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お金の管理を夫任せにしていた夫婦の末路

  • 2020.7.6
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家計の相談内容は各世代によって異なりますが、50代で最も多いのはやはり老後の生活に関するご相談です。60代で引退し、2人での新たな生活の希望を語られるご夫婦がいる一方、1人で相談に来られる人も多くいらっしゃいます。1人で相談に来られる人は、「配偶者が貯金に協力してくれない」と自分がお金を管理しているパターンか、「配偶者はきちんと老後に備えてくれているのか心配」と家計を一方に任せきりにしてきたパターンがほとんどです。今回は、お金の管理を夫任せにしていた夫婦の末路をご紹介します。

■大企業の管理職で老後も安泰のはずが

先日相談に来られたAさんも、家計を夫に任せきりにして最近急に老後が不安になったという方でした。夫は有名な大企業に勤め、転職する予定もなく、収入は安定しています。年金も計算してみると夫婦で月に25万円程度支給されることがわかりました。

現在は夫から渡される生活費内でやりくりできており、生活水準が高すぎるということはありません。むしろ非常に堅実に生活されているなという印象でした。

■50歳で住宅を購入

Aさん夫妻にはお子さんがいらっしゃらなかったので、将来の住まいを確保するため、50歳で住宅ローンを組んでマンションを購入していました。退職金でローンは完済できると見越しての決断でしたが、退職金をあてにするのは実はとても危険です。この段階で退職金以外の資産などを夫婦で話し合う必要がありました。

■退職金の運用と夫の借金

●退職金が思ったよりもらえない?

相談に来られたきっかけは、夫から「退職金が予想より3〜400万円少なくなりそう」という一言でした。よく聞くと、会社の退職金制度は確定拠出年金、つまり自分で運用するタイプのもの。一時期は運用成績がよく順調に資産を増やしていましたが、50代になっても元本確保型の商品に切り替えていなかったため、かなり目減りしていると言います。今から切り替えても損失が確定するだけですし、将来さらに資産が減っているかもしれません。

また、あまり知られていませんが、退職金にも税金はかかります。このことをお伝えすると「退職金にまで税金が取られるんですか…」と驚かれていましたが、退職金の額が多く勤続年数の短い人ほど税額が多くなるので、退職金をあてにする場合は税引き後の金額を計算しておく方がいいでしょう。

●夫の借金も発覚

ご主人も交えて相談を重ねていくと、ご主人に消費者金融での借入があることがわかりました。会社の付き合いなどでどうしても必要だったとのことですが、金額が300万円程度に膨らんでいます。当然貯金もほとんどありません。

「退職金で完済できる予定だったし、妻に心配をかけたくなかった」という言い分も理解できますが、50代では大幅な収入アップも期待できません。老後の生活はかなり厳しくなることをお伝えし、今後家計の管理は必ず2人ですると約束していただいて相談を終えました。

■家計の管理をどちらかに任せてしまう夫婦のパターン

夫婦のうち一方に家計を任せっきりにしてしまったがゆえに、取り返しが付かなくなるケースは少なくありません。逆にいうと、家計の管理を2人で考えれば防げたケースもたくさんあります。

今回のケースでは、ご主人は責任感が強く、妻のために将来の住処を用意してあげたい想いから住宅購入を決断しましたし、妻に心配をかけたくないために借金のことも言い出せませんでした。

一方、妻は「夫の方が資産運用に詳しいから」という理由で夫に任せっきりにしていました。このような人は多いのですが、投資に詳しいからといって必ずうまくいくとは限らないのが資産運用の難しさです。

■家計の情報は夫婦で共有を

今現在、家計を夫婦の一方に任せっきりにしている人は、一度家計に関して夫婦で話し合ってみましょう。もし問題が発生しても、1人が何も知らずに不安な気持ちを持って過ごすより、2人で話し合って問題解決に向かう方がお互い安心できます。その時は喧嘩になったとしても長い目で見ると夫婦仲にプラスに働くでしょう。

文・松岡紀史(ファイナンシャル・プランナー、ライツワードFP事務所)
筑波大学経営・政策科学研究科でファイナンスを学ぶ。20代の時1年間滞在したオーストラリアで、収入は少ないながら楽しく暮らす現地の人の生活に感銘を受け、日本にも同様の生活スタイルを広めたいという想いから、帰国後AFPを取得しライツワードFP事務所を設立。家計改善と生活の質の両立を目指し、無理のない節約やお金のかからない趣味の提案などを行っている。

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