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社会保険と国民健康保険の違いは何?仕組み・加入条件などをFPがわかりやすく解説

  • 2020.1.9
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社保と国保、よく比較されるこれらの社会保障の違いは何でしょうか。医療保険の「社保と国保」の違いやそのメリットについて解説します。

社保と国保の違い

”国保”は、国民健康保険の略称です。

これに対して”社保”という言葉は「健康保険」と「厚生年金保険」を指すことが多く、このうち国民健康保険と同じ役割なのは健康保険です。

医療保険における「社保と国保」の違い、つまり健康保険と国民健康保険の違いを確認していきましょう。

保険者

保険者とは、保険事業を行っている者です。

社保と国保それぞれに、大きく分けて2つの保険者がいます。

社保

健康保険は、①主に中小企業を対象とした「全国健康保険協会(以下、協会けんぽ)」と、②加入できる従業員が700人以上の大企業が認可を得て組織する「健康保険組合(以下、健保組合)」があります。

同じ社保でも、②健保組合のほうが保険料が安く給付内容が充実している傾向があります。

国保

国民健康保険では、③都道府県と市町村がともに行う国民健康保険と(以下、市町村国保)、④同種の事業に就いている人を対象にする「国民健康保険組合(以下、国保組合)」があります。

保険料
社保

協会けんぽ 協会けんぽの保険料は毎年改定され、都道府県によって異なります。2019年度現在の保険料率は、収入に対して10%程度です。

都道府県によって保険料が異なるのは、地域によって収入水準や年齢にばらつきがあるからです。収入が低い都道府県は保険料の確保のために、年齢が高い都道府県は負担する医療費の確保のために、保険料率が高く設定されています。

健保組合 健保組合では、協会けんぽより保険料が安いことが多いです。通常は保険料を企業と従業員で2分の1ずつ負担しますが、企業がより多くの割合を負担してくれる組合もあります。

協会けんぽ・健保組合とも、法律上の保険料の上限は13%です。

国保

市町村国保 市町村国保では、保険料は自治体によって違います。収入が上がるほど保険料は高くなり、2019年度の保険料上限は96万円(1カ月あたり8万円)です。

  • 所得に応じてかかる、所得割額
  • 世帯の加入者の人数に応じてかかる、均等割額
  • 1世帯ごとにかかる、平等割額
  • 加入者の固定資産に応じてかかる、資産割額

これら4項目を組み合わせて計算します。算式や保険料率は市町村によって異なり、資産割や平等割を使っていない市町村もあります。

国保組合 国保組合では、保険料は組合によって違います。収入に応じた保険料がかかる組合があるほか、額に関係なく1人いくらと保険料が固定されている組合も多いです。

扶養

健康保険では「被扶養者」の制度があります。収入が少ない一定の親族も、一緒に医療保険を使えます。扶養している人が1人でも5人でも、かかる保険料は変わりません

いっぽうの国保には「被扶養者」の概念はありません。未成年の子どもや専業主婦の妻も含めて、1人1人が被保険者です。国保組合では、組合員と同じ世帯に属する者も被保険者となれます。

傷病手当金・出産手当金

ケガや病気で仕事を休んだ時、健康保険であれば「傷病手当金」が支給されます。出産のため休んだ期間には「出産手当金」が支給されます。

市町村国保では、傷病手当金・出産手当金の制度を行っていません。一部の国保組合では、これらの手当金が支給されます。

任意継続

健康保険には、退職してしまった後も、2年間引き続き健康保険を利用できる「任意継続被保険者」の制度があります。

また、一定の健保組合では、退職後2年を過ぎても利用できる「特例退職被保険者」の制度があります。10~20年以上勤務し、年金を受け取っているなど、条件を満たした高齢者が特例退職被保険者になれます。

国保には任意継続の制度はありません。

社保と国保の仕組み

健康保険は、原則として事業所単位で加入します。

  • 法人(株式会社、合同会社…)
  • 個人事業のうち、5人以上が勤める一定の事業

これらの事業主は、健康保険に加入しなければいけません。書類を届け出て全国健康保険協会の適用事業所になり、保険料を納めます。700人以上の従業員がいる場合は、認可を受けて健康保険組合を設立することもできます。

健康保険(協会けんぽ・健保組合)、国保組合、どちらの医療保険も対象にもならない人は、市町村国保の対象になります。

社保と国保の加入条件

日本は”国民皆保険”になっており、すべての人が何かしらの医療保険に加入しなければいけません

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勤務先は?

勤務先が①②の健康保険の対象になっているのなら、フルタイムで勤務する場合は、健康保険の加入対象になります。

おおむね週30時間以上働いている場合や、大企業・一部の中小企業で週20時間以上働いている場合は、短時間勤務でも健康保険の加入対象になります。

会社員は必ず社保?

