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【医師監修】髪の毛がどんどん抜ける!? 抜け毛の理由と対策方法

  • 2020.2.1
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「ブラッシングすると髪がよく抜ける」「朝起きたら枕に抜け毛がたくさんついていてびっくりした」…。

そんな経験はありませんか? 髪の毛がいつもより多く抜けると、病気ではないかと心配になってしまいますよね。今回は、女性特有の抜け毛の原因やその対処法をご紹介します。

【監修】
成城松村クリニック院長 松村圭子先生


婦人科専門医。1995年広島大学医学部卒業、同年広島大学付属病院産婦人科学教室入局。2010年、成城松村クリニックを開院。女性の「体の健康」「心の健康」のために、一般の婦人科診療だけではなく女性のあらゆる面をトータルにケア。講演、執筆、TV出演など幅広く活動。

著書に、『女30代からのなんだかわからない体の不調を治す本』(東京書店)、『医者が教える女性のための最強の食事術』(青春出版社)など多数。


■髪の毛が抜ける理由とは

▼髪の毛は自然に抜けるもの


みなさん、人間の髪の毛はどのくらい生えているかご存じですか? 多い人で15万本、少ない人で6万本、平均で10万本といわれています。

ただ、髪の毛にも寿命があり、女性の場合、1本あたり4〜6年で抜け落ち、また新たな髪の毛が生えてきます。1日に抜ける量は、だいたい50~100本ほど。つまり、健康な人であれば、毎日100本程度抜けたとしても、それ自体は異常なことではないのです。

抜けやすい時期がある(出産)


ただ、抜けやすい時期があるのも事実。女性の場合は出産後が代表的です。エストロゲンやプロゲステロンなどの女性ホルモンの分泌が増える妊娠中は、それほど抜け毛に悩まされませんが、出産後、ホルモンバランスが急激に出産前の状態に戻ると、一気に抜け毛が増えます。

抜け毛は出産2~3カ月後から発症するといわれていますが、半年~1年ほどで解消されることがほとんどです。

季節も抜け毛に関係する


抜け毛にもサイクルがあり、季節の変わり目に多く抜けるといわれています。とくに抜け毛が気になる季節が秋。理由は諸説あり、動物が冬毛に生え換わる生態メカニズムの名残とか、夏場に受けた頭皮ダメージの影響から、などといわれています。

本当の理由は定かではありませんが、秋口にある程度抜けるのは問題ありません。ただ、冬本番を迎えてもなお抜け続けるようでしたら、一度病院を受診してもよいかもしれません。

▼ストレスなどで多めに抜けることもある


精神的なストレスも抜け毛の原因になります。ストレスを受けると、乳毛頭(毛根の一部、髪の毛に栄養を送る組織)が活動を一時停止してしまい、そのため髪の毛を作るための栄養が行き渡らなくなります。

その結果、抜け毛が増えてしまうのです。円形脱毛症もストレスが発端となって発症することがありますが、これもまた部分的に毛髪が抜け、一時的に新しい毛髪が生えないために起こるのです。

▼女性に多い抜け毛の種類と原因



前述の産後抜け毛のほかにも、女性に多い抜け毛にはいくつか原因があります。

1)不規則な生活:何かと慌ただしい現代人。とくに女性は仕事や育児に追われて生活も乱れがち。栄養不足や睡眠不足が続くと、体内での新しい細胞づくりがスムーズに行われず、抜け毛の原因になります。

2)血行不良:酸素や栄養を運ぶ毛細血管の血流が悪くなると、体の末端にある頭皮まで血が巡らなくなり、その結果、毛根まで栄養が行き渡りにくくなり、抜け毛を引き起こします。頭皮の血行不良は白髪の原因にも関わっています。

3)過度なダイエット:摂取カロリーを大幅に制限するような短期間のダイエットも抜け毛の原因に。極端に食事量を減らせば、おのずと頭皮まで十分な栄養が行き渡らなくなり、抜け毛や薄毛になるのです。また過度なダイエットは心身ともに大きな負担となり、ストレスからさらなる抜け毛を招きます。髪に良いとされる緑黄色野菜や豆類、海藻類などを含む食事をバランスよくとり、運動を取り入れた減量法が髪の毛のためにも優しいダイエットといえます。

4)加齢:髪の成長に関わる女性ホルモン・エストロゲンの減少も原因の一つ。エストロゲンの分泌は加齢とともに減少する傾向があり、とくに40代後半から抜け毛や薄毛を気にし始める人が多いようです。





■どのくらいの量の髪の毛なら抜けてもOK?

