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距離を置くべき? 身内にアスペルガー患者がいる人の実録エピソード2選

  • 2015.4.7
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【女性からのご相談】

大学生のときからの友人のことで相談させてください。私も彼女も現在35歳です。彼女はアスペルガーという疾患を持っていますので、これまで“優しさ”、“思いやり”、“理解”を忘れずに長年付き合ってきました。 しかし、このごろ彼女の口調が前よりとても攻撃的になってきて、思い通りにいかないと私に対して発狂するようになってきました。さらに、「私はアスペルガーなんだからもう少し気を使ってくれてもいいんじゃないの?」、「私のことわかってくれているんだよね?」と何度も言います。そして気に入らないことがあると私に責任転嫁し、謝ってきてくれたと思ったら、その翌日にはまた同じようなことで私を責め立てたりするのです。

いくらアスペルガーとはいえ、他人の気持ちを追い詰めるまで罵倒してもよいとは思えなくなってきてしまいした。「先天的な疾患を抱えている人には優しく、優しく……」を心がけてきましたが、最近は私の心が参ってきてしまっています。それでも、私は我慢してアスペルガーの彼女に優しくしながらお付き合いを続けていくべきなのでしょうか? 少しの間距離を置きたいと思う私は、冷淡で思いやりのない人間なのでしょうか?

●A. しばらく自分の心の状態と気持ちを休ませることが大切かもしれませんね……。

はじめまして。こんにちは。藤じゅんです。おつらい中、お気持ちをお話くださりありがとうございました。

ご相談者さまは、とても優しい方なのですね……。優しい気持ちをお持ちであるからこそのお悩みだと感じさせられました。

近年、『アスペルガー症候群』という病への認知度が高まっています。そして、その病への症状や特徴、及び行動パターン、こだわり、などがいろいろな角度から解明されてきています。

そのような中、ご相談者さまはアスペルガーのご友人と10年以上お付き合いを続けているのですから、ただならぬ心の優しさと思いやりを感じます。

突き放すことだってできたのですから……。そして、これまで気持ちがつらくなることもたくさんあったとお察しします。

●血縁者にアスペルガー症候群の患者がいる方のエピソード2選

ここで、2人の方のお話をご紹介したいと思います。

●小学5年生アスペルガーのお子さんを持つお父さんのお話

『私は、いつもいつも悩んでいます。世の中に対してアスペルガーだからといって、その特性を不問にしたり擁護することはして欲しくないのです。アスペルガーの子どもにその特性を正当化するように育って欲しくはないからです。それはアスペルガーを治すという意味ではありません。だってアスペルガーは治らないのですから……。少しずつ、ほんの少しずつでよいから、アスペルガー特有の攻撃性や他人に苦痛を与えるようなこだわりを軽減させてあげたいからなのです。

アスペルガーの子どもを持つ親としては、わが子がどんな問題行動を取ったのかきちんとに知っておかないと、その後の療育が不完全になりますから、そのことを決して忘れてはいけないと感じています。親が適切な療育をその子にしないと、成人してからも同じ問題を抱え続け、社会に出ていかねばなりません。だからこそ、このような発達障害の子どもに療育は絶対だと思うのです。他人を暴力や言葉で攻撃したり、強いこだわりのせいで他人の気持ちを踏みにじるようなことはしてはならないと繰り返し繰り返し、何度も何度も、親がくたびれてしまうほどの時間を費やして最低限、教えていく必要があるような気がしてなりません。

そのためには、人の痛みやつらさを感じさせ、自分のことで謝罪してまわる親の姿を目に焼きつかせ、反省することを促しながら、攻撃性や衝動性を押さえる努力をその子自身の中に形成してあげなければならないと思います。同時に、そのアスペルガーの特性により、被害を受ける周囲の子どもたちの心も周りの大人たちが守ってあげなければならないとも思います。それが子どもの教育、そしてアスペルガーの子の療育であって、アスペルガーだから健常者が全て我慢するなどは、間違った理解だと、親として思います。皆さんの周りにはアスペルガーだからといってどんなことをされても我慢している方はいないでしょうか……。

