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【医師監修】経産婦は陣痛が短くなる? 予定日超過の可能性は?

  • 2019.11.21
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生まれてくる子どもによって、お産の進み方は違うもの。だからこそ、経産婦でも出産は緊張するものでしょう。また、経験したからこそ気がかりが増えるという人もいるかもしれません。

「案ずるより生むがやすし」とはいっても、できることなら不安を払拭(ふっしょく)して出産に臨みたいもの。ここでは経産婦のお産についてご紹介します。

【監修】
成城松村クリニック院長 松村圭子先生


婦人科専門医。1995年広島大学医学部卒業、同年広島大学付属病院産婦人科学教室入局。2010年、成城松村クリニックを開院。女性の「体の健康」「心の健康」のために、一般の婦人科診療だけではなく女性のあらゆる面をトータルにケア。講演、執筆、TV出演など幅広く活動。

著書に、『女30代からのなんだかわからない体の不調を治す本』(東京書店)、『医者が教える女性のための最強の食事術』(青春出版社)など多数。


■経産婦と初産婦の違い

経産婦とは


過去に出産を経験したことのある妊婦さんのことを経産婦(けいさんぷ)といいます。しかし、妊娠22週未満での出産であった場合は経産婦とは扱われません。

お産の方法にきまりはなく、経ちつ分娩でも帝王切開でも、妊娠22週以降の出産をした人は経産婦となります。陣痛が始まってから出産にいたるまでの時間は、初産婦よりも経産婦のほうが短いといわれています。

・初産婦


初めてのお産のことを初産といいます。「しょさん」といったり「ういざん」と読んだりしますが、初めてのお産に臨む女性のことは「初産婦(しょさんぷ)」と呼ぶことがほとんど。文字通り、初めての出産をする女性のことです。

35歳以上で初めての出産をすることを「高齢出産」や「高年出産」といいます。同じ35歳以上でも経産婦であれば高齢出産とはいいませんが、加齢による影響がないわけではありません。

経産婦と初産婦の違い1:出産の経験がある


お産の経験があることで、経産婦さんは胎動を感じるタイミングやお産の進み方が早いといわれています。経産婦が胎動を初めて感じるのは、妊娠18週くらいの妊娠5カ月ごろ。初産婦だともう少し遅くなるそう。胎動がどのような動きかわからなかった初産のときとは違い、前に体験しているからこそ胎動に気づきやすいのかもしれませんね。

出産の経験があるからこそ気づきが多かったり、マイナートラブルに対応する術を知っていることも。お産の流れを把握しているので、不安も少ないかもしれません。

経産婦と初産婦の違い2:上の子がいる


2人目、3人目の出産になる経産婦が育てているのは、おなかの赤ちゃんだけではありません。つわりでつらくても、おなかが重くて思うように動けなくても、1人目、2人目の上の子どもの育児に奮闘していることも。

お産で入院するときのために、子どもの預け先を確保しておきましょう。また、上の子どもに授乳をしている場合は、乳首を吸われることで子宮が収縮し、流産や早産のおそれがあるので、授乳をやめるように指導されることもあります。

■