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感謝の念を持つことが、健康を促進する?

  • 2020.4.27
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日頃から自分が恵まれていることを言葉に出して、または心の中で感謝すれば、本当に健康が改善するらしい。

心理科学専門誌『Frontiers in Psychology』に掲載された論文によると、物事や人に感謝する時間を作れば、睡眠の質が改善し、血圧が下がるだけでなく、体内の炎症が治まって、ケガの治りも早くなる。

もちろん、サンキューメモを1枚書いた瞬間にコレステロール値が下がるわけではない。でも、米南カルフォルニア大学パフォーマンス科学研究所でプログラムデザイン・戦略・支援活動を率い、感謝の念が人間のパフォーマンスに与える影響を幅広く研究してきたグレン・フォックス博士によると、それを毎日の習慣にしていれば、いつか必ず報われる。

ありがたいと思った瞬間、脳ではドーパミン、オキシトシン、エンドルフィンの混合物が分泌されます」とフォックス博士。「これはランナーズハイに似た現象ですよ」

ドーパミンは幸福感や喜びをもたらすホルモン。オキシトシンはストレスを減らす上で重要な役割を果たし、エンドルフィンは痛みを和らげ、幸福感を高めるのに役立つ。慢性的なストレスや惨めな気持ちは、体に甚大な被害をもたらしかねない。心理科学専門誌『Psychological Science』に掲載された2018年の論文も、長期的なストレスが心臓病や高血圧につながることを示している。

フォックス博士の話では、感謝の気持ちをもっと示せば、心が落ち着き、心拍数も低下する。米メイヨークリニックによると、安静時の心拍数が一貫して低い(一般的な成人で1分間の心拍数が60~100回/超フィットなら40回に近い)のは、心臓が最適かつ効率的に機能している証拠。逆に安静時の心拍数が一貫して低いと、循環器疾患専門誌『Heart』に掲載された2013年の論文にある通り、高血圧、高コレステロール、体重過多、早死にのリスクが高まる。

感謝の心は、体の健康だけでなく、メンタルヘルスやランニングのパフォーマンスも向上させる。

「心理学者も、前向きに考えれば前向きな気持ちになれるので、最終的に良い結果が出ると言いますよね」と話すのは、認定ストレングス&コンディショニングスペシャリストでランニングコーチのジャネット・ハミルトン。「私はアスリートたちに、長距離走では前向きなマントラを唱えるようにと言っています」

しかも、臨床心理科学専門誌『Clinical Psychological Science』掲載の2019年の論文によると、自分に思いやりの言葉をかける人は、自虐的な独りごとを言う人よりも幸せでエネルギッシュ。

フォックス博士いわく、感謝日記をつけたり、お礼の手紙を書いたり、人に感謝の言葉をかけたりすると、感謝の念を持つことが習慣になりやすい。

「感謝したいと自然に思えるようになり、感謝することが毎日の楽しみになれば一番いいですね。やらされていると感じるようでは意味がありませんから」とフォックス博士。「自分にとって最適かつ生産的な時間帯を見つけ、感謝の気持ちを示してください。最初のうちは30秒でも構いません。そこから徐々に時間を増やしていきましょう」

ランナーズワールドがインスタグラムで「長距離走で壁にぶち当たったら、どうやって乗り切るか」という質問をしたところ、メリッサ・エメリーというひとりの女性がこう答えた。

「壁にぶち当たったら、ありがたいと思うことだけを考えながら次の1kmを走ります。『この美しい景色に感謝します。この歩道にも太陽にも感謝します。自分の脚に感謝します。痛くても走れるから』といった感じです。そうすると、1kmを過ぎる頃には壁が消え、走り続けられるんです」

このアプローチにはフォックス博士も大賛成。

「1日1日、1走1走が感謝を示すチャンスであることを忘れずにいれば、走るのがもっと楽しく、もっとラクになるかもしれませんね」

※この記事は、ランナーズワールドから翻訳されました。Text: Danielle Zickl Translation: Ai Igamoto

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