1. トップ
  2. 恋愛
  3. iDeCoで節税しよう!所得控除の仕組み&月額の限度額をFPがわかりやすく解説

iDeCoで節税しよう!所得控除の仕組み&月額の限度額をFPがわかりやすく解説

  • 2020.2.8
  • 1963 views

社会人年数が増え年収が上がるごとに、住民税、所得税に悩まされる方が多いのではないでしょうか。今回は、節税対策および老後に向けた貯蓄・投資の観点からもおすすめできるiDeCoについて紹介していきます。

節税できると耳にしたことはあるもののよく知らない、仕組みがよくわからないので始めるには不安、といった方に向けて、具体的な節税効果やコストも解説しています。

また専業主婦(夫)などの、自身に収入がなく節税メリットを享受しにくい方についても、考えておきたいiDeCoの使い方をご提案します。

iDeCoとは?

個人が自身で資金を積み立て、自身で運用方法を選び、積み立てた掛金およびその運用益を受け取ることができる、個人型確定拠出年金という制度です。

運用商品は投資信託から銀行預金まであり、運用リスクをとりたくない方にもお勧めできる制度と言えます。受け取り方法は二つあり、年金として受け取る、もしくは一時金として受け取ることが可能です。

受け取り時期が60歳以降となることから、私的年金制度とも言われています。まずは制度の概要とメリットからご紹介します。

iDeCoの加入メリット

加入することでの大きなメリットは3つあります。

掛金が全額所得控除の対象となる

1年間で支払った掛金の合計全額が、所得控除の対象となります。こちらについては所得控除の仕組みと合わせて、後述にて詳しく説明させていただきます。

運用益が非課税である

iDeCoで運用している商品の運用益については、すべて非課税です。運用益は現金での受け取りではなく、運用商品に再投資されます。

受け取るときも控除の対象となる

一時金として受け取ると退職所得控除、年金として受け取る場合は公的年金等控除の対象になります。

加入資格は?誰でも入れるの?

基本的に、国民年金や厚生年金等の公的年金を支払っている20歳以上60歳未満のすべての方が加入できる制度です。専業主婦の方等の第3号被保険者も含まれます。また、雇用形態によっての可否はないためアルバイトの方も加入が可能です。

ただし、お勤めの企業で企業型確定拠出年金に加入されている場合、個人型には加入できないケースがあります。規約によって個人型確定拠出年金にも加入して良いと定められている場合のみ併用が認められていますので、注意が必要です。

加入にあたって支払う手数料、コスト

iDeCoにまつわる手数料をご紹介します。

まずは、iDeCoに加入するときにかかる手数料が2829円。こちらは国民年金基金連合会に対して支払うもので、申し込み時だけにかかる手数料です。どこの金融機関を通じて加入しても、金額は変わりません。

次に、毎月支払う手数料が2種類あります。国民年金基金連合会に対して支払う金額月額105円と、事務委託先金融機関(信託銀行)に支払う月額66円の合計171円。年額にすると2052円です。

そして、iDeCoを始める金融機関によって変わってくるのが運営管理機関の手数料です。条件付きで無料にしているところなど様々な種類がありますので、始める際はいくつかの金融機関を比較するのがお勧めです。

また、運用する商品によっては信託報酬等がかかってくるケースがあります。運用商品を選択する際には、商品ごとのコストを確認すことも大切です。

あなたの所得税の税率は?所得控除の仕組みを知ろう

所得税や住民税は、どの金額に対してかかっているかご存知でしょうか?収入すべてについてかかる訳ではなく、大まかには下記のような流れを経て計算された「課税所得」に対して税金がかかるのです。

  • 収入ー経費=所得(自営業等の場合)
  • 給与収入ー給与所得控除=所得(会社員の場合)

まずは、収入から経費(会社員であれば給与控除)を引いたものを所得と呼びます。

  • 所得所得控除=課税所得

次に、算出された所得の金額から、更に各種所得控除の金額を差し引き、残った金額が課税対象である「課税所得」となります。

この課税所得の金額に対して、所得税や住民税の税率をかけることで、支払う税額が算出されます。

中でも所得税は、課税所得の金額ごとに税率が増える累進課税方式をとっているため、年収の多い方ほど所得税の税率および金額は大きくなります。

所得控除の仕組みって?

