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あなたの相続割合はどれくらい?法定相続人の範囲&順位をFPがわかりやすく解説

  • 2020.1.26
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家族が亡くなることはあまり考えたくないものですが、いつかは起こるのが相続です。身近で誰かが亡くなったとき、自分は財産をもらえるのか、もらえるとしたらいくらくらいになるのかは気になるでしょう。

本記事では相続人や相続割合について、法律上のルールがどうなっているのかを説明します。

遺産をもらう人はいったい誰?

死亡した人は物を所有できません。死亡した人の物、すなわち遺産を誰が引き継いで所有するかは法律で決まっています。

法定相続人は配偶者と血族の一部

死亡した人(被相続人)の権利や義務を引き継ぐ人は民法で決まっており、法定相続人と呼ばれます。法定相続人になれるのは、親族のうち、配偶者(夫・妻)子供父母兄弟姉妹です。ただし、配偶者以外には次の表のとおり優先順位があります。

夫・妻以外の親族は、血族(血のつながっている人)で、義母や義父、義兄弟は含まれません。一方、養子縁組していれば、血はつながっていなくても法律上は血族と同じ扱いになります。

離婚しても親子の関係は変わらないので、前妻の子は一緒に暮らしていなくても相続人です。生物学上の親子関係があっても、認知していなければ法律上親子ではないので、お互いに相続人にはなりません

子供と兄弟姉妹には代襲がある

子供の方が被相続人よりも先に死亡していることがあります。このようなケースでは、死亡した子供の子供、つまり被相続人の孫が子供の立場を引き継ぎます。このうように下の世代へと相続する資格が引き継がれることを代襲相続といい、第1順位と第3順位で起こります。

第1順位では子供が死亡していれば孫、孫が死亡していればひ孫と、どこまでも下の世代へと続きます。一方、第3順位の方は、兄弟姉妹が死亡していてもその子供(甥・姪)までで代襲は終わりです。

父母とも亡くなっていれば祖父母

父親と母親の両方が死亡している場合に、祖父母のうちの誰かが生きていれば相続人になります。第2順位は、直系尊属のうち最も近い世代の人ということです。

相続できる財産の割合は?

民法では、相続できる財産の割合も定められています。

相続人の組み合わせで割合が変わる

相続人は複数いる場合がほとんどです。そのため、誰がどれだけ財産をもらうかという割合も決まっており、これを法定相続分といいます。

相続人の組み合わせとしては、配偶者のみ、配偶者と血族、血族のみの3パターンがありますが、それぞれについて次の表のような割合になります。

同順位の人が複数いる場合

相続分は、同順位の相続人全員での割合です。

  • 【例1】妻、長男、次男が相続人→妻1/2、長男1/4、次男1/4
  • 【例2】夫、父、母が相続人→夫2/3、父1/6、母1/6
代襲相続人がいる場合

子供が死亡して孫が代襲するケースでは、死亡した子供の相続分を孫が引き継ぎます。たとえば、死亡した子供の相続分が4分の1で孫が2人いれば、孫1人あたり8分の1となります。

実際にもらえる割合は遺産分割協議で決まる

民法上のルールにもとづき、具体的な遺産の分割方法は相続人同士が話し合いで決めることになります。

遺産を分けるためには話し合いが不可欠

相続割合は法律で決まっていますが、死亡した人が残した財産が自動的に分割されるわけではありません。そもそも、遺産の中には土地や建物など簡単に分けられないものが多いという問題があります。

遺産を分けるためには、実際には相続人の話し合い(遺産分割協議)が必要です。分け方を決める際に、各相続人は法定相続分をもらう権利を主張できます。

生きている間の贈与や貢献度も関係してくる

相続人の中に、生前に被相続人から多額の贈与を受けている人がいたり、被相続人の財産形成に貢献している人がいる場合には、そのまま分けるとかえって不公平です。

そのため、多額の贈与を受けている場合には「特別受益」、財産形成への貢献がある場合には「寄与分」として相続割合の修正が行われます

民法のルールと違う分け方をしてもいい

遺産分割協議では、相続人全員が納得していれば、民法のルールと違った割合で遺産を分けてもかまいません。ただし、必ず全員同意がしていなければならず、一部の人だけで決めても無効です。

分け方で争いになったら裁判所で解決

相続人間の協議がまとまらないことがあります。遺産の分け方で争いになったら、家庭裁判所に遺産分割調停を申し立て、裁判所の関与のもと調停の場で話し合うことができます

調停でも話がまとまらない場合、裁判官が遺産分割審判という形で分け方を決めますが、審判では法定相続分どおりになるのが通常です。審判になった場合、分けにくい不動産は競売でお金に換えなければならない可能性もあります。

法定相続人がいないケースではどうなる?

相続人になれるのは、夫・妻と、子供や孫、父母や祖父母、兄弟姉妹や甥・姪です。それ以外の家族や親族は原則として財産をもらえません。ただし、特別縁故者が財産をもらえることがあります。

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相続する人がいない財産は国のものになる

相続人が一人もいないときには、死亡した人の財産は誰のものにもならず、国庫に帰属します。ただし、自動的に国のものになるのではなく、相続人の不存在を確認したり、亡くなった人に対して債権を持っている人に申し出てもらったりする手続きを踏まなければなりません。

家族でなくても財産分与を受けられることがある

相続人は1人もいないけれど、被相続人と特別の関係にあった人(特別縁故者)がいるというケースがあります。特別縁故者がいる場合、その人が財産をもらえることがあります。特別縁故者とは、被相続人との間で次の要件をみたす人です。

  1. 生計を同じくしていた人
  2. 療養看護に努めた人
  3. その他特別の関係にあった人

特別縁故者が相続財産をもらうには、特別縁故者自らが家庭裁判所に相続財産分与の申立てをする必要があります。申立て後、裁判所が特別縁故者と認めてくれた場合には、財産の一部や全部をもらえます。

法定相続人がいても遺言が優先

ここまで相続割合について民法上のルールを説明してきました。しかし、被相続人が遺言を残していれば、民法上のルールどおりにはならない点に注意しておきましょう。

法定相続人でも財産をもらえないことがある

被相続人が自筆証書遺言、公正証書遺言などの法律上有効な遺言を書いていた場合、遺言に従って財産が引き継がれます。親族ではない第三者に財産を譲る遺言が書かれていれば、その第三者が財産を引き継ぐことになります。

また、遺言では相続割合の指定もできるので、法定相続分ではない割合が指定されていれば、遺言どおりになります。

遺留分は確保されている

相続人のうち兄弟姉妹以外の人には、遺留分と言って最低限の取り分があります。遺留分の割合は次のとおりです。

遺留分がある場合でも、自動的に遺留分が確保されるわけではありません。遺言により自分がもらえるはずの財産をもらうことになった人に対し、遺留分を返還するよう請求する手続きが必要です。

なお、2019年6月30日以前に死亡したケースでは遺留分を現物で返してもらうのが原則ですが、法改正により2019年7月1日以降に死亡したケースについては、遺留分を金銭で返してもらうのが原則となっています。

相続割合に関するまとめ

民法上相続割合は決まっているので、この割合にもとづき話し合いで遺産を分ける必要があります。ただし、相続人全員が納得していれば、民法上のルールどおりで分けなくてもかまいません。

遺言があれば遺言どおりに財産の引き継ぎが行われるので、民法上の相続割合は関係がなくなります。遺言があっても兄弟姉妹以外の相続人には遺留分があることも認識しておきましょう。

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