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心が浄化される。エルメス銀座の「コズミック・ガーデン展」

  • 2020.7.11

リモートワークや外出自粛で、以前よりも外に出る機会が減った中で、久しぶりに見た青空に癒された、という人も多いのでは? そんな、心が洗われる「空」や「宇宙」を想起させる「コズミック・ガーデン」サンドラ・シント展が、今、銀座のメゾンエルメスで開催されている。

サンドラ・シントは、1968年、ブラジルで生まれたアーティストだ。星や結晶、波などをモチーフにしたドローイングを元に、数々のインスタレーションを手掛けてきた。
アメリカやブラジル、スペインで個展を開いているほか、シアトル美術館が運営するオリンピック彫刻公園では壁画作品などのパブリックアートも制作。日本でも豊田市美術館(2008年)や、青森公立大学国際芸術センター青森での滞在制作(2015年)に参加している。

©Nacása & Partners Inc. / Courtesy of Fondation d’entreprise HermèsHarumari Inc.

シントは自身のアートを定義する言葉として「ドローイング」、「建築」、「鑑賞者」の3つを挙げているが、今回の展示も、まさにその一つひとつを形にしたものといえる。

©Nacása & Partners Inc. / Courtesy of Fondation d’entreprise HermèsHarumari Inc.

まず、会場には宇宙を象徴的に表す青のグラデーションを使用。水色の「朝」から紺色の「夜」へ、「時の移ろい」を体感できる空間となるよう、会場の窓から差し込む光も計算されているという。

©Nacása & Partners Inc. / Courtesy of Fondation d’entreprise HermèsHarumari Inc.

また、中央のキャンバス作品を起点に会場全体へと広がるドローイングは、6人のアーティストともに2週間かけて作り上げたもの。シントがこの25年間描き続けてきた山々や星、水、風といったモチーフが、細く繊細な線で描かれている。

そして、この美しい作品を全身で感じられるのが、「夜」の展示室。壁面だけでなく床のカーペットやクッションにもドローイングが展開されている。

©Nacása & Partners Inc. / Courtesy of Fondation d’entreprise HermèsHarumari Inc.

座って作品を眺めていたら、銀座の中心だということ、そして時間の経過すらも忘れて没入してしまいそうだが、まさにそれが本展の目的のひとつでもある。シントにとってドローイングは、人々の体験や記憶、夢を共有する内省的な言語であるとともに、瞑想や休息をも意味しており、今回の展示でも鑑賞者に「自分との対話」を促しているのだ。

©Nacása & Partners Inc. / Courtesy of Fondation d’entreprise HermèsHarumari Inc.

「私はアートとは人々が自分自身と繋がり、自分という存在を理解するひとつの方法だと信じています。そのようにして再発見された自分とは、どこか深甚で神秘的な姿をしているのではないでしょうか」(サンドラ・シント)

©Nacása & Partners Inc. / Courtesy of Fondation d’entreprise HermèsHarumari Inc.

アートを通じて、人とのつながりの意味を考え、自分と向き合ってほしいと語るシント。それは、急激な変化の中を生きてきた今の私たちにこそ必要な体験である気がしてならない。せわしない日々の中、少し疲れを感じているという人は「コズミック・ガーデン展」に訪れてみてはいかがだろう。

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