株式会社などの法人に勤めている人は基本的に社保(健康保険)が適用されますが、例外もあります。法人であっても、国保組合が適用されている事業所もあります。公務員や独立行政法人の職員など、共済組合の被保険者になる場合もあります。

国保でも、保険料を比較する

市町村国保では収入が高くなると保険料が上がる一方で、国保組合では保険料を一律としているところも多いです。

フリーランスで仕事をしている場合など、自分が入ることができる国保組合がないか調べて、市町村国保との保険料を比較してみましょう。

無業なら市町村国保

仕事がない人は、家族の健康保険の被扶養者になるか、家族の国民健康保険組合にともに加入するかを検討します。そうでなければ市町村国保に加入しましょう。

75歳になったら後期高齢者

どの医療保険に加入していても、あるいは被扶養者になっていても、75歳の誕生日を迎えると脱退します。脱退後は、市町村が行う「後期高齢者医療制度」に加入します。

生活保護受給者は国保の対象外

生活保護(医療扶助)を受ける場合は、国保や後期高齢者医療制度には加入しません。いっぽう、生活保護を受けていても、社保(健康保険)の被保険者・被扶養者になっている場合は、社保の資格は継続します。

社保と国保のメリット

社会保険のメリット・デメリット

社会保険のメリットは保険料が安くなることが多いこと、給付が充実していることが挙げられます。国保よりお得な部分が多いです。

  • 保険料は安くなる…とは限らない
  • 会社が半分負担してくれる
  • 加入している年齢層
  • 被扶養者
  • もしもの時の給付
保険料は安くなる…とは限らない

社保と国保でどのくらい保険料に差があるかは、個別に計算してみないと分かりません。一般的に社保のほうが保険料が安くなりやすいのには、次のような理由が挙げられます。

会社が半分負担してくれる

約10%の保険料がかかっても、2分の1は会社が負担してくれます。

加入している年齢層

社保の加入者は働き盛りの10~60歳代が多いのに対し、国保の加入者は、会社を退職した高齢者や無職の人が中心です。集める保険料が少ないなかで運営しなければいけないことが、市町村国保が割高な原因のひとつに挙げられます。

被扶養者

被扶養者の制度があるおかげで、家族が増えても負担する保険料が変わりません。

もしもの時の給付

ケガをした時の傷病手当金など、健康保険だから受けられる給付も多いです。健康保険と併せて加入する厚生年金のおかげで、老後の年金額も多くなります。

国民健康保険のメリット・デメリット

社保と比較すると、給付内容が薄いことが国保のデメリットです。ただし保険料負担のみを比較するのであれば、同じ収入で国保料のほうが安い人もいます。

【比較】受給額vs保険料負担

同じ収入で、国保と社保の場合を比較してみます。条件は次のとおりです。

  • 月収30万円、年収360万円(給料)
  • 家族3人(本人35歳、配偶者35歳、中学生1人)
保険料

筆者の住む愛媛県松山市の保険料です。(2019年度)

まず、保険料で大きな差が付きました。市町村国保では、12カ月分を10回に分けて納付するため、1回に納付する額はこれより大きくなります。

傷病手当金

仮に骨折で1カ月休んだ場合、社保であれば傷病手当金として収入の一部が補填されます。

各年金給付

ここまで医療保険の違いについて触れてきましたが、医療保険で「社保と国保」の違いがあれば、年金保険でも「社保と国保」の違いがあります。

健康保険に加入する場合は「厚生年金保険」に加入、国民健康保険に加入する場合は「国民年金保険」に加入することが多いでしょう。40年間同じ条件で加入した場合、もらえる年金額には大きな差が付きます。

社会保険に加入すると老後の年金が増えるほか、障害状態になったとき、遺族を遺して亡くなったときに、年金が受け取れる可能性が広がります。受給できる年金額も、国保より社保のほうが多いです。

社会保険と国民健康保険に関するまとめ

医療保険での”社保と国保”、健康保険と国民健康保険の違いを確認してきました。

給付や保険料を比較すると、社保には多くのメリットがあります。サラリーマンでいると、こうしたメリットを意識しないうちに享受しているのです。また国保に加入する場合、市町村国保か国保組合かで、保険料や給付内容が違ってくることも覚えておきましょう。

社会保険が適用される人の範囲は年々広がっています。これまで対象でなかった業種や、アルバイト・パートタイマーなど「今は国保に入っている」という人も社保の対象になるかもしれません。

保険料の負担額ばかり目につきがちな医療保険ですが、給付の内容もしっかり把握しておきたいですね。

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