1. トップ
  2. 恋愛
  3. 離婚する際の条件はどう決める?財産分与・養育費・慰謝料などの取り決めをFPが解説

離婚する際の条件はどう決める?財産分与・養育費・慰謝料などの取り決めをFPが解説

  • 2020.3.12
  • 3400 views

離婚すれば夫婦は他人になります。結婚している間は夫婦が共同で財産を築いたり子供の世話をしたりするものですが、離婚するとそうはいきません。離婚のときには、お金や今後のことについて夫婦間で取り決めをしておく必要があります。

今回は、離婚時に取り決めする条件について説明しますので、参考にしてください。

離婚の条件を決めないと離婚は成立しない?

離婚の条件を詳細に決めなくても、離婚自体は可能です。しかし、後日トラブルになってしまうことがあります。

離婚の条件とは?

離婚のときに取り決めする条件としては、次のような事項があります。

  • 親権
  • 養育費
  • 面会交流
  • 財産分与
  • 慰謝料
  • 年金分割

親権、養育費、面会交流は子供がいる場合に必ず決めなければならない条件です。財産分与、慰謝料、年金分割については、必要があれば取り決めしなければなりません。

離婚届を出すだけで離婚はできる

離婚を希望する場合、夫と妻の両方が署名捺印した離婚届を役所に提出するだけで、協議離婚という形で離婚ができます。離婚届には夫婦のどちらが親権者になるかを記載する欄はありますが、その他の条件については記載の必要はありません。

子供がいる夫婦は親権者を決めなければ離婚できませんが、その他の条件については特に決めなくても離婚は成立します。とにかく離婚さえできればいいと条件を話し合わないまま離婚届を出してしまう人もいますが、離婚するなら条件面をしっかり取り決めしておくべきです。

離婚の条件を決めておかないと後でトラブルになりがち

条件を話し合っていないと、離婚後に「あのお金はどうなったのか?」などとトラブルになってしまう可能性があります。子供がいる場合には、「養育費を払って」「子供に会わせろ」といったことでも揉めてしまいがちです。

離婚後もその都度話し合いができればまだ良いですが、お金については時効があるものもあるので注意が必要です。離婚する時点で、条件を取り決めしておきましょう。

離婚の条件の決め方は?

離婚の条件の決め方は、協議離婚と調停離婚で違います。

協議離婚の場合には話し合いで

協議離婚をするときには、夫婦の話し合いで離婚の条件を自由に決めることができます。相手の言いなりになって不利な条件を飲んでしまわないよう、自分の権利はきちんと主張しましょう。

どんな条件が適切かがよくわからない場合には、弁護士などに相談するのがおすすめです。自分で話をしづらい場合には、弁護士に依頼して協議を代行してもらう方法もあります。

離婚調停になったら裁判所で

離婚調停で離婚するときには、条件についても裁判所で決めてくれます。裁判所では、夫婦が公平になるよう条件を調整してくれます。

調停で提示された条件に納得しなければ応じる必要はありません。ただし、妥当な条件であるにもかかわらず拒否し続けると、調停不成立になって離婚自体ができなくなることがあります。

離婚の条件は書類に残しておく

調停離婚の場合には、裁判所で離婚の条件を調停調書にしてくれます。一方、協議離婚の場合には、離婚の条件が書面に残りません。後日のトラブルを防ぐために、離婚協議書を作成しておきましょう。

離婚協議書は公正証書に

慰謝料などお金の支払いについては、誓約書を書いてもらおうと考えている人もいると思います。通常の書面では相手が任意に払ってくれない場合に、裁判を起こさないと強制執行ができません。離婚時に公正証書を作成しておけば、裁判を経ずに給与差押などができます。

養育費の支払いがある場合にも、支払期間が長期間になってしまうので、公正証書を作成しておきましょう。

子供がいる場合に決めておくべき親権・養育費・面会交流

離婚するときにまだ未成年の子供がいる場合には、親権、養育費、面会交流について取り決めが必要です。

[adsense_middle]

親権を決める時の注意事項

親権とは未成年の子供について行使できる親としての権限です。監護養育、財産管理、法律行為(契約など)の代理などが該当します。婚姻中は父母の共同親権ですが、離婚後は単独親権となるため、父母のどちらが親権者になるかを決めなければなりません。

離婚時には話し合いで親権者を決めることができますが、離婚後に親権者を変更したい場合には裁判所を通す必要があります。離婚時に納得できる形で決めておきましょう。

養育費は算定表を参考に必要な額を請求

養育費については、一般に裁判所の養育費算定表を参考に金額を決めます。と言っても、必要な金額は各家庭の事情によって異なるはずです。算定表の金額にこだわらず、何にいくら必要かを見積もって、夫婦でどう分担するかを話し合いましょう。