▼OKな抜け毛量のチェック方法


記事冒頭で1日に50〜100本程度抜けるのは正常と記しましたが、実際どのくらい抜けているのか正確な本数は把握できないですよね。そんなときに目安になる方法があるのでご紹介します。

手で髪をすく、いわゆる手ぐしをして、1回に5〜8本程度抜けるのであれば異常はありません。これが15本以上抜けるのではあれば、少し病気を疑っても良いかもしれません。ただ、この数字はあくまでも目安なので、たまたま多く抜けたからといってそこまで神経質になる必要はありません。

▼抜け毛が気になるときは毛根で判断


抜け毛が多いからといって必ずしも病気とは限りませんが、気になる場合は “毛根”の状態をチェックしてみてはいかがでしょう。

健康な髪の場合、毛根は白または半透明の塊状になっています。それが黄色っぽい脂のようなものが付着していたり、根っこのようにヒゲ状のものが先端から伸びていたり、または毛根部分がない場合は、脂漏性皮膚炎による脱毛症や円形脱毛症、牽引性脱毛症など各種脱毛症の可能性も考えられます。気になる場合は病院を受診してみては。

■髪の毛が抜け過ぎるのを防ぐ方法



いくら病気でなくても、抜け毛が多いのは気になります。できるだけ抜け毛を防ぐためには、日頃のヘアケアを見直すのがポイントになってきます。

▼抜け毛防止対策1:ヘアアイテムを見直す


シャンプーで頭皮の汚れを必死に落とそうとする人もいますが、洗浄力の強すぎるシャンプーは、かえって抜け毛にはよくありません。必要以上に頭皮の脂を落としてしまうため、乾燥から頭皮環境が悪化し、抜け毛のもとになるからです。

頭皮環境を良好に保つためには、肌への刺激が少ない、弱酸性のアミノ酸系シャンプーを選ぶのが正解です。また、加齢などが原因の場合は、髪の毛を育て、抜け毛を防ぐ働きのある育毛剤を使ってみるのもおすすめです。「私にはまだ早いから」と抵抗を覚える人もいるかもしれませんが、気づいたときに早めにケアすると、抜け毛予防に役立つはずです。

▼抜け毛防止対策2:シャンプー方法を見直す


普段何気なく洗っている髪の毛、じつはシャンプー方法を見直すだけで抜け毛が改善されることもあります。頭皮を洗う時、皮脂やホコリをとるために力を入れてゴシゴシ洗ったり、爪を立てて洗っていませんか? このような洗い方は頭皮の脂を落とし過ぎてしまい、頭皮トラブルを招くのでNG。

正しいシャンプー方法は、次の通りです。
(1)洗髪前にブラシでホコリを落とす。

(2)ぬるま湯で髪と地肌をしっかりぬらしてさらに汚れを落とす。

(3)シャンプーを手のひらで泡立ててから、指先でくるくる小さな円を描くように頭頂部→側頭部→後頭部と、毛髪の流れに沿って優しく洗っていきます。

(4)最後にしっかりすすぎをします。

せっかくていねいにシャンプーしても、すすぎを怠るとシャンプーが髪についたままの状態になり、頭皮トラブルから抜け毛の原因になります。シャンプーしたときの倍ぐらいの時間をかけて、頭の隅々までしっかりすすぐことを忘れずに!

▼抜け毛防止対策3:ドライヤーのかけ方もチェック


抜け毛が気になるからと、シャンプー後のドライヤーを控えるのは逆にNG! 頭皮が湿ったままの状態が続くと、雑菌が増殖しやすくなります。雑菌が増殖するとフケやかゆみ、炎症などの原因となり、抜け毛を引き起こしてしまうのです。

だからシャンプー後のドライヤーは必須! またドライヤーのかけ方にもコツがあり、タオルドライしたら、髪の地肌を乾かすようにドライヤーの温風をまんべんなく当てていきます。根元がほぼ乾いたら、仕上げに冷風を当てて、頭皮の粗熱を取り除きます。

こうすることで地肌のムレを防ぐことができ、頭皮環境を健やかに保つことができるのです。ぜひ今晩から試してみてください。

▼抜け毛防止対策4:病気が疑われるときは診察を受けるのもひとつの手


薄毛や脱毛症以外にも、甲状腺の病気から抜け毛が発症するケースもあります。新陳代謝を促進させる働きのある甲状腺ホルモンの分泌量が低下する病気「甲状腺機能低下症」や「橋本病」が該当し、これらの病気が原因で、抜け毛になる人もいます。

抜け毛のほかに、けん怠感や体重増加、無気力など、何かしら不調を感じるときは、一度病院へ行くことをおすすめします。

■まとめ

抜け毛と一言でいっても、原因や種類はたくさんあります。自分は何が理由で最近髪がよく抜けるのか、冷静に考えてみるのは、普段の生活を見直すいい機会かもしれませんね。

髪が抜けるのは自然なことですが、気になるほどの量が抜ける場合は一度病院を受診する、このぐらいの心構えがちょうどいいのかもしれません。

参考資料:
・日本皮膚科学会「Q&A 脱毛症」
・ヘルスケアラボ「最近、抜け毛が多くて気になります。」
・アデランス「カミわざ」
・花王「ヘアケアサイト」



文/長谷部美佐


(ライターチーム123)

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