1. トップ
  2. ライフスタイル
  3. 老後資金「2000万円以上必要な人」と「2000万円かからない人」【老後までに2000万円貯められる? 第3回】

老後資金「2000万円以上必要な人」と「2000万円かからない人」【老後までに2000万円貯められる? 第3回】

  • 2020.3.18
  • 7188 views



「『老後2000万円問題』で不安や疑問を覚えた今こそ、年金について学び始めるチャンスです」と言うのは、ファイナンシャルプランナーの横山光昭さん。

学び始めると言われても、何をどうやって考え始めればいいの? 最初の1歩がわかりません!! そんな人のために、「2000万円より必要な人、少なくて済む人」の具体例を教えてもらいました。

この記事は、
第1回「『老後が不安』で終わらせていいの?」
第2回「じつは『老後に2000万円必要』とは報告されてなかった!?」の続きです。

■そもそも「2000万円が不足」って、何?

前回の記事で、「2000万円問題は、ある一組の夫婦の資産の(例)にすぎない」と、書きました。(例)となっている家計は、下記です。ポイントを3つあげておきましょう。

●「2000万円問題」のモデルとなった家計のポイント3つ
1)夫が65歳以上で妻も60歳以上。二人とも無職
2)年金収入が約21万円なのに対し、支出は約26万円
3)月額5万円の赤字が出る

家計の内訳は、次のとおりです。ご自身の家計と比べてみて、いかがですか? たとえば、この家計の住居費は、月額13,656円です。この金額ですと「家賃」というよりは、「持ち家でローンは完済。固定資産税などを月額割にした数字」なのではないでしょうか?




■「どんな生活をしたいか?」で必要な金額は変わる

こんなふうに、モデルとなった家計と、「わが家の家計」を照らし合わせてみる作業を、まず始めてみると良いと思います。その上で、「では、自分自身の老後をどんなふうにしたいか?」を、考え始めてみましょう。



「まずは自分の老後のビジョンを決めることから始めましょう。そうでないと老後の必要額はわかりません」(横山さん)

そう言われても、多くの人は「心配のない老後にしたい」というくらいしか、イメージが沸かないかもしれませんね…。

そこで、23,000件以上の家計をみてきた、家計のプロ横山さんの出番です! 今回は、「2000万円」を基準にして、2000万円以上老後資金が必要な人、2000万円までなくても大丈夫な人の、「ありがちな収支パターン」を教えていただきました。

●ありがちな収支パターン4例
1)Aさん:2000万円では全然たりない人
2)Bさん:2000万円までなくても足りる人
3)Cさん:年金のみでもいける人
4)Dさん:Aさんのバージョン違いの「2000万円ではたりない人」
※Dさんは、わりとよくみられるパターンだそうです。
ここで、今回の「試算の条件」のポイント整理しておきましょう
●今回試算条件
1)「将来の収支予想の収入」は年金のみの収入で、年金のみで生活した場合
2)年金受給額は、今後の加入状況や収入の状況を予測した概算
3)予備費用は、リフォーム、介護、病気、旅行費用に充てるための金額

▼パターン1)Aさん 2000万円では全然たりない人


【診断】 高支出メタボ家計



Aさんは、こんな人 → ちょっといいもの症候群
Aさんは、現役時代の年収が1100万円と非常に高いので、いわば「ちょっといいもの症候群」です。

消費では、「ちょっといいもの」を選びがちなので、生活コストがかかります。また、資産形成は、「賢くできるはず!」という気持ちで堅実路線とは言い難いチョイスをしていますが、思うような結果は得られていません。

▼パターン2)Bさん 2000万円までなくても足りる人


【診断】 無駄のない節約家計



Bさんは、こんな人 → 堅実な生活者
Bさんの現役時代の年収は500万円で、「堅実な生活者」です。

そもそも、現役時代に使えるお金が特別高いわけではないので、消費は、「地に足がついた感じ」です。普通の収入なので、生活もごく質素です。もっとも「質素」と「貧乏くさい感じ」は、まったく違います。家計の収支について、きちんと考えています。



▼パターン3)Cさん 年金のみでもいける人


【診断】 年金を貯蓄に回せる理想家計



Cさんは、こんな人 → 老後は実家の田舎で暮らす予定の人
Cさんの現役時代の年収は、600万円。老後は実家に戻って田舎暮らしを始める可能性があるそうです。住宅ローンは返済中ですが、これを完済して持ち家を売れば、1000万円くらいの資産になるかもしれません。

田舎に戻ったあとは、親と変わらない近所付き合いをし、食材はもらったり安く買えたりしそうなので、生活コストは低そうです。

▼パターン4)Dさん 2000万円より多く必要な人人


【診断】 賃貸住宅が老後にも響く赤字家計



Dさんは、こんな人 → 「老後の家賃」が厳しいタイプ
Dさんの現役時代の年収は、700万円。比較的慎重派で、何千万もの住宅ローンを組んで持ち家にすることは考えていません。家は必ず買わなくてはいけないというものではありませんが、老後の限られた収入の中でやりくりするときには、家賃は、かなり負担の大きな支出となります。

あなたの家計は、どのパターンが近かったですか? この記事をキッカケにして、老後というのは、「どこかの国の誰かの話」ではなく、「今日の私の地続きにある話」というイメージを持つことが、年金を自分事として考える第1歩なのだと筆者は考えます。

■老後対策の柱は、3つ

「老後生活を送っている自分」のイメージが持てるようになると、ようやく自分年金づくりのスタートラインに立ったということなのだと思います。では、スタートラインに立ったら、何から始めれば良いのでしょうか? 横山さんは、言います。「老後対策は、総じていえば、次の3つのアプローチから手をつけていくと、良いでしょう」



●老後対策の柱3つ


1)年金以外の収入の道を探る
2)支出は現役世代のうちからコントロールする習慣をつける
3)運用もできるだけ早いうちから始める出典:『横山先生! 老後までに2000万円ってほんとうに貯められますか? 人生100年時代でも豊かに暮らす、資産と年金への向き合い方』(横山光昭著/KADOKAWA刊)より抜粋)


●「老後までに2000万円貯められる?」第3回のまとめ
1)「2000万円問題」のモデルケースを知り、自分の家計と比べてみる
2)老後は、「今日の私の地続きにある話」である
3)「老後対策の柱3つ」を知っておく
次回は、いよいよ「自分年金の作り方」について、具体的に考えてみます。

※本連載で紹介する制度などに関する情報は、2020年2月26日時点のものです。


■今回、取材を受けてくださった横山光昭先生の書籍
『横山先生! 老後までに2000万円ってほんとうに貯められますか?
人生100年時代でも豊かに暮らす、資産と年金への向き合い方』

(楢戸ひかる)

元記事で読む
の記事をもっとみる