1. トップ
  2. 恋愛
  3. 【女の履歴書】Vol.10 アーティスト・伊藤千晃「仕事も子育ても楽しくやりたい。笑顔があるところにいいものが生まれると信じて」

【女の履歴書】Vol.10 アーティスト・伊藤千晃「仕事も子育ても楽しくやりたい。笑顔があるところにいいものが生まれると信じて」

  • 2019.12.3
  • 2414 views
Glam_resume_chiaki_ito_01
伊藤千晃・アーティスト

1987年生まれ。2018年9月にソロアーティストとして音楽活動を再開。コスメブランドのプロデュースやアパレルのコラボ商品開発などで幅広く活躍中。ジュニア野菜ソムリエの資格も取得し、美容やファッションに関する豊富な知識で同世代の女性からの支持も高い。2019年11月6日には1stアルバム「Be」をリリース。さらに11月20日よりライフスタイルブランド「KIKI AND DAYS(キキ アンド デイズ)」をスタート。

「自分の思いを形にしたい」 ブランド立ち上げは音楽を作る感覚と似ていた

Q. 伊藤さんの人生を振り返って、一番最初にファッションやコスメなどに興味を持ったのはいつ頃でしたか?

3姉妹の一番下の女家系で育ちました。一番上の姉は6つ離れたかっこいい系のモテ女、二番目の姉は2つ違いの真面目で控えめな女性という、まったく個性が違うタイプでした。私は、一番上の姉に好みも似ていて、強い憧れを持っていましたね。最初にメイクに興味を持ったのも、一番上の姉がメイクを始めた頃でした。「なんだろう、このパレットは?」って思ったのを覚えています。メイクやピンクのもの、お人形の着せ替えなど、可愛いものに興味を持ち始めたのは小学校に入った頃です。すごく背伸びしていて、大人に見られたい、というか、一番上の姉になりたいと思っていました(笑)。大きくなったら雰囲気は似ていると言われることも増えましたが、スーパーモテ女だったことも姉への憧れ、羨ましい要素のひとつだったと思います。

Q. お姉さんから学んだモテテクはありますか?

ぶりっ子をしないこと。相手が女性でも男性でもはっきりと意見を言う人でした。外見だけでなく中身もかっこいい、媚びない感じがすごく好きでした。長女として妹の面倒もしっかり見るし、愛情深い。決して甘えることをしないタイプでしたね。そんな姉に憧れ、背伸びしたファッションをしていたので、当時の自分には正直にあってはいなかった。今見ても恥ずかしい写真はいっぱいあります(笑)。

Q. 小さい頃からおしゃれに興味津々の伊藤さんが、自分の色を出し始めたのはいつ頃ですか?

思春期の頃はいわゆる「流行りモノ」が好きでした。自分に何が似合うのかではなく、流行っているからこれを着よう、それがイケてるファッションと思っていたんです。東京に出て来たときの格好は、当時のスタッフさんに未だにいじられます。当時すごく人気のあったブランドのデニムを履いて、トレーナーをあわせて、ニットを被る。いわゆるストリートファッションだったのですが、東京の人から見たら、ぜんぜんイケてなかった。早い段階で心が折れておしゃれのギャップを感じたことは、いい成長につながったと思います(笑)。

Glam_resume_chiaki_ito_02
Q. この業界に入ってから、ファッションやコスメに対する想いはどのように変化しましたか?

20代の頃は個性を出すことについてはいろいろと悩んでいました。それにコスメやビューティー、ファッションがいくら好きでも、センスを持っている人や専門の勉強をしている人がたくさんいましたし。「自分の強みってなんだろう」って考えた時に、せっかく音楽をやっているのだから、音楽の中でファッションやメイクを表現できれば、それが個性になるんじゃないか、というアドバイスをもらったのがきっかけで、仕事で使うものは自分で選ぶようになりました。それがファッションを自分流にしていこうと思った時期でした。

Q. 個性を出すことは、その塩梅が難しそうです。

どこまで表現していいのか、塩梅がわからなかったので、何度もやり直しすることもありました。自信を持ってスタッフさんに提案したものが跳ね返されたときには、すごく凹みましたね。とくに20代は私自身、尖っていた時期もあるので「なんで認めてくれないの?」「いい表現のはずなのに」なんて思うことはたくさんありました。いい提案のはずなのに却下されるのは納得いかない、と怒ったりもしていました。でもそんなやり取りを通して、自分の思いが強すぎてもダメ、相手の気持ちをくみとることも必要、それがわからないと認めてもらえないことを学びました。言い方やプレゼンのやり方、人の気持ちを動かす方法を、何でも言い合える身内の中で勉強させてもらえたのは、私にとってすごく大きなことでした。

Q. そこから「自分のブランドをやろう」と思ったきっかけは?

結婚・出産を経て、少しずつお仕事を再開する中で、自分が30代になったこともあり「今後の人生を生きていく中で、何がしたいのだろう」と考えるようになりました。私は、自分のアイデアや、漠然と「こうしたいな」と思うとすぐに周りに話します。いつもの感覚で「自分の好きなことを仕事に繋げられる人生って素敵だよね」という話しをスタッフさんなど周りの人に言っていました。タイミングよく、実際にブランドを立ち上げるお話をいただいたので、「え? できるの?」と思いましたが、もし、それができるのであれば、やってみたいと真剣に考えるようになりました。一緒にやりたいという人も運良く集まってくれたし、その人たちの表現しているものもすごく好きだったので、一緒にチームとして作れるのであれば夢を叶えたいと強く思いました。そこから「立ち上げるならちゃんとしたい」とスイッチが切り替わった感じです。