離婚時に養育費の取り決めをしていなくても、子供が成人するまでは養育費の請求が可能です。しかし、相手と連絡が取りにくくなってしまうこともあるので、離婚時にきちんと決めておきましょう。

面会交流はできるだけ柔軟な形で

面会交流については、頻度や面会の方法、費用の負担などを決めておきます。子供を頻繁に会わせられない事情がある場合には、写真を送ることなどを決めておきましょう。

子供が小さいと、急な病気で予定通り面会ができないこともあると思います。回数などを細かく決めてしまうとかえって揉めることになってしまいがちです。面会については、ある程度柔軟な形で決めておくのがおすすめです。

夫婦の財産があれば財産分与をする

財産分与とは、結婚している間に夫婦共同で築いた財産を、夫と妻それぞれの財産に分けることです。

財産分与の割合は夫も妻も2分の1

財産分与の割合は、原則として夫も妻も2分の1ずつです。婚姻中に形成された財産であれば、名義にかかわらず半分ずつになるよう分けてかまいません。専業主婦でも財産の半分をもらうことができます。

後日支払いの場合には公正証書にする

現金や預金は今あるものを分けるだけで済みますが、家の価値を精算する場合や将来受け取る退職金を分ける場合などは、手元に現金がなく、支払いが離婚後になることもあるでしょう。支払いが先になる場合には、支払日と支払方法を決めて公正証書にしておくのがおすすめです。

財産分与は2年以内しかできない

離婚時に財産分与の取り決めをしなかった場合、離婚後も2年以内なら請求が可能です。2年を経過してしまうと請求が困難になってしまうので請求のし忘れがないように気を付けましょう。

慰謝料は離婚の理由によって発生する

慰謝料は離婚のときに必ず払わなければならないようなものではありません。慰謝料が発生するケースでは、取り決めしておいた方が良いでしょう。

[adsense_middle]

法律上の離婚原因を作った側が支払う

離婚になったことについて一方に法的な責任がある場合、他方は慰謝料を請求することができます。たとえば、夫の浮気が原因で離婚になった場合には、妻は夫から慰謝料を受け取れます

協議離婚する場合には、慰謝料の取り決めも当事者間で自由です。必ずしも支払義務がないようなケースでも、解決金という意味で一方が慰謝料を払うこともあります。

慰謝料の金額はいくら?

慰謝料の金額についても、夫婦の話し合いで自由に決められます。参考までに、離婚慰謝料の相場は200~300万円です。一般的な相場と比べてあまりにも高すぎる慰謝料を受け取ると、贈与税が課税されるリスクがあります。

裁判になった場合には、慰謝料の金額は様々な要素によって変わります。慰謝料としていくら請求したらよいかわからない場合には、弁護士に相談すると良いでしょう。

慰謝料には時効がある

慰謝料請求権には時効があり、離婚後3年以内でないと請求できません。慰謝料を分割払いしてもらうこともできますが、取り決め自体は離婚後3年以内にしておく必要があります。

年金分割は夫婦間の取り決めだけではできない

専業主婦やパートだった人は、老後の年金が少なくなってしまいます。離婚時には年金分割についても取り決めしておきましょう。

年金分割とはどんな制度?

年金分割は、結婚していた期間中の厚生年金保険料納付記録を離婚時に夫婦で分け合える制度です。

たとえば、ずっと専業主婦だった人の場合、厚生年金保険料を納付していないので、老後にもらえる年金がかなり少なくなってしまいます。夫の分の保険料納付記録を分けてもらうことで、老後の年金を増やせます。

年金分割には、次の2つの方法があります。

年金事務所での手続きが必要

年金分割をする場合には、年金事務所での手続きが必要です。合意分割をする場合には夫婦の合意が必要ですが、夫婦が合意した離婚協議書や公正証書を残しておくだけでは年金分割されません。

老後の年金は、日本年金機構にある標準報酬のデータにもとづき算定されます。年金分割の合意をしたら、離婚後に年金事務所でそのことを証明し、標準報酬のデータを変更してもらう必要があります。

年金分割の期限は2年

年金事務所での年金分割の手続き(標準報酬改定請求)は離婚後2年以内でないとできません。また、離婚後2年以内であっても、相手が死亡して1か月経てばできなくなってしまいます。

年金分割をする場合には、離婚後速やかに年金事務所に行って手続きをしておきましょう。

条件の有利・不利にこだわりすぎず、WinWinな離婚を目指そう

離婚の際には、夫婦間で条件を話し合わなければなりません。自分ばかりが有利になるように考えていると、相手の納得を得られず、離婚までが長引いてしまいます。

不利な条件に妥協する必要はありませんが、相手の立場も考え、お互いにとって良い形の円満離婚を目指しましょう。

元記事で読む
の記事をもっとみる