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ハッピネスを探しに、幸福の国の聖地へ。

  • 2020.2.13
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幸福の国、ブータン。

この国で、旅のハイライトとなるのが、標高約2950メートルの断崖絶壁にへばりつくように建つタクツァン僧院、通称タイガーズネストです。

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タイガーズネストは、ブータンに仏教を広めたとされる祖師、パドマンサババ(グル・ポチェ)が、8世紀に虎の背中に乗って舞い降りたという伝承からブータン仏教の聖地であり修行の場となりました。1998年に全焼するものの、多くの人の願いとともに6年後に再建され、今も多くの人が巡礼に訪れている場所です。

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人が多い日中の時間を避けるために、まだ暗い早朝6時に「シックスセンシズ ブータン」のパロロッジを出発し、山の麓にあるベースキャンプまで車で行きます。

ティンプーで1時間程度のハイキングを2度したものの、標高3000メートル近いので、少し歩くだけで息切れしてしまう始末。

このタイガーズネストのハイキングは、なんと5時間とも6時間とも言われており、山登りが得意でない人間にとっては、遥か昔の林間学校での辛い山登りの前日のような憂鬱な気持ちに。

そんなローテンションの私の気持ちと裏腹に、車は勢いよく麓のベースキャンプに到着。どうも私たちが一番乗りだったようで、ホテルのガイドさんと、ドライバーさん、そしてベースキャンプ付近にいた野良犬数匹とともに朝7時、タイガーズネストを目指し標高約2535メートルのベースキャンプを出発しました。

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森林の中を抜け、急勾配の坂道を歩くこと約30分。

はぁ~はぁ~。

ぜえ、ぜえ。

どうして人間は口と鼻でしか呼吸できないのだろうか。

など、どうでもいい事を考えながら、手に握りしめたトレッキングポールを1歩前に出しては、全体重を細いそのポールに支えてもらうようにして一歩踏み出すを繰り返し、登っていきます。

きつくなったら、立ち止まって呼吸を整え、水をひと口飲み、再び歩き出す。

そんな5分くらいの小休憩を何度か入れながら登っていると、私たちの横を民族衣装「ゴ」を着たおじいちゃんと「キラ」を着用したおばあちゃんの集団が、大きな荷物を背負いながらひょいひょいと追い越していきます。ブータンの人は強いなーと感心するばかり。

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荒い息を吐きながらも、なんとか標高2800メートルの第一休憩所手前の大きなマニ車が置かれた場所に到着。その奥にはタルチョという自然界の「天、風、火、水、地」を意味する青、白、赤、緑、黄のカラフルな地にお経が書かれた旗があり、その後ろに小さなマニ車が一面に並んでいます。私も先を歩くガイドさんに倣って、大きなマニ車を時計回りに回り、また小さなマニ車を片っ端からくるくると右方向にまわしながら、歩いていきます。

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ここで、しばし休憩を。

遠くに見えるタイガーズネストを眺めながら、先に到着して休憩をしていた、あのすれ違った(追い越された)おじいちゃん、おばあちゃんたちとお喋り。一行はブータン中央部から来ていて、今日タイガーズネストのさらに上にある僧院に行き、一泊してから明日タイガーズネストへ向かうそう。そのため、布団や食料などを大量に持って登っているとのこと。みなさん70代後半~80代で、一番高齢のおばあちゃんはなんと87歳!

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タイガーズネスト付近にはいくつもの聖地があるそうで、まさに彼らにとっては聖地巡礼。

ブータンの人の聖地に対する思いを目の当たりにし、自分が今向かおうとしているタイガーズネストの偉大さを再認識させられ、心を入れ替え歩き始めました。

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朝靄も晴れ、右手に見えるタイガーズネストが徐々に近づいてきます。

そして第二休憩所に着く頃には、タイガーズネストを鮮やかに、はっきりと仰ぎ見ることが。

ここまでくれば、あとは最後の一踏ん張り。急勾配の階段を下り左手に流れる滝のしぶきを受け、顔を上げると、そこには再び急勾配の階段の上にタイガーズネストが待っています。

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ベースキャンプをスタートして、約2時間半。無事、タイガーズネストに到着。まだ誰も到着していない入り口で、ガイドさんが「CLOSED」と書かれた看板を片付け、カメラを含む全ての荷物をロッカーに預け、荘厳な僧院の中に。足の裏がひんやりと冷たい朝の僧院は、静寂に包まれていました。

お堂に入り、ガイドさんに習い一緒に五体投地で両手、両膝、額を地面につけて礼拝。お坊さんに聖水をいただき、それからガイドさんの提案で5分ほど瞑想をすることに。

正直なところ、第一休憩所を過ぎてからというもの、言葉のごとく「無心」で登っていたため、後半の辛さを含めた記憶があまりなく……。

そのような状態だったからか、瞑想時に最初床や空気が冷たかったこと、そして後半心がスーッと晴れ、とても気持ちが良かった感覚しか残っていません。

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山登りはよく人生に例えられますよね。

疲れたら休憩しまた進んでいく。一緒に登るパートナーや仲間と励まし合いながら、時間をかけてもいいので目的地に向かって進んでいく。

仕事やプライベートで経験を積んだ今、その意味が少しわかるような気がします。

今回、タイガーズネストに到着してから見た景色や、達成感というのは、スタート時点や途中の休憩所で想像していたよりも遥かに素晴らしいものでした。

途中、辛さを乗り越える過程で人の優しさに触れ、勇気をもらい、そして達成してはじめて人としての強さや優しさが生まれてくるのかもしれません。

この聖地、タイガーズネストには、色んな思いを持った人が長い道のりを経て訪れています。私たちが麓へ向け下山する時、タイガーズネストを目指す大勢の観光客とすれ違いました。

彼らは数時間前に私が苦労して登ったその道を必死に登っています。

そして何人もの人がすれ違いざまに、タイガーズネストはどうだった?と聞いてきます。

「AWSOME!(最高だよ!)」

続けて「タイガーズネストがあなたを待っているよ!」と声をかけると、みんなの顔がパッと明るくなるのです。

そして、あるインド人ファミリーのお父さんが言いました。

「あなたたちの顔は今、ハッピネスに溢れてるよ!」

幸福の国ブータンを旅して探した「ハッピネス」、少し触れられたかもしれません。

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ブータンへのアクセス

日本からバンコクまたはデリー経由でパロ国際空港へ。

ホテル情報

エココンシャスでサステイナブルなリゾートホテルを世界各地で展開するシックスセンシズホテル リゾート スパ。シックスセンシズ ブータンでは現在4つのロッジを展開。2020年春に5つ目のロッジがオープン予定。

https://www.sixsenses.com/en/resorts/bhutan/

宿泊予約 0120-921-324

その他のお問い合わせ japan@sixsenses.com

著者:Darjeeling Kozue(ダージリン コズエ)

トラベル誌、女性誌の編集者を経て、現在は外資系企業でコミュニケーション ディレクターとしてイベントやバズクリエイションを手がける。隙あらば旅。ラグジュアリーなリゾートホテルから、アドベンチャラスな秘境まで。業界でも有名な旅のエキスパートだ。

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