所得控除とは、収入から経費を差し引いた所得から、更に控除できる金額のことを指します。税金を少なくしたければ、所得控除の金額を増やして課税所得を減らす必要があります。

所得控除の中には様々な種類があります。配偶者控除や医療費控除、生命保険料控除などは耳にされたことのある方も多いのではないでしょうか。

iDeCoの掛金として支払った金額については、全額が所得控除の種類のひとつである「小規模企業共済等掛金控除」の中に含まれます。

つまり、iDeCoの掛金を拠出すると所得控除の金額が増えるため、課税所得が減り、結果的に減税が可能になるという仕組みなのです。

保険よりiDeCoがお得?所得控除面を比較

個人年金保険という商品をご存知でしょうか。同じように老後資産形成の方法としてお勧めされたことのある方も多いかもしれません。現役時代に保険料を支払うことで、老後に一括もしくは年金として分割で保険金を受け取ることができる商品です。

こちらも、支払う保険料が所得控除の対象となるということで、iDeCoとよく似ているように思えます。ただし、所得控除においての限度額に差があります。

所得控除の対象となる金額が、個人年金保険の保険料は1年で最大4万円までという限度があるのに対し、iDeCoは掛金全額が対象となります。所得控除の面で比較するとiDeCoのほうがお得であると言えます。

運用方法や解約可能時期等、他にもいくつか違いがあるため一概にどちらが良いとは言えませんが、保険の契約や見直しの際にはiDeCoと組み合わせて検討するのも一つの方法です。

掛金はいくらまでOK?

iDeCoの掛金は月々最低5000円以上、1000円単位で選択することが可能です。金額上限については加入資格によって異なっています。

[adsense_middle]

加入資格ごとの掛金上限をチェック

加入資格は、国民年金の被保険者区分に応じて定められており、それぞれ掛金の上限が異なります。ご自身はどこに当てはまるのか、掛金を決める前にご確認ください。

基本的に退職金や厚生年金がなく、老後の資産形成の重要度が高い自営業者の方のほうが限度額が大きくなっています。

掛金を決める時のポイント

小さな金額から老後資産形成を始められるのがiDeCoの良さでもあります。ただし、掛金が少ないと、掛金に対する固定コスト(手数料)の比率が高くなるため、運用益が少ないと手数料負けしてしまう可能性があり注意が必要です。

基本的に60歳になるまで受け取ることはできませんので、今のご自身の生活や貯金を圧迫しない金額にすること、ずっと続けていくことができる金額を選ぶのもポイントです。

掛金は年に1度だけ変更も可能ですので、すでに始められている方についても、生活の変化に応じて金額を見直す機会を持つのも良いかと思います。

節税できる金額を計算するには?

iDeCo公式HPでは、「かんたん税制優遇シミュレーション」という試算システムがあります。

掛金と年収、年齢を入力すれば、軽減される税額を月単位・年単位・60歳になるまでの合計の3種類で確認することができますので、検討されている方は一度使ってみていただくと、ご自身にとっての効果がわかりやすいかと思います。

かかっている税率が大きいほど所得控除で減税できる額も大きくなるため、年収が高いほどメリットを大きく感じやすい傾向があります。また、早く始めたほうが加入期間は長くなりますので、加入期間合計の軽減額も大きくなります。

例として、年収が400万円、600万円の場合の軽減税額を記載しました。こちらは20歳〜60歳の40年間加入した場合の試算になりますが、かなり大きな節税効果があるのが見て取れるのではないでしょうか。

iDeCoの本質とは?

専業主婦(主夫)の方などでiDeCoの所得控除メリットを受けられない場合、あまり魅力を感じないと思われる方もいらっしゃるかもしれません。

しかし何より運用益も非課税ですし、受け取る際も控除の対象となりますので、全くメリットが受けられない訳ではありません。

短期的に効果がわかる所得控除だけが全てではありません。運用益の増加など長期的な視点でのメリットも加味して、ご自身にとって必要な制度かどうか判断してみるのが良いでしょう。

[adsense_middle]

