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41歳貯金ゼロで結婚…金銭感覚の狂ったエリート会社員の末路

  • 2020.8.7
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独身の時は自分の楽しみのためにお金を使い、貯金は結婚をしてからと考える人は多いものです。金融広報中央委員会が発表した「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](令和元年)」では、30代の単身者で36.5%、40代では40.5%がなんの金融資産も保有していないと回答しています。

■41歳貯金ゼロで結婚、これから貯金するはずが

大企業で働くDさんも年収は800万円ありましたが、独身の時は給料が入ると友人や部下を連れて頻繁に飲みに行っていました。服やかばん・靴なども上質なブランド品をそろえた、自分の趣味や娯楽のためにお金を使い、貯金のことはまったく考えない生活を送っていました。

転機が訪れたのは41歳の時です。友人の紹介で知り合った3歳年下の女性と交際1年で結婚したのを機に、これからはきちんと貯金しようと決心されて相談に来られました。

Dさんの妻は、年収自体は350万円と多くありませんでしたが、幸い堅実な性格でお金の管理もしっかりしており、結婚時点で貯金が700万円近くありました。Dさんは転職する予定もなくこれからも安定した収入が見込めるので、夫婦で協力すれば貯金は簡単に貯められると思っていましたが、実際はなかなか思うようにいきませんでした。

■生活水準を下げられず口論が増える羽目に

Dさんの支出を詳しく見てみると、貯金ができない原因は高い家賃と被服費、そして月に何度も発生する交際費であることが分かりました。会社では管理職という立場上、部下を連れて飲みに行くときは全額とまではいかないまでも、毎回だいぶ多く支払っているとのこと。

まずはこの交際費を減らしてもらえるようお願いしましたが、2ヵ月後の面談では難しい、急に割り勘にすると部下が嫌がると言います。実際に部下から不満を聞いたわけではないですが、そう思われるのが嫌で言い出せないのです。

また、身に付ける物も長い間自分で厳選してきたせいでこだわりが強く、妻にも愛情から(?)同じようにいい品を買おうとするため、なかなか生活水準を下げることができません。

思ったように貯金が増えていかない上、Dさん夫婦は貯金ができるまでと先延ばしにしている結婚式の費用や、住宅購入のための頭金を用意する必要があります。

■一度狂った金銭感覚を戻す大変さ

Dさんは貯金がないので、これらの費用は一時的に妻の貯金から出してくれないかと頼みましたが、当然妻としては積極的になれません。聞けば700万円の貯金は一生1人でいるかもしれないという不安から必死に貯めてきたお金です。いくら夫婦で協力するのが大事と言っても、自分だけ貯金を取り崩すことを不公平と思うのも当然でしょう。

結局結婚して2年半たっても生活レベルを落とせないDさんと夫婦での口論が増え、将来のビジョンが見いだせなくなった妻は実家に帰ってしまい、今では別居状態です。

Dさんのお金の使い方は他の人から見れば無駄が多く、いつでも削減できそうに思えます。しかし、お金の使い方はその人の価値観を反映していることが多いので、変えるのは一筋縄ではいきません。Dさんは「周りの人によく見られたい。部下に慕われたい」という欲求が非常に強かったので、結局お金の使い方を変えられず、家庭がうまくいきませんでした。

■問題はいつでも貯金できるという「過信」

Dさんのように貯金ならいつでもできると考えている人は多いものです。しかし、自分の生活レベルを変えるというのは想像より難しいことです。独身の人でも老後資金が必要なことは分かっているはずですが、40代でも4割の人が貯金ゼロなのがその証拠です。今貯金がゼロの人は、いつかではなく今から少しずつ貯金する習慣を身に付けましょう。

文・松岡紀史(ファイナンシャル・プランナー、ライツワードFP事務所)
筑波大学経営・政策科学研究科でファイナンスを学ぶ。20代の時1年間滞在したオーストラリアで、収入は少ないながら楽しく暮らす現地の人の生活に感銘を受け、日本にも同様の生活スタイルを広めたいという想いから、帰国後AFPを取得しライツワードFP事務所を設立。家計改善と生活の質の両立を目指し、無理のない節約やお金のかからない趣味の提案などを行っている。

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