Q. 具体的に何をしたのでしょうか?

まずは、何を作りたいかを考えました。自分のためなのか、相手のためなのか。復帰してからの4カ月くらいは、ファンに届けることを意識した曲作りをしていました。でも、音楽は自分の表現でもあるので、ファンのためだけというのに違和感がありました。そんなことを考えながら自分の表現が変わってきたのが今年、まさに2019年の初めの頃です。そんなときに、「KIKI AND DAYS」のコンセプト“Beside You, Beside Me.(いつもあなたのそばに、いつもわたしのそばに。)”が浮かびました。自分が作りたいものはもちろんだけど、人と人とのギフトコミュニケーションを大事にしたい。ギフトとして贈れるものを作りたいと思い、展開の組み立てが始まりました。学生の頃は、何かイベントがあればプレゼント交換とかしていたのに、大人になるとその機会が減るなと。せっかくなら、自分が選んだ最高の贈り物を贈りたいという“気持ち”を大切にしてほしい、相手を思いながら選んでほしいという想いを込めました。

Glam_resume_chiaki_ito_03
Q. 愛犬の名前をブランド名にした理由を教えてください。

18歳で名古屋の実家を離れたのですが、東京に出てきてから孤独や寂しさを感じることが多くなりました。家に帰ったら電気がついていて、「ただいま」「おかえり」という会話が当たり前だったのに、それがなくなっただけでこんなに寂しいものかと。そんなときにKIKIに出会いました。2008年にKIKIがお家に来てからは生活が一変、気持ちにも変化がありました。寂しかった自分の心に、温かい気持ちを返してくれるKIKIにとても感謝しているし、KIKIが来たおかげで私の人生は豊かになりました。KIKIとの出会いは、私の人生で忘れられない出来事。自分の生活を豊かにしてくれるもの、輝きを与えてくれるもの、そんなものを作りたいという気持ちと、KIKIとの出会いで感じた気持ちがリンクしましたね。

Q. ブランドコンセプトにもありますが、伊藤さんがささやかなトキメキを感じる瞬間、愛おしく感じることは?

天気の良い日に「レジャーシート敷いて公園でお昼寝したら最高!」って考えるだけで癒しやトキメキを感じます。あとは、好きな色やテクスチャーのコスメやスキンケアに出会ったときも同じような気持ちになりますね。愛おしいのはやっぱり息子です。仕事と育児の両立は難しさを感じながらも、自分の中でバランスを取っていけばいいという考え方で楽しく向き合っています。例えば、今月忙しかったら来月は息子といる時間をしっかり取るという感じで、うまく調整しているつもりです。周りのサポートがあってこそできていることなのですけどね。

Q. スタートから幅広いラインナップが揃っていますが、こだわりを教えてください。

すべてにおいて等身大の自分を反映させたことです。少し前までは、自分より若い年齢の方に向けたものを作ることが多かったのですが、自分のブランドを作る上では、年齢は関係なく、等身大のものを作ろうと思っていました。私が作りたいもの、欲しかったものを素直に作っていくつもりです。もちろん「KIKI AND DAYS」のものを買ってくれた人たちの声を大事にしたいし、期待にも応えたいと思っています。でも、基本は自分が作りたいものを作る気持ちを大切に動いているブランドだと思ってほしいです。流行りを追いすぎた苦い経験を活かして(笑)、ストーリーをしっかり見せること、気持ちを大事にして選ぶことを意識したアイテムを提供したいと思っています。

Glam_resume_chiaki_ito_04
Q. 伊藤さんのお仕事に欠かせないアイテムは何ですか?

音楽と香りです。集中力を高めるために、ステージに上がる前や本番前には、一番気持ちいい空間づくりを心がけています。アロマは数種類必ず用意して、気分や時間で香りを変えるようにしています。他には、足を冷やさないグッズや、泊まりのときにはバスソルトも。このセットが必須アイテムですね。

Q. 今後の目標を教えてください。

生きているだけでムリをしてしまうもの。だから私は、あんまりムリをしないように仕事も子育ても楽しんでやりたいです。40代になっても「私はこれでいいの、楽しいの」って言えるような背伸びをしない30代を過ごしたいです。笑顔があるところに必ずいいものが生まれると思っています。私にとって“楽しく過ごすこと”はとても大事なこと。楽しくしていくのも自分だし、周りの人を楽しませてあげる職業でもあるので、楽しい環境づくりは、常に心がけていきたいです

【伊藤千晃さんの履歴書】

18歳 ダンス&ボーカルグループのメンバーとしてデビュー
21歳 愛犬KIKIを飼い始める
25歳 ジュニア野菜ソムリエの資格を取得
26歳 プロデュースやコラボ商品開発をスタート
30歳 結婚、ダンス&ボーカルグループ卒業、出産
31歳 ソロアーティストとして音楽活動を再開
32歳 1stアルバム「Be」をリリース。ライフスタイルブランド「KIKI AND DAYS」デビュー


「KIKI AND DAYS」

Glam_resume_chiaki_ito_05

■「KIKI AND DAYS」期間限定ポップアップストアオープン
日時:12月9日(月)~12月15日(日)11:00〜21:00(最終日〜19:00)
場所:ラフォーレ原宿 2階CONTAINER
公式サイト

Photographer/Masakazu Sugino Writer/Shinobu Tanaka

元記事で読む
の記事をもっとみる