老後資金を貯蓄する手段を早いうちから用意できる

また、iDeCoに加入することへの本来の意義は別のところにあるというのがFPとしての私の考えです。それは老後資金を貯蓄する手段を早いうちから用意できることです。

公的年金で生活費をすべて賄うことができれば理想的ですが、そうはいかないケースの方が多いものです。平成30年の総務省家計調査によると、高齢夫婦かつ無職世帯の実収入の1ヶ月平均は22万円ほど、実支出は26万円ほどとなっており、貯蓄を切り崩しての生活となることが伺えます。

さらに、現在の年金受給者より、これから受け取ることのできる公的年金の金額は少なくなっていく可能性が高いのが現状です。

「老後2000万円問題」としてメディアに取り沙汰されていたのも記憶に新しく、すでに危機感を持たれている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

実際に必ずしも2000万円を貯蓄する必要があるのかというと一概には言えませんが、老後への貯蓄の重要性が高まっていく時代であることは確かでしょう。

投資に抵抗のある方にも対応可能、対象商品の種類は様々

投資と聞くと、損失リスクを考えてしまう方もいらっしゃるでしょう。老後資金の形成として考えると、あまりリスクを取りたくないという考えも一般的です。

iDeCoでは、利用者の投資方針に応じて運用先を選択することができます。元本割れは絶対にしたくないという方についても、投資先を定期預金等とする元本確保タイプの商品があり、比較的検討しやすいのではないでしょうか。

ご自身の掛金の中で複数の商品を選択することができますので、気軽に分散投資をすることができるのもiDeCoの良さではないかと思います。

手数料等の経費を検討する

ただし、先述した通りiDeCoには手数料等の経費がかかります。少なくとも固定でかかる経費として、月々171円、年換算すると2052円は支払う必要があります。

元本確保タイプの商品は、比較的運用益が大きくなりにくい傾向にあります。また、積み立て金額の大小によらず同じ手数料(=コスト)がかかるので、毎月の積み立て金額が小さいと、年間の積み立て金額に対するコストの比率が高くなってしまうところにより留意する必要があるでしょう。

よくご自身の投資方針と積み立て予定金額を固定コストと照らし合わせ、商品と金額を選択するようにしましょう。

自助努力の一環として。iDeCoの使い方のポイント

先ほども触れましたが、特に自営業の方については、退職金にあたる資金を自分で用意する必要があること、受け取ることができる年金が国民年金のみであり、厚生年金を受け取ることのできる会社員の方と比較すると個人年金の重要性が高いことから、より有効に活用していただきやすい制度であると言えます。

会社員の方についても、退職金は以前ほど大きな金額は受け取りにくくなってきており、老後資金の一部については事前の自助努力が必要なケースが多いのではないでしょうか。

もちろん現金で預金をしておけば問題ないという考え方もあります。ただ貯金には手をつけてしまいやすく、何かと物入りで老後のための資金がなくなってしまったというのも良く聞く話です。

iDeCoには、選択した商品によっては預金以上の運用益が期待できること、そして60歳以降にしか受け取ることができないため、半強制的に老後のための貯蓄ができることがポイントです。

退職金の金額に不安のある方にもお勧めできる制度と言えるでしょう。

受け取り方式によって使い方を選択できる

受け取り方式を選ぶ際、一時金方式を選べば退職金的、年金方式を選べば年金的使い方をすることができ、併用も可能です。

660歳を迎え受給が可能になったタイミングで選択することになりますので、その時の自身のニーズに沿った受け取り方式を選ぶことで老後の生活をより豊かにすることができるのではないでしょうか。

iDeCoの所得控除に関するまとめ

  • iDeCoでは所得控除による節税ができる
  • 所得控除の仕組みを知って、効果をシミュレーションしてみよう
  • 未来への安心は自分でつくる時代。より豊かな老後を過ごすための自助努力が必要

iDeCoについて、まずは税制面でかなり優遇されていることがお分かりいただけたのではないでしょうか。所得が増えていくほど賢く節税することが大切になってきます。

また、節税は今の生活への効果を生み出しますが、同時に未来の生活に投資できるのがiDeCoです。人生100年時代、65歳で定年したとして35年の人生があります。平均寿命で考えても、20年間ほど第2の人生を送られる方が多いでしょう。

決して焦る必要はありませんが、知識をつけて何かしらの準備ができるようにしておくことは大切ではないでしょうか。

元記事で読む
の記事をもっとみる