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奨学金は減額返還できる?対象条件&手続き方法をFPがわかりやすく解説!

  • 2020.1.16
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奨学金の返済が厳しいからと言って延滞をしてしまうと、督促が入ったり個人信用情報機関に事故記録が載ってしまいます。そのようなことになる前に減額申請を検討しましょう。この記事では減額の対象条件や手続き方法について解説します。

奨学金の返済は減額が可能

奨学金は多くの学生が利用しており、日本学生支援機構の利用は3人に1人以上の割合となっています。しかし、奨学金とは学生時代に大きな金額の借金をし、新卒の社会人から継続して返済すべきものですので、経済的にマイナススタートとなる側面があります。

低賃金である場合や非正規社員となった場合など、返済が厳しいというケースも多いようです。そのような時には奨学金の減額を検討しましょう。まずはその内容として以下について解説します。

  • 奨学金は3分の1に減額可能
  • 減額可能な期間
  • 返済総額は増えない
奨学金は3分の1に減額可能

奨学金の減額は、毎月の返済を2分の1または3分の1に減額できる制度です。奨学金を返したいのはやまやまだけれども、返してしまうと生活費がないというケースもあるでしょう。

たとえば、就職活動に失敗してしまうとアルバイト生活を余儀なくされる場合もあります。また、正規社員になったものの、転職や独立によって一時的にお金が不足する場合もあり得ます。

そのような場合に、毎月の返済額を2分の1または3分の1に減額できれば、随分助かりますよね。奨学金によって生活苦になっているのであれば、減額によって解決策を見出しましょう。

減額可能な期間

奨学金の減額が認められれば、毎月の支払いが1年間減額されます。1年という長い期間減額されるわけですから、その間に生活を立て直すと良いでしょう。

失職している人は就職を目指したり、非正規社員の人は正規社員を目指したり、正規社員で低収入の人は副収入を得るなど、状況に合った対策が必要です。

1年が経過しても、期間終了前に再申請すると期間を延ばすこともできます。繰り返し延長すれば、2分の1減額の場合は15年(180カ月)、3分の1減額の場合は30年(360カ月)まで延ばせますので、うまく活用すると良いでしょう。

返済総額は増えない

奨学金の減額を行うと返済期間が延びます。減額分を免除するわけではありませんから、返済期間の延長で調整するわけです。

返済期間が延長されると追加で利子が増えたり、遅延損害金が発生すると考える人がいらっしゃるようですが、これらは特に不要です。

利息は増えることなく返済総額は一定し、延滞するわけでもありませんので遅延損害金もかかりません。さらに、保証料などもかかりませんので、余分な出費を心配することなく利用可能です。

減額申請に年収などの条件はある?

減額申請をしたからと言って、誰でも許可されるわけではありません。減額が認められるためには一定の条件が設けられています。ここではその条件として以下の内容について紹介します。

  • 奨学金減額返還の年収条件
  • 延滞がないことは前提
  • 返済方法の条件
  • その他条件
奨学金減額返還の年収条件

減額の条件として収入要件があります。サラリーマンの場合は、必要経費を控除した年間所得から25万円を控除して300万円以下である場合(または所得証明書などの年収)、自営業者の場合は200万円以下が条件となっています。

また、誰かを扶養しているのであれば1名ごとに38万円の控除、すでに減額返還中であれば25万円の控除が受けられます。つまり、収入が少なくて返還が厳しい状況の基準として、上記金額が設けられているのです。

延滞がないことは前提

延滞がないことは前提となります。もしも奨学金が払えないからと言って遅延や滞納をしてしまうと、減額制度の条件から外れててしまいます。

具体的には減額申請をする段階で遅延や滞納をしていると認可されないのです。とはいえ、遅延や延滞を解消すれば申請することは可能ですので、該当する場合は早めに金策を行いましょう。

