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最近マイナス思考なのは、寝不足が続いているから⁈

  • 2020.5.21
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睡眠研究誌『The Journal of Sleep Research』に掲載された新たな論文によると、1日5時間の睡眠が5日間続いただけで私たちはマイナス思考になってしまう。

十分な睡眠(1日7~9時間)をとれば、前向きな気分になれるだけでなく、記憶力やランニングパフォーマンスが向上することもある。

睡眠研究誌『The Journal of Sleep Research』によると研究チームは、通常の睡眠時間で5日間過ごしたあとの被験者42名に90枚のイメージ(見た感じが良い写真、普通の写真、不快な写真)を見せ、その反応を記録した。その後、研究チームは被験者の睡眠時間を5日間制限し、同様の反応テストを行った。

この研究に参加した人々の通常の睡眠時間は1日7~9時間。テストの前には、気分障害、不安障害、睡眠障害、不眠症の有無を確かめるスクリーニングも行われた。

睡眠時間が制限されると被験者の気分は著しく悪化し、注意力も低下した。中でも特に注目すべきは、見た感じが良い写真や普通の写真に対しても、不快感を示す被験者が増えたこと。研究チームによると、この結果は重要な意味を持つ。というのも、病気、睡眠障害、仕事量、生活習慣の問題による慢性的な睡眠不足は、かなりよくあることだから。

誰にとっても睡眠は絶対不可欠。この論文の筆頭著者で伊ラクイア大学生物工学・応用臨床科学部のダニエラ・テンペスタ博士によれば、これまでの研究結果も、途切れ途切れの睡眠や短時間の睡眠が認知機能や生理機能に与える深刻な影響を示している。そして今回の研究結果は、睡眠が私たちの感情にも影響を与えることを示したもの。

「睡眠は、感情処理のさまざまな構成要素に大きな影響を与えます」と説明するテンペスタ博士によると、睡眠は感情的な記憶と反応の両方に影響を与え、私たちの気分ばかりかリアクションもネガティブにする。

でも、睡眠時間の長さが大事なのはなぜ? テンペスタ博士いわく、これは睡眠時間が短いとレム睡眠(夢を見る時間)も短くなるから。レム睡眠は夜の後半にやってくる睡眠のステージで、記憶と感情に深く関係する扁桃体や海馬といった脳の領域は、この間に感情的な記憶を処理して倉庫に移す。

テンペスタ博士によれば、この処理に充てる時間が短くなると、日中に感情的なリアクションをとる可能性が高くなる。つまり、米国疾病対策予防センターが推奨する1日7~9時間の睡眠をとれば、前向きな気分になれるだけでなく、記憶も的確に整理されるということ。過去の研究によって、十分な睡眠をとれば、ランニングのパフォーマンスやペースも向上することが分かっている。

この研究が行われたのは新型コロナウイルスが流行り出す前。でも、睡眠の専門家たちは、このパンデミックによる睡眠不足がもたらす影響に懸念を示す。米シカゴ大学医学部によると、睡眠は私たちの免疫機能、ムード、脳機能、活力に不可欠であり、COVID-19は不安に関連する睡眠問題を拡大させる可能性が高い。

では私たちはどうすればいいのだろうか? まずは毎日同じ時間にベッドに入る、アルコールとカフェインの摂取を控える、定期的にエクササイズを行うなど、その効果が実証済みの戦略を試してみよう。このような生活習慣は、世界的な健康危機に直面していなくても、役に立つはずだから。

※この記事は、ランナーズワールドから翻訳されました。Text: Elizabeth Millard Translation: Ai Igamoto

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