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在宅勤務の疲れに?「サプリメント」に宣伝通りの効果はある?選ぶコツも解説

  • 2020.8.12
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健康食品やサプリメントの効果は?
健康食品やサプリメントの効果は?

新型コロナウイルスの流行後、テレビや新聞広告などで健康食品やサプリメントの広告を目にする機会が増えた人もいると思います。「体によい」「疲労が回復する」といった内容で宣伝されるため、外出自粛や在宅勤務などで疲れていると試してみたくなります。

健康食品やサプリメントを選ぶ際のコツはあるのでしょうか。また、それらは宣伝通りの効果があるのでしょうか。薬剤師の川口てるこさんに聞きました。

「サプリメント」と言えばサプリメント

Q.そもそも、健康食品とサプリメントは何が違うのでしょうか。

川口さん「『健康食品』『サプリメント』という用語はよく使われていますが、実は法律的な定義はありません。サプリメントは一般的に、ある成分が濃縮されているもので、錠剤タイプやカプセルなど通常の食品とは違う形をした商品を指します。健康食品は、通常の食品よりも『健康によい』『健康の保持増進に役立つ』などの表現で販売されている食品(全般)のことを指すことが多いようです。

健康食品の方が幅広く、健康食品の中にサプリメントが含まれるようなイメージでしょうか。法律的な定義はないため、販売業者が『サプリメント』といえば『サプリメント』ということになりますし、『健康食品』といえば『健康食品』ということになります。

その他、『栄養補助食品』『健康補助食品』などさまざまな名称が使われることがありますが、これも法律的な定義はなく、販売者が自由に表示することができます。つまり、『健康食品だからサプリメントより健康によい』ということもなければ、『サプリメントの方が濃縮されていて効果的』ということもありません」

Q.健康食品やサプリメントはどの程度、効果があるものなのでしょうか。宣伝通りの効果はありますか。

川口さん「消費者庁は6月5日、『新型コロナ予防効果』をネット広告で掲げた健康食品・サプリメントを販売した35の事業者に対して、景品表示法の優良誤認表示などの規定に違反する恐れが高いとして改善要請を行いました。事業者は『海藻類のフコイダン』『緑茶のエピガロカテキンガレート』『マイタケに含まれるβグルカン』『乳酸菌』などに新型コロナウイルスを予防する効果があると宣伝していました。

新型コロナウイルスはまだ、効果について評価が確定した治療薬やワクチンがないのが現状で、『予防効果がある』との表示は、客観性や合理性がないと判断されて当然です。健康食品やサプリメントは医薬品とは違い、『○○(病名)に効果がある』などと表示をすることができません。

しかし、例外として、『特定保健用食品(トクホ)』『機能性表示食品』は機能性を表示することが許されています。例えば、『おなかの調子を整えます』『脂肪の吸収をおだやかにします』などの表現が機能性表示に該当しますが、劇的に効果があるようには感じません。『便秘』『下痢』を治療するのが医薬品なら、日々摂取することで『おなかの調子を整える』のがサプリメントの役割なのです」

Q.健康を維持する上で、健康食品やサプリメントは必要不可欠なものなのでしょうか。それとも、まずは日々の生活習慣を見直した方がいいのでしょうか。

川口さん「アメリカでは、サプリメントは『食事の(dietary)、不足を補う(supplements)』の意味で『dietary supplements(ダイエタリーサプリメント)』と呼ばれています。その言葉の通り、食事の不足を補うものであり、食事の代わりになるものではないことに注意してください。そのため、まずは生活習慣を見直してみましょう。

しかし、『忙しく外食が多い』『食事を作る時間がない』『ストレスが多い』『睡眠が取れない』『ダイエット中』など、食生活や生活習慣を改善することが難しい場合も多いかと思います。そんなときは、上手に健康食品やサプリメントを取り入れてみてください。

その際、『野菜不足を補うため』なのか『腸のバランスを取るため』なのか『肌の調子のため』なのか、できるだけ目的を明確にしてから摂取するようにするにしてください。よいものを手当たり次第に求めると結局、自分にとってよかったのか悪かったのか分からないまま、サプリメントを転々と変えたり、サプリメントを増やしたりしてしまうことになりかねません」

商品を選ぶときのコツは?

Q.健康食品やサプリメントを選ぶ際のコツや基準はありますか。広告に「朝すっきり」などと効果をうたう宣伝文句や商品利用者の体験談(顔写真付き)が掲載されることがありますが、どの程度信用できるのでしょうか。

川口さん「もし、健康食品やサプリメントを選ぶときに迷うようであれば、先述の特定保健用食品(トクホ)、機能性表示食品を選んでもよいでしょう。特定保健用食品には、人が両手を上げているマークが商品パッケージに記載されているのが特徴です。

一方、機能性表示食品は『機能性表示食品』『届出番号:○○○』などの表示がそれぞれ、商品パッケージに記載されています。トクホのように国の審査を受けたものではありませんが、事業者自身が安全性や機能性の根拠となる情報などを届け出て一般公開しているため、一定の信頼性はあると考えて問題ありません。

また、『朝すっきり』などの宣伝は普通の健康食品やサプリメントが表示可能な表現です。大手企業のホームページを見ると、やはりこのような表現になっていると思います。健康食品やサプリメントは健康のために摂取するものなので、信頼できる事業者の商品を購入することをおすすめします。

使用者のレビューが顔写真付きで掲載されているものも見かけますが、それが本当であるかどうかは販売業者しか分からない情報です。うのみにせず、ある程度値引いて考えた方がいいといえます」

Q.健康食品やサプリメントを使う際の注意点はありますか。使用を避けた方がよい人はいるのでしょうか。

川口さん「体によいものだからといって、過剰に摂取することのないようにしてください。パッケージに記載された1日の目安量を守るようにしましょう。病気で通院中の人、服用中の薬がある人、お子さま、妊娠・授乳中の人、アレルギー体質のある人などはまず、かかりつけの医師や薬剤師に相談するのがよいでしょう。薬によっては、サプリメントと飲み合わせが悪いものもあります。

気になることがあれば、販売元の業者に連絡するようにしましょう。そのためにも、しっかりと連絡先が書いてある商品を買うようにしてください。連絡先が記載されていることが当たり前と思うかもしれませんが、意外と書いていない商品もあります」

オトナンサー編集部

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