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値引き後が本来の値段?冷凍食品が定期的に「半額セール」で販売できる理由

  • 2020.8.18
冷凍食品といえば「半額セール」
冷凍食品といえば「半額セール」

スーパーに行くと、さまざまな種類の「冷凍食品」が販売されています。新型コロナウイルスの影響で在宅勤務が広がり、昼食に冷凍食品を食べる機会が増えたという人も多いのではないでしょうか。冷凍食品といえば、さまざまな安売りが行われていますが、特売日として定期的に「半額セール」が行われます。スーパーに限らず小売店で、半額にまで値段を下げて売られる機会はバーゲン以外ではあまり見られないと思いますが、なぜ、冷凍食品は定期的に半額セールで販売できるのでしょうか。

経営コンサルタントの大庭真一郎さんに聞きました。

「オープン価格制」が定着

Q.冷凍食品は半額とまではいかずとも、定期的に安売りが行われています。なぜ、冷凍食品はこれだけ安売りを行う機会が多いのですか。

大庭さん「スーパーなどの小売店は集客の一環として、特定の目玉商品を店頭で安く販売する特売(セール)を行います。目玉商品を目当てに来店したお客さまに、目玉商品以外の商品もたくさん買ってもらうことを目的としています。

その中でも、冷凍食品は店が自由に販売価格を決定する『オープン価格制』による価格設定を行う商習慣が定着しており、メーカーから仕入れた当初は、店の利益を高くした価格にすることで、安売りをしても店側に利益が残るように設定しています。

また、賞味期限の長い商品であるため、売れ残りによる廃棄を心配せずに大量に仕入れることができ、これらのことが、冷凍食品が安売りの対象となることが多いことと関係しています」

Q.冷凍食品の安売りでも特に、半額にして販売されるケースもあります。なぜ、冷凍食品は定期的に半額セールで販売することが可能なのでしょうか。

大庭さん「通常の販売価格を最初に伝えた上で、それよりも大幅に安くした価格を提示して販売することにより、来店したお客さまは“得”をした気分になります。つまり、お客さまの頭の中で、最初に伝えられた通常の販売価格が基準となり、値引きされた商品を買わなければ“損”だという気にさせてしまうのです。

加えて、『半額』という表示はお客さまに与える衝撃が大きく、まとめ買いが期待できます。1商品当たりの利幅は小さくても、冷凍食品を大量に販売できれば、店側に残る利益は大きくなり(薄利多売効果)、先述した通り、冷凍食品は目玉商品に適しているため、定期的に半額セールとして販売する店が多く存在するのです」

Q.冷凍食品がこれほど頻繁に安売りされることから、ネット上には「安売りの価格が本来の価格なのでは?」と疑う声もありますが本当でしょうか。本当であれば、どのような仕掛けなのですか。

大庭さん「正しくは、安売りした価格でも店側に利益が残るということです。店は商品を販売できたとき、店側に利益が残るように販売価格を設定します。1つ当たり100円で仕入れた商品を販売するのに、1つ当たり25円のコストがかかるのであれば、販売価格は最低126円以上となります。

冷凍食品に関しては、通常は店側に高い利益が残る価格を設定し、安売りのときは店側に利益が残る最低販売価格を下回らない範囲で、値下げ後の価格を設定しているのが実情です」

Q.スーパーにとって、消費者から「なぜ、こんなに安売りばかりできるのだろう?」という疑念が出ても、冷凍食品を定期的に安売りするメリットは何でしょうか。

大庭さん「消費者にとって選びやすく、品質のよい商品を定期的に安く販売することで、『この店はお得な店だ』という印象をお客さまが持ち、来店頻度が高まります。加えて、口コミによる集客効果も発生し、それにより店の売り上げが向上します。

冷凍食品はメーカーが品質向上のための競争を繰り返しており、家庭では出せない味付けを実現した商品もあります。種類も豊富で、今や国民の食生活の一部として定着しているため、店側も冷凍食品を定期的に安売りすることで、店への高い集客力を維持し続けられるという大きなメリットを得ているのです」

Q.私たち消費者は、冷凍食品の安売りをどのように賢く活用すればよいでしょうか。

大庭さん「冷凍食品は定期的に安売りの対象になります。店側も、安売りしたときに大量に販売できればよいというつもりで販売をしています。しかし、価格が安くなったときにその都度、冷凍食品を買うようにしてしまうと、店に行く回数が増え、そのときに他の商品も買ってしまうことで店での買い物に対する総支出額が増えてしまう可能性があります。

そのため、価格が安くなったときに冷凍食品を可能な限り大量に購入し、安売りにひかれて店に行く回数を減らすことが賢い活用ではないのかと考えます」

オトナンサー編集部

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