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奥さんのことを大事にしている男性が不倫するのはなぜ?【ひとみしょうのお悩み解決】

  • 2019.12.21

“【お便り募集】文筆家ひとみしょうさんにあなたのお悩み解決してもらいませんか?” に送っていただいたお悩みの中から、ピックアップしてひとみしょうさんが解決していきます。

〜「もやっちさん 38歳」のお悩み〜

会社の同僚と不倫関係にあります。お互い既婚、子供もいます。

人事異動した先で初めて会った時から、この人と話していると不思議と落ち着くなぁと感じていました。

向こうも同じ思いだったそうです。

たまに二人で過ごせる時間は私にとって本当に幸せな時間です。

ただ、彼の私に対する行動が理解できない面があります。

「奥さんが子どもをお風呂入れるのが大変だって言うから、当分のあいだ会社からすぐ帰らなきゃ」「奥さんの機嫌が悪いからご機嫌取りに帰らなきゃ」と、ある意味正直に、わたしと会う約束をキャンセルする理由を伝えてきます。

また、お子さんと一緒に楽しそうに写ってる写真を私に送ってきたりする時もあります。

こちらからすると、家庭第一のすごく良いパパ、かわいい子どもにも囲まれている幸せなパパ、にしか見えません。

こういうことが続くと、私が彼のそばにいる意味ってないかな、と感じます。残念ながら、私との関係はただのスケベ心なのかな?とか。

それを伝えると「そんなこと言わないで。あなたが大切なんです。そばにいてほしい」と言われます。

家庭以外に女性を求める男性は、何かしら家庭に不満だったり寂しさだったりを感じているものじゃないのかなと思っていました。

(私は女性ですが、状況としては、夫との関係を悩み過ごしている面があります。彼には話してないですが )

でも、彼は自分の家庭に大きな不満があるわけではないように思います。

お互いそれぞれの家庭を壊す気はありませんが、そこまで奥様とお子さんを第一に考えているのであれば、私がいない方が彼は逆に楽なんじゃないかと考えてしまいます。

お子さんの写真を見てしまったりすると、彼には家庭だけを大事にしてもらう方が、誰も傷つけないのかな、とも思います。

彼の発言や行動の真意がよくわからないので、悩んでいます。

彼との今後の関係はどうすればよいでしょうか…。

〜ひとみしょうさんのお悩み解決コラム〜

このまま彼と不倫関係を続けるしかないと思います。

が、ひとつ、もやっちさんが知っておいた方がいいことがあります。

それは、不倫というものは、家庭生活がうまくいっている人でもやるものだ、という端的な事実です。

奥さんとうまくいっている男性も不倫するという端的な事実

不倫って、奥さんとうまくいっていないからするもの、という側面がありつつも、同時に、奥さんとうまくいっているからやるものだという側面も持っています。

不倫上級者に言わせると、家庭がうまくいっていればいっているほど不倫もうまくいくのだそうです。

奥さんというひとりの女性とうまくいっていないから、そこから逃げるかのように不倫相手と燃えるというのより、奥さんにも不倫相手にも好かれてモテまくっている俺、みたいなことを、不倫上級者は言っているのかもしれませんね。

不倫上級者の話はさておくとして、奥さんとうまくいっている人でも不倫する、ということについてお話しましょう。

家庭生活がうまくいっている人たちの不倫とは?

奥さんとうまくいっている男性が不倫するのはなぜか?

それはひとつには、彼が自分の能力を発揮したいと思っているからです。

彼の奥さんが知らない彼の能力って、実はいくつもあります。なにも彼があえて(恣意的に)奥さんに対して「俺のこの能力は、絶対に妻に見せないぞ」と決めているわけではありません。

奥さんの旦那に対する見方や捉え方からこぼれ落ちてしまっている「もうひとつの旦那像」というものが、ほぼ絶対的にどの夫婦にもあり、その「もうひとりの俺」を、いかんなく発揮できる場所がたまたま不倫相手の前だった、ということです。

家庭生活がうまくいっている人たちの不倫って、そういうものですよ。

男女逆パターン、つまり、旦那とうまくいっている女性が不倫することを説明すれば、もっと理解していただけますか?

旦那とうまくいっている女性が不倫するのは、たとえば、高校生のころのモテていた自分を今ふたたび再現したいとか、反対に、高校生のころ親が厳しくてあまり遊んでこなかったので今遊びたいとか、そういう動機だったりしますよね?

つまり、旦那が知らない自分をいかんなく発揮できる相手を探し(たとえば、ヤンチャな感じの年上男性を探し)、その相手とモテるわたしとして遊ぶ(つまりスケベなことに興じる)。

そして、プレイが終われば、旦那にとっての妻の顔に戻り(子どもにとっての母親の顔に戻り)、ふつうに家路につく――というようなことです。

もやっちさんの彼も、これとまったく同じことをしています。

「この人といたら落ち着く」と感じる人はひとりではない

より具体的にいうと、彼も、もやっちさん同様、<人事異動した先で初めて会った時から、この人と話していると不思議と落ち着くなぁと感じてい>たはずです。

この「落ち着くなぁ」という感じは、彼にとって、奥さんに対して「落ち着くなぁ」と思う気持ちとは、また別の気持ちなのです。

ふつう、この人といたら落ち着くと感じる人って、ひとりではないですよね? 何人もいますよね?

その何人かのうちのひとりが、彼にとっては奥さんであり、もうひとりが、もやっちさんだったということです。

そして、大切なことは、彼は偶然にも、もやっちさんに出会ってしまったという事実です。人事異動って偶然でしょ? 人事異動でどの部署に異動になるのかが事前にわかっていたとしても、その部署で誰と出会えるのかは偶然の要素が大きいでしょう?

不倫は驚きから始まる

つまり、彼ともやっちさんは、偶然にも出会い、偶然にも「この人といたら落ち着く」と感じ、偶然にも不倫関係になった、ということです。

これは驚くべきことです。

こんなにもたくさんの人がいる中で、なぜか彼はもやっちさんに出会い、なぜか男としてもやっちさんに惹かれ、なぜかもやっちさんに受け入れてもらえた――これって驚くべきことでしょう?

つまり、彼にとって不倫とは驚きから始まったのです。

もやっちさんが「奥さんと幸せそうなのになぜ彼は不倫するのだろう?」と驚くより先に、彼はあなたが存在することにおおいに驚いていたのです。

おわりに

彼ともやっちさんは、今、お互いに別のことに驚いています。

でも、きっと、驚きの大きさや温度感はとても似ているのだろうと思います。

そのようなふたりは、たいていの場合、倫理的に不倫は善くないと言ったところで、それを聞き入れません。行くところまで行かないと驚きを消化できないからです。

だから、冒頭に「このまま彼と不倫関係を続けるしかないと思います」と書きました。

不倫関係が善いとは言わないけれど、でも驚きって、「驚け!」とか「驚くな!」と言われてそうできるものではないので、このまま彼と不倫関係を続けるしかないと思います。

(ひとみしょう/作家・コラムニスト)

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