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辻 仁成の"パリ・スープ"|第七回 セビリアのガスパチョ

  • 2020.7.20
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情熱の国の食べるスープ「ガスパチョ」。今回も美味しくつくる秘密を伝授します。作家、ミュージシャン、映画監督など幅広く活躍をしている辻仁成さんは、本誌の連載「キッチンとマルシェのあいだ」でも書いているように、多彩で美味しい料理をつくります。その辻さんは「パリはスープの宝庫」と言います。パリに住んで18年の辻さんによる、やさしいご馳走“パリ・スープ”のレシピです。

辻 仁成の"パリ・スープ"|第七回 セビリアのガスパチョ

■セビリアのガスパチョを美味しくつくる

スペインのセビリアはご存じのように、アンダルシア州の州都なのですが、日本の方々にはフラメンコで有名な街と言った方が分かりやすいかもしれません。スペイン南部なので、とにかく太陽がすぐそこに……まさに、情熱の街なのです。

夏のセビリア料理と言えば真っ先に思い浮かぶのが「ガスパチョ」でしょう。セビリアのガスパチョはとにかくシンプルで、そして、シンプルだからこそ、毎日の飲める日常的健康食でもあります。トマトやニンニクをはじめとする各種野菜をミキサーにかけ、しかも、丁寧に裏ごしした舌触り、喉越しが特徴で、スペインをほぼ踏破したぼくですが、他を寄せ付けない圧倒的うまさのセビリアのガスパチョには、毎度、言葉を失っております。

もちろん、現地で、あの空気感の中、食べていただくのがベストですが、今回は、日本でセビリアの味わいを再現してもらいたく、レシピを工夫してみました。ぼくのYoutube「2Gチャンネル」でもセビリア特集をやりましたが、そこで紹介させていただいた老舗レストランのオーナー、ラモンおじさんから教わったのが今日、ご紹介する本場セビリアのガスパチョとなります。特段、目を見張るプレゼンテーションがあるわけでもないのですが、だからこそ、納得の王道ガスパチョです。ラモンおじさん曰く、コツはね、前日の仕込みと裏ごしだよ、と教えてくださいました。
いいですか?さあ、さっそく作ってみましょう。

□ラモンおじさんのセビリアのガスパチョ

◇材料 (4人分)

プチトマト:300g
きゅうり:1本
パプリカ:100g
玉ねぎ:50g
バゲット:4cmくらい(なければ食パン8枚切り1枚)
にんにく:1/2片
オリーブオイル:50ml
ワインビネガー:大さじ1
塩:適量
胡椒:適量
メロン:お好みで(飾り用、ミントでも)
カイエンペッパー:適量


ガスパチョは食べる前日から準備することが、ともかく美味しくいただく一番大事なコツになります、とラモンおじさんはしつこく力説しておられました。

(1)下ごしらえ
トマトは湯むきし、種をとる。きゅうり、パプリカの皮を剥き、きゅうりは塩もみする。玉ねぎはスライスして水にさらす。にんにくはみじん切りしておきます。

(2)マリネする
ボールに適当な大きさに切った1の野菜を全て入れ、小さくちぎったパン、オリーブオイル、塩、胡椒を加えてよく混ぜ、ラップをして一晩冷蔵庫でマリネしておいてください。

マリネする
マリネする
マリネする
マリネする

(3)裏ごしする
翌日、ビネガーを加え、マリネした2をミキサーにかけ、裏ごしをします。お皿にスープを盛り、ズッキーニ、トマト、パプリカなど小さく切り揃えた野菜(分量外)とメロンをちらし、カイエンペッパー、オリーブオイルをかけて完成となります。

裏ごしする
裏ごしする

前日の仕込み、マリネ、そして、当日の裏ごし、この部分をきちんとやりさえすれば、逆に誰でも本格的なセビリアのガスパチョを作れるというわけです。

今回ご紹介するガスパチョは、トマトとパプリカ、玉ねぎ、きゅうりが加わったいわゆる王道のセビリア風ガスパチョとなります。裏ごしして口当たり滑らかになったスープにトッピングした野菜の食感を加えることで、ガスパチョがまさに食べるスープに生まれかわるわけです。ちょっとした労力で最大級の成果を!ボナペティ!

文:辻 仁成 写真・協力:モーリヤック・井上 美希

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