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『おしゃれはやめない。』スタイリスト・山口香穂さんが考える、服選びのこれから。

  • 2020.7.12
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“お出かけ”が制限されそうな今夏。それでも盛り上がる物欲とどう付き合うか。「服を取り寄せること」について、スタイリストの山口香穂さんが自粛期間中に考えたこととは。

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繊細な糸で編まれた生地を使用したスモックドレスは〈HOLIDAY〉。「着るだけでテンションが上がる!」とモデルの花梨さん。足元は東京発のシューズブランド〈Sellenatela〉。クッション性のあるソールで長時間履いても疲れない。ワンピース 42,000円(ホリデイ 03-6805-1273)/サンダル 31,000円(セレナテラ ホールバイセレナテラ 03-6419-7732)

「ファッションは、どうなってしまうんだろう…」家にこもることを余儀なくされたとき、山口香穂さんの頭をよぎったのは東日本大震災のときの記憶だ。「必要ないって、また言われちゃうんじゃないかなって」それでも改めて気づいたのは、ファッションのチカラだった。「好きなもの心地よいものを身につけていれば、ハッピーとまではいかなくても、心が落ち込むことはなかった。“誰かに見られている”ではなく、自分がワクワク、ドキドキするか。着ていて気持ちいいか。大切なのは、そういうことだと」

おこもり中は、オンラインでの“ウィンドウショッピング”を楽しんだ。「お気に入りの店が始めたを見て、DMで問い合わせてみたり。素材の文章を読みながら、実際の着心地や組み合わせに想像をふくらませたり。興味を持ったブランドはHPに飛んでのぞいてみたり」今まで以上にブランドのストーリーを知ることができたのも、この期間があったからこそだという。

「足で探す喜びとはまた異なる面白さや発見に満ちていて、想像以上に楽しかった。おしゃれして出かけたい気持ちがますますふくらみました。と同時に、これからは今まで以上に素材や生産地、作り手の存在なども服選びの重要な要素になりそう」次に服を選ぶとき。私たちは何を思うのだろう。

1.なるべくメイドインジャパン。

世界中から服が流通していることが“あたりまえ”になり過ぎて、今回のような事態が起きるまで、服が届かないということが起こり得るとは想像しなかった人も多い。「国内の工場で作られているかいないかは大きい」

2.心が踊るカラーやプリントもの。

「黒はほとんど着ないんです。クローゼットは色柄物の洪水(笑)」という山口さん。撮影時に赤のワンピースを着用したモデルの花梨さんも「家では派手色ばかり」と賛同するなど、その効用は抜群。

3.「サステナブル」も意識したい。

7月1日から全国でスタートするレジ袋有料化。近年問題となっている海洋プラスチックごみの原因でもある過剰プラスチックの課題を解決するための第一歩となる。「エコバッグは新時代のマストアイテムですね」

4.肌になじむ心地よさは妥協しない。

「気持ちいい、という第一印象ってすごく大きいと思う。着込んでいくうちに、どんどん自分の肌になじんでいくあの感覚も愛おしいんです」。オンラインでは素材に触れられないぶん、表記のチェックは念入りに。

Navigator…山口香穂(やまぐち・かほ)

スタイリスト。栃木県生まれ。轟木節子氏に師事後、2014年に独立。雑誌、Web、広告などで活動中。本誌巻頭にて「Something Good」を連載中。

(Hanako1186号掲載/photo:Keisuke Kitamura styling:Kaho Yamaguchi hair&make:Yoko Hirakawa model:Karin illustration:Maori Sakai text&edit:Yoshie Chokki)

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