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ストレスホルモンのレベルを、1日中安定させるには?

  • 2019.12.12
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「物事の明るい面を見る」というのは、本当に重要な健康上のアドバイス。健康心理学専門誌『Health Psychology』に掲載された論文によると、楽観的な性格は体のストレスレベルに大きな影響を与えるそう。この内容を『Prevention』からご紹介。

研究チームは、とりわけストレス疲れした高齢者を対象に、楽観的な考え方がストレスレベルに与える影響を調べた。「老後は、退職してのんびり暮らすものだと思われていますが、加齢に伴う困難が多い時期でもあるのです」と説明するのは、カナダのコンコルディア大学に所属するジョエル・ジョビン研究員。「例えば、認知機能の低下、慢性疾患の増加、大切な人との死別はどれも、コルチゾールとストレスの増加につながります」。そこで彼女の研究チームは、60歳以上の成人135名のストレスとコルチゾールのレベルを6年間にわたって分析した。

その結果、楽観主義者は悲観主義者に比べて、コルチゾールの基準値が低いことが判明。また、楽観的な人はコルチゾールの量が1日を通して安定していた。

コルチゾールの基準値が高いと何がいけないの? コルチゾールは誰の体内でも24時間周期で分泌される。通常は早朝が最も多く、そこから徐々に減っていく。でも、一部の疾患(うつ病など)ではコルチゾールの量が通常どおりコントロールされなくなる。また、コルチゾールが増えると免疫システムに悪影響が及ぶ。そのため感染症と戦う体の力が弱くなり、帯状疱疹(ほうしん)のような自己免疫性炎症性疾患のリスクが高くなるだけでなく、がんや循環器系疾患といった病気の進行も早くなる。

楽観主義者のなかでもストレスの多い生活を送る人は、起床直後にコルチゾール値が急上昇する傾向が見られた。一方の悲観主義者は、ストレスがとりわけ多い日になると、コルチゾール値が1日中高くなり、なかなか下がってこないという結果に。「コルチゾールはストレスホルモンであると同時に、パッと立ち上がって動くための“気力ホルモン”でもあるのです」とジョビンは言う。

楽観的であることの生理学的メリットは、過去の研究でもなかなか実証されなかった。ジョビンによると、その理由は楽観主義とストレス認識が混同されていたことにある。「楽観主義者は、身の回りの環境を脅威と感じにくいはずです」と話すジョビンによれば、だからこそ楽観主義者はストレスを感じることが非常に少ない。

コルチゾールの基準値は胎児の頃に決まるので変えられない。でも、ジョビンいわく心身をストレスの到来に備えることは可能。そのためには前向きでいること。「何とかなると信じていれば、トラウマ的な出来事の影響をフルに受けることはありませんよ」

※この記事は、『Prevention』から翻訳されました。Text: Nina Elias Translation: Ai Igamoto

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