1. トップ
  2. ライフスタイル
  3. 料理は心の治療になる! お菓子作りはストレスを和らげてくれるって知ってた?

料理は心の治療になる! お菓子作りはストレスを和らげてくれるって知ってた?

  • 2020.5.8

コロナウイルスが発生して以来、さらにストレスを誘発するようなニュースの報道が絶えない。外部からのさまざまな情報は、私たちの不安を和らげるどころかさらに追い打ちをかけている。

最近では、ストレスや不安を抱える人たちが「お菓子作り」に励んでいるとか。その理由とは? その内容をアメリカ版ウィメンズヘルスからご紹介。

これには、「ストレス・ベイキング(stress baking)」や「アングザエティ・ベイキング(Anxiety Baking)」「プロクラスティベイキング(procrastibaking:お菓子作りに時間を割いてやるべきことを敢えて遅らせる)」など、さまざまな呼び方がある。人は不安でいっぱいになると、その不安を紛らわせる何かを求める傾向にある。この要求を満たしてくれるのが、お菓子作りなのだそう。テキサス大学サンアントニオ校で心理学の教授を務める臨床心理学者のメアリー・マクノートン=キャシル医学博士によれば、お菓子作りは、新しい味を加えてみたり色や形を変えてみたりと、自分が思うままにクリエイティブになれるアクティビティの一つだという。「スパイスやバニラの香りに気分が癒やされ、幸せな時間を思い出させてくれます。嗅覚は、特に感情や記憶を司る脳の領域と密接につながっていますから」

私たちは、生活の中で無意識にルーティンを必要としている。お菓子作りの根底にあるものがまさにそれ! 「お菓子作りには、リズムやパターン(決まったやり方)があります」と、マクノートン=キャシル医学博士。「そこに親しみを覚え、マインドフルな状態に導いてくれるのです」

マインドフルネスとは、今という瞬間に意識を向けること。そうすれば、今起きていること対して“反応”するのではなく、自分自身の“反映”だと捉えられるようになる。実際に多くの心理学者たちは、マインドフルネスを実践することが、不安症やうつ病を克服する最善な方法の一つだと提唱している。決められた分量や手順に従う必要があるお菓子作りに集中しなければ、出来上がったお菓子が台無しになってしまうことはしばしば。失敗しないためには、分量をきちんと計量し、混ぜたり丸めたり型取りしたりと(楽しみながら)淡々にこなしていくことが、全てのレシピに求められていること。最終的には、ストレスが解消されているだけでなく、美味しいカップケーキが焼きあがっている。

カップケーキのように、何かをやり遂げた結果が形となるのは、脳にも良い影響を与えてくれるとのこと。「仕事で目に見える成果や結果が得られないことは、現代社会を生きる私たちが抱えやすいストレスの一つです。毎日クタクタになるまで働いたうえに、毎日の仕事の成果を計る指標もないですからね」と、マクノートン=キャシル医学博士。「現代の私たちとは対照的に、昔の人たちは、食料を栽培したり、自分の家を建てたり、裁縫をしたりと、生き延びるための身体的活動に注力する必要がありました。これらは体力のいる作業ですが、同時に強い達成感を得ることができます。現代の若者の間で工芸や家のリフォーム、料理への関心が高まっている背景には、このような理由が考えられます」

最近のインスタグラムを見る限り、私たちの多くが、家にこもってお菓子を焼きながら、今の環境をどうにか良くしようと努力している。「お菓子作りは非常にやりがいを感じられるので、孤独や疎外感を感じている人は特に、豊かな時間を過ごすことができるはずです」と話すのは、不安を抱える人たちが共にお菓子づくりに取り組むオンラインコミュニティ「Depressed Cake Shop」を運営をするバレリー・バン・ガルダー。焼きあがったお菓子はポップアップストアなどで販売し、その売上をメンタルヘルス支援団体に寄付しているとのこと。インスタに投稿した、灰色にちょこっとアクセントカラーを入れたクッキーは、“かすかな希望”を象徴しており、過去7年間で数十万ドルもの資金を調達している。ガルダーは、自身のコミュニティに参加する人たちの内情まで知ることはできないため、とにかくみんなの気分を盛り上げられるような雰囲気作りを心がけているという。

View this post on Instagram

Sneak peek of some “Stressed Out Snickerdoodles” created by @betsys_cookie_co that will be available this Saturday when we pop up at @trailheadboise in Boise. Details in our bio! Proceeds to @sanctuaryboise ?☔️??? #dcsboise #depressedcakeshop #boise #bakeamericagreatagain #mentalhealth

A post shared by Depressed Cake Shop (@depressedcakeshop) on

「私たちは普段からソーシャルメディアを非難しがちでもありますが、今こそうまく活用すべきときです。きっとあなたの寂しさを癒やしてくれるはずです。インスタグラムを通して共通の趣味を持った人とつながることで、コミュニティーの愛を感じることができます」

ガルダーは、現在自主隔離によるストレスを感じている人たちに向けて「#bakeyourmindoffit(お菓子作りでリラックスしよう)」というハッシュタグで投稿を発信し、模様付けされたサワードウや、トイレットペーパーをモチーフにしたクッキーなどがタグ付けされている。お菓子作りに得意不得意は関係ない。ガルダーは、マクノートン=キャシル医学博士の意見に賛同している。「お菓子作りは夢中になれる作業なので、不安を感じることのほうが難しくなります。小麦粉の分量を正確に計らなければならないので、ネガティブな思考は消えてなくなります。お菓子を希望通りに完成させたければ、ベーキングパウダーや砂糖の分量も全て正確に計量しなければなりませんからね」

フードブログ「Inspiralized」を創設したアリー・マフチもまた、「ずっと言い続けてきたことですが、料理は私にとって治療なのです」と、インスタストーリーに投稿した。「先行きが不透明な状況のなか、心の平穏を保つのに非常に役立っています。私も新たなハッシュタグ(#letscookthroughthis)を作りました。みなさんの参加をお待ちしています」とコメント。

「このアイディアを気に入ってくれたり共感してくれた人たちから、多くのダイレクトメッセージをいただいています。料理は私たちの心を確実に癒やしてくれます」と、アリー。彼女にとって料理とは、人々や家族との結びつきをより深めてくれるもの。「小さな息子のルカとは、これまでに増して料理を一緒に楽しんでいます。以前の息子は、チーズを料理に振りかけるくらいしかしませんでしたが、卵を混ぜたり、オートミールに果物をのせたり、お菓子の生地に材料を加えたり、いろんなことに挑戦させています。私のキッチンには、今まで以上に愛で溢れています」

ベーキングセラピーは、次世代のアートセラピー(絵画療法)になりえる? 「聞いたことはありませんが、私はこの考えがとても気に入っています」と、マクノートン=キャシル医学博士。「料理番組を見るとリラックスできると話す友人もいるくらいですからね」

ブラウニーやケーキを焼いて、不安な気持ちを和らげてみよう。効果があれば、クッキーやパンをどんどん焼いて、自分の心を落ち着かせてあげて。世界中のみんなも同じことをしているから(トイレットペーパーの次は、イーストや小麦粉が品切れになってしまうかも!)

※この記事は当初、アメリカ版『Delish』に掲載されました。

※この記事は、アメリカ版ウィメンズヘルスから翻訳されました。

Text: ELIZABETH MILLARD Translation : Yukie Kawabata

元記事で読む
の記事をもっとみる