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「私は悪いフェミニストになる」──マドンナの飽くなき闘い。【社会変化を率いるセレブたち】

  • 2020.4.21
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女子はゲームをしなければならない。

2017年のNYのブルックリン・ミュージアムで開催された、マドンナとマリリン・ミンターのフェミニズムに関するトークショーで撮影。Photo_ Getty Images
Madonna and Marilyn Minter at the Brooklyn Museum2017年のNYのブルックリン・ミュージアムで開催された、マドンナとマリリン・ミンターのフェミニズムに関するトークショーで撮影。Photo: Getty Images

今月9日、マドンナ(Madonna)は自身のSNSで、1人の家族と2人の友人を新型コロナウイルスで失ったことを明かし、ワクチンの開発に100万ドル(1億1000万円)を寄付したと発表した。

時代の流れとともに社会を動かしてきた、というよりも、自ら時代の流れをつくることで社会を動かしてきたマドンナは、男性の絶対的支配を社会の基本法則としていた時代に、批判の矢面に立つ恐怖と闘いながらも弱者の権利を主張してきた。

2016年のビルボード・ウーマン・オブ・ザ・イアー賞に輝いた彼女が行った、女性のダブルスタンダード問題を顕在化するスピーチが今も心に突き刺さる。皮肉に満ちたその内容に、レディ・ガガ(Lady Gaga)は称賛の言葉を送り、多くの女性が涙した。

「女子はゲームをしなければいけません。きれいで、可愛くて、セクシーでいることはいい。でも賢く振る舞い、既定路線から外れる意見を持ってはいけません。ふしだらな格好をして男性からモノのように扱われるのはいい。けれど、それとあなたの個性と混同してはいけません。自分の性的なファンタジーを世界に発信してはいけません。男性の望む女性であり、女性に危機を与えない女性でいましょう。そして、歳を取ってはいけません。それは罪だから。このルールを守らなければ、批判され、非難され、ラジオで曲をかけてもらえなくなるのです」

私たちが支えるのは、尊敬すべき人。

2016年の「ビルボード・ウーマン・オブ・ザ・イアー」に輝いた際のマドンナ。Photo_ Getty Images
Billboard Women In Music 20162016年の「ビルボード・ウーマン・オブ・ザ・イアー」に輝いた際のマドンナ。Photo: Getty Images

この言葉の背景には、マドンナが幾度となく経験してきた女性差別と偏見があった。90年代に発売した写真集『Sex』とアルバム『エロティカ』は、女性やゲイコミュニティの権利に一石を投じる内容だったが、性と真正面に向き合った本作品は、世間のバッシングにさらされ、女性のフェミニストからも「女性の立場を後退させた」と痛烈な批判を受けた。当時、愛や性をテーマにした楽曲を手掛ける男性アーティストには起こらない逆風を、マドンナはめいいっぱいに受けたのだった。そして彼女は誓った。

「私は悪いフェミニストになる」

男性優位の社会をいやというほど見てきた彼女が、スピーチの最後に現代を生きる女性たちに送ったメッセージは、私たちの生きる指針になる。

「女性は長い間抑圧されてきました。男性を影で支えることが女性の美徳とされてきたのです。確かに、支えるに値する人はいるかも知れない。でも、それは彼が男性だからではなく、尊敬すべき人だからであるべきです。皆さん、互いの価値を正当に評価し、学び合い、支え合える強い女性を探し求めてください」

Text: Mina Oba

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