延滞リスクは遅延損害金や信用情報機関への記録だけでなく、このようなところにもあるのです。

返済方法の条件

減額が認められる条件として、月払いで返済している必要があります。たとえば年払いや半年払いなど、ほかの方法で返済している場合には、月払いに自動変更されます。

また、リレー口座という本人名義の引き落とし口座の設定も原則です。ちなみに、月払いで口座引き落としであれば、リレー口座となっています。

もしリレー口座未加入であれば、リレー口座手続きをしてから金融機関印のある「預・貯金者控」のコピーを、後述の「奨学金減額返還願」に添付する必要があります。

その他条件

「個人信用情報の取扱に関する同意書」の提出も前提です。もしも提出していない場合には、記入・押印をした上で「奨学金減額返還願」に添付しましょう。

減額申請の方法

奨学金の減額申請は、どのようなやり方をすれば良いのでしょうか?ここでは減額申請の方法として以下内容について解説します。

  • 手続きの必要書類を郵送する
  • 申請のタイミング
  • いつから減額されるのか

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手続きの必要書類を郵送する

減額申請はとてもシンプルで、必要書類を日本学生支援機構に郵送するだけです。「日本学生支援機構返還部返還猶予課(〒162-8412 東京都新宿区市谷本村町10-7)」に必要書類を送りましょう。

必要書類は「奨学金減額返還願」「チェックシート」「返済が難しいことを示す証明書」の3つです。「奨学金減額返還願」「チェックシート」は日本学生支援機構の公式サイトからダウンロード可能です。

返済が難しいことを示す証明書は主に以下のとおりです。

  • 住民税非課税証明書(原本)
  • 所得証明書(原本)
  • 市・県民税(所得・課税)証明書(原本)
  • 雇用保険受給資格者証(コピー)
  • 雇用保険被保険者離職票(コピー)
  • 失業者退職手当受給資格証(コピー)
  • 雇用保険被保険者資格喪失確認通知書(コピー)
  • 2ヶ月以内に発行された診断書(原本)
  • 罹災証明書(原本)
申請のタイミング

減額返還を希望する場合には、減額希望月の前月末までに申請が必要です。たとえば6月から減額を希望するのであれば、5月末までに申請しなければなりません。

逆に早すぎても受付してもらえない場合があります。減額希望月の4カ月以上前に減額申請をしても、書類が送り返されてしまいます。4カ月以上とならない範囲で前月末までに申請しましょう。

いつから減額されるのか

奨学金の減額は「奨学金減額返還承認通知」が届き次第行われます。申請書類に不備などがなければ、奨学金が減額され始める月の中頃に「奨学金減額返還承認通知」が送られてきますので、その月から減額開始と考えておきましょう。

ただし注意点としては、連帯保証人にも「奨学金減額返還承認通知」が送られます。びっくりさせてトラブルとならないよう、連帯保証人にはあらかじめ伝えておいた方が良いでしょう。

奨学金減額返還のメリット

奨学金減額返還をした場合にはどのようなメリットが考えられるのでしょうか?ここでは具体的な内容として以下について紹介します。

  • お金を貯めやすくなる
  • 延滞を回避しやすくなる
  • 気持ちにゆとりが出る
お金を貯めやすくなる

奨学金の減額返還をするとお金を貯めやすくなります。減額してもらうことで生活にゆとりが出れば、その分貯金や投資に回すことができるでしょう。積立投資の場合には少額でも行えますので、無理なく将来のための資金を作ることが可能です。

特に奨学金の金利よりも投資による利回りが大きい場合は、奨学金を満額で返済するよりも得となりますので、お金を貯めることに有利となるでしょう。もちろん、投資にはリスクもありますので、しっかりと学んだ上での運用が前提です。

延滞を回避しやすくなる

延滞を回避しやすくなるということも大きなメリットです。延滞をして信用情報にキズが付いてしまうと、ライフプランに悪影響となってしまいます。

住宅ローンはおろか、自動車ローンやカードローンなど、各種ローンの審査で不利となりますし、クレジットカードの審査通過も厳しくなるでしょう。

これら金融取引でマイナスとなってしまうと、住宅購入ができなくなったり、ここぞという時の金策が難しくなったり、ハイクオリティーな生活ができなくなるなどの影響が出てしまいます。減額により延滞を回避できれば、これらのリスクを避けられます。

