一緒に食べるようにするのがおすすめ。またカロテンは脂溶性の栄養素のため、油と一緒に調理すると吸収力が高まります。

食べるとよい食材:クルミ

ナッツ類の中でもクルミは、赤血球や血管内皮細胞や脳の神経細胞などの材料になったり、体の炎症を抑えてくれるオメガ3脂肪酸の量を多く含んでいます。また、ポリフェノールの量は、クルミひと掴みは赤ワイン1杯よりも多く含まれていると言われているほど、抗酸化作用が高い食材です。

今週のおすすめは、抗酸化作用の高い野菜とナッツの代表である、ニンジンとクルミを合わせた抗酸化サラダです。人参を千切りにし、塩、コショウ、粒マスタード、レモン汁、オリーブオイル(アマニオイル)などで味を整えたら完成です。マスタードは、ペーストよりも粒のほうが抗酸化作用を持つファイトケミカルが含まれるためおすすめです。夏の疲れは夏のうちにリセットしておきましょうね。

※食薬とは…
漢方医学で人は自然の一部であり、自然の変化は体調に影響を与えると考えられています。気温や湿度、気圧の変化だけではなく、太陽や月の動きまでもが体に影響を与えています。学生の頃、太陽暦や太陰暦を学んだことを覚えていませんか? 1か月の日数や季節などは太陽や月の動きから決められていたことはご存知のかたは多いと思います。

月や太陽は、地球との位置により引力が変わり、地球では潮の満ち引きが起こります。地球の約七割が水分と言われていますが、同様に人の体も約七割が水分と言われています。そう考えると、人間も月や太陽の影響を受けることは想像しやすいことだと思います。中国最古の医学書である皇帝内経(こうていだいけい)にも、月が体調に影響を与えることは記されています。

つまり、気温、湿度、気圧、太陽、月の変化とさまざまなものを指標にすることにより、より正確に体調管理をすることができます。この体調管理に食事内容を役立てることを『食薬』と呼びます。

information

大久保 愛 先生
漢方薬剤師、国際中医師、国際中医美容師、漢方カウンセラー。アイカ製薬株式会社代表取締役。秋田県出身。昭和大学薬学部生薬学・植物薬品化学研究室卒業。秋田の豊かな自然の中で、薬草や山菜を採りながら暮らす幼少期を過ごし、漢方や食に興味を持つ。薬剤師になり、北京中医薬大学で漢方・薬膳・東洋の美容などを学び、日本人で初めて国際中医美容師資格を取得。漢方薬局、調剤薬局、エステなどの経営を経て、漢方・薬膳をはじめとした医療と美容の専門家として活躍。おうちで食薬を手軽に楽しめる「あいかこまち」を開発。漢方カウンセラーとして、年間2000人以上の悩みに応えてきた実績を持つ。著書『1週間に1つずつ心がバテない食薬習慣(ディスカヴァー・トゥエンティワン)』は発売一ヶ月で七万部突破。『心と体が強くなる!食薬ごはん(宝島社)』、近著に『女性の「なんとなく不調」に効く食薬事典(KADOKAWA)』がある。
公式LINEアカウント@aika

『1週間に一つずつ 心がバテない食薬習慣』(ディスカヴァー)。

最新刊『女性の「なんとなく不調」に効く食薬事典』(KADOKAWA)
体質改善したい人、PMS、更年期など女性特有の悩みを抱える人へ。漢方×栄養学×腸活を使った「食薬」を“五感”を刺激しつつ楽しく取り入れられる。自分の不調や基礎体温から自分の悩みを検索して、自分にあった今食べるべき食薬がわかる。55の不調解消メソッドを大公開。

©TuiPhotoengineer/Gettyimages
©Kris Ubach and Quim Roser/Gettyimages
©fcafotodigital/Gettyimages

元記事で読む
の記事をもっとみる