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年金記録の「空白期間」放置は危険?今すぐ対策をとって年金を守ろう

  • 2020.7.4
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「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」で自分の年金記録を確認すると、年金の加入履歴に予期せぬ未納期間(空白期間)が見つかることがあります。年金に空白期間があると、将来の年金が減るだけでなく、障害年金や遺族年金の支給にも影響します。そこで今回は、空白期間がある場合の原因とその対処法をご紹介します。

■知らないうちに年金に空白期間ができる?

●転職したとき

会社員の人は原則として厚生年金に加入していますが、転職し新しい会社が決まるまでに期間が空くと、その間国民年金に加入する必要があります。具体的には月末にどこの会社にも在籍していなければ国民年金へ切り替えをしなければならず、手続きを忘れると未納期間が発生してしまいます。

●扶養配偶者

本人の公的年金が変わる場合、扶養配偶者も注意が必要です。厚生年金と違い、国民年金には扶養という考えはありません。会社員でなくなったら扶養する配偶者の分も忘れず国民年金に切り替えましょう。

●離婚したとき

婚姻関係を解消した場合、公的年金の変更手続きは自分自身で取らなければなりません。特に扶養配偶者だった場合、離婚後は自分で保険料を払わなければならず、手続きが遅れるとその間が未納期間になります。

■空白期間があるとどうなる?

●将来の年金受給額が下がる

20歳から60歳まで40年間忘れず保険料を払い続けた場合、国民年金から支給される老齢基礎年金は満額の78万1,700円(2020年度)です。この支給額は保険料の納付月数で決まるので、空白期間が1ヵ月増えるごとに、約1,629円将来の年金は少なくなります。

わずかな額と思われるかもしれませんが、空白が1年になると約1万9,548円支給額が減り、65歳から85歳までの受給と考えると20年間で計39万960円の差になります。

●障害年金・遺族年金が受け取れない可能性も

国民年金から支給される障害基礎年金や遺族基礎年金の支給要件に、「初診日または死亡日の前々月におけるすべての被保険者期間のうち、3分の2以上が保険料納付済期間または保険料免除期間であること」という項目があります。

ただし、この要件を満たしていなくても、特例措置として初診日または死亡日の前々月における直近1年間に未納期間がなければ給付を受け取れます。ただし、1年以内に未納期間があると「1年間の保険料済要件」も満たせなくなり、これらの年金を受け取れなくなるかもしれません。

■空白期間は今すぐ対処を!

●2年以内ならさかのぼって納められる

国民年金保険料は、納期限(納付対象月の翌月末日)から2年以内であれば、さかのぼって納めることができます。2年を超えると時効になり納めることができなくなるので、未納期間を見つけたら早めに納付しましょう。

●お金がない時は免除・猶予の申請を

もし失業中や転職活動中などでお金がない場合、保険料の免除や納付猶予制度の利用をおすすめします。免除された期間は老齢年金を受け取るときに税金分が加えられますし、万が一の際の障害年金や遺族年金も受け取れます。

また、免除・猶予期間の保険料は10年以内であれば後から追納できます。

●保険料を支払えない場合の任意加入制度の検討を

未納のまま何もせずに2年以上放置すると、保険料を払うことができなくなります。それでも将来の年金額を満額に近づけたい場合、「任意加入制度」を利用する方法があります。この制度では、60歳から65歳の5年間で未納分の保険料を納めます。

■空白期間の放置は危険!すぐに対処しよう

知らない間に年金記録に空白期間ができてしまう理由と空白期間のデメリット、そしてその対処法をご紹介しました。普段は年金の記録を確認することはないかもしれませんが、公的年金はみなさんの老後だけでなく、障害を負ったときや万が一の時に残された家族を守るためにも大切な制度です。しっかり確認して空白期間があればすぐに対処しましょう。

文・松岡紀史(ファイナンシャル・プランナー、ライツワードFP事務所)
筑波大学経営・政策科学研究科でファイナンスを学ぶ。20代の時1年間滞在したオーストラリアで、収入は少ないながら楽しく暮らす現地の人の生活に感銘を受け、日本にも同様の生活スタイルを広めたいという想いから、帰国後AFPを取得しライツワードFP事務所を設立。家計改善と生活の質の両立を目指し、無理のない節約やお金のかからない趣味の提案などを行っている。

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