気持ちにゆとりが出る

精神面でも大きなメリットがあります。毎日お金のことを考えながら生活するのは精神的にキツイものがあります。次の返還日までにお金を工面しなければならないという生活を繰り返していると心が休まりません。

心にゆとりがないと、前向きな取り組みがしにくくなりますので、心のゆとりは大切なのです。減額返還によってお金の悩みが少しでも解決すれば、収入を増やすための行動にも前向きになれるでしょう。

奨学金減額返還のデメリット

奨学金の減額返還はメリットばかりではありません。いくつかのデメリットもあります。デメリットも把握してから申請しないと後で後悔することにもなりかねません。ここでは以下のデメリットについて紹介します。

  • 返還期間が長くなる
  • 家計管理が甘くなる可能性がある
  • 将来設計が立てにくくなる
返還期間が長くなる

減額返還をすると、毎月の返済額は少なくなって家計負担が軽くなりますが、その分返済期間は延びてしまいます。2分の1に減額してもらった場合は最大で15年間、3分の1に減額してもらった場合は最大で30年延びますので、いつまでたっても完済しないことになります。

最初の設定で20年の返済期間だったものが、35~50年の返済期間となるため、ずっと自分の学費を支払うことになります。

ほかのローンと合わせれば多重ローンとなり、生活苦に陥るリスクも高まるでしょう。お金にゆとりができた段階で繰り上げ返済を検討しましょう。

家計管理が甘くなる可能性がある

減額によって生活にゆとりが出ると、家計管理が甘くなるケースがあります。折角切り詰めて生活できていたにも関わらず、負担軽減による油断で浪費してしまうのです。

収支が増えたからと言って生活水準を上げてしまうと、先送りした借金の負担を増やしているだけですので、減額しても生活水準はこれまで通りに保つ必要があります。できれば家計簿をつけて予算組みをし、これまでどおりの支出に抑えましょう。

将来設計が立てにくくなる

奨学金の減額をすると、将来設計が立てにくくなるというデメリットもあります。先述のとおりいつまでも借金が残っていると、たとえそれが少額だったとしても、新たなローンを組みにくくなるでしょう。減額によって借金の返済を先送りする分、将来の自分に返済を課していることになります。

減額返還では追いつかない場合の対処法

家計のやり繰りが厳しく、減額返還では追いつかなくなった場合には、「返還期限猶予を利用する」「債務整理をする」などの方法があります。それぞれ具体的に解説します。

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返還期限猶予を利用する

たとえ2分の1や3分の1に減額してもらったとしても、そもそもその返済すら厳しいという状況の場合には、返還期限猶予制度を利用しましょう。

返還期限猶予制度とは、一旦返済を止めてもらう制度です。経済困難や失業、傷病などの理由で返還ができない場合に申し込めます。

返還期限猶予は10年が限度で、1年ごとに申請が必要です。減額の場合は延滞中には新生できませんが、猶予の場合には延滞していても申請可能です。

債務整理をする

債務整理をするという方法もあります。債務整理とは合法的に借金を軽減してもらう方法で、借金の程度によって任意整理、個人再生、自己破産を選ぶことになります。

任意整理は将来利息の免除などで負担軽減をしてくれる方法で、借金の程度が軽い場合に有効です。個人再生は借金を5分の1程度に減らす方法で、数百万円の借金がある場合に有効です。

自己破産は資産を没収される代わりに借金を帳消しにしてくれる方法で、安定収入がない場合などに有効です。

司法書士や弁護士に依頼すれば、手続きを代行してくれます。ただし、5年から10年の間はローンやクレジットカードなどの金融取引ができなくなるというデメリットがあります。

奨学金の減額返還に関するまとめ

奨学金は状況により、最大3分の1に減額が可能です。返済が厳しい場合には検討すると良いでしょう。ただし、誰でも申請できるわけではなく、年収300万円以下などの条件があります。あらかじめ把握しておきましょう。

また、奨学金の減額は、お金を貯めやすくなるなどのメリットや、返還期間が長くなるなどのデメリットがあります。それぞれのバランスを踏まえて検討することが重要です。

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