アスペルガーの疾患を持つ方の行動は、犯罪に変貌することだってあるんです。きちんとしかるべきところに、対処を求めてほしいと思います。アスペルガーであるわが子のため、そして将来の発達障害児童教育のためにもそのことを切に願っています』

●アスペルガー患者が家族と親類に3名おられる方のお話

『アスペルガーとは発達障害の中に分類されるものであり、先天性でDNAレベルの脳障害だそうです。世間一般では、ある程度認知されているようですが、実際は、書物やマスコミで言われる内容よりかなり深刻なのです。

実際に私はアスペルガーの身内に振り回され、時に仕事や地位そして多くの財産、そして膨大な時間も失いました。ですから、アスペルガーの障害やその人に対しての特有の偏見などは一切ないのですが、もしも、家族や血縁関係者でなく、関わりを絶てば普通に穏やかな生活や環境が確保されるのなら、静かに離れてみることをオススメします。

アスペルガーの人は信頼したり、愛情を覚える対象者に対し、常に気を引くために手段や方法を選ばず、結果的に迷惑をかけてしまうことがあります。大人の体と知恵を持った子どものようなもので、自分に都合の悪いことは忘れてしまったりもします。それは、悪意があってそうしてしまうのではなく、無意識のうちにやってしまうのです。

また、自分の責任を、信頼している人に転嫁してしまうこともあります。本人はそれが世の中で正当に通じると考えているので、他人ではとても対処しづらいです。たまに、「悪かった、ごめんなさい」とも言ってくれることもありますが、ほとんどはその場だけで、その日だけならまだ良いとしても、数分後には何もなかったような振る舞いになることもあります。そして、そこに被害妄想や誇大妄想などが混ざっていることもあります。

これらのことは、先天性である以上、改善は難しいとされています。しかし、本人の自覚次第で、現状の悪化を防げることはできます。アスペルガーという病気に対して、あまり知識のない人は、精神的な病気になってしまう2次被害を受けかねませんので、距離を置いてみるのがいいでしょう』

●自分の心を、そして気持ちを守ることも忘れないで

上記のお2人のお話をお聞きになり、どのように感じられましたか? 少しは気持ちが落ち着かれたでしょうか?

ご相談者さまは、決して、冷たい方なんかじゃありません。ご友人の方は自分のアスペルガーを認知されていますよね。それを誇示せずご相談者さまのお気持ちに少しでも気付かれる日がくると良いですね……。

どちらにしろ、ご相談者さまには一定期間、心の休養が必要だと思います。誰にも攻撃されず、責任転嫁されない環境に身を置いてみてくださいね……。どうぞ、ご自身の心をお大事になさってください……。

●ライター/藤じゅん(カウンセラー)

二男二女(双子)の母。海外で出産した下3人は年子で双子。バリバリのキャリアウーマンに目指すはずだったが、結婚・出産・夫のニューヨーク転勤に伴い子育て中心の海外生活(6年間)を経て帰国。仕事から離れ、子育てを充実させようと奮闘する中で、ママ達のストレスを目の当たりにし、末子である双子の卒園を機にカウンセラーの資格を取得。以降、「ママの心の健康が大切」「ママが楽しければ子どもは幸せ」「夫婦は家族の原点」「夫との会話のススメ」「子どもが不登校になったら……」「子どもが反抗期の時は……」等、ママとなった女性の心のケア、結婚前の女性の相談に力を入れている。しかしながら、近頃は男性からの相談を通して「男性側の視点」も大切にし、どんなに小さい問題点も疎かにせず、専門分野外の「対人関係の悩み」に老若男女問わず、幅広く対応している。療法や定義に捕らわれず、日常生活の中から悩みを緩和させ、元気に明るく生きていけるようなアドバイスできる「家庭的で、身近なカウンセラー」を目標に日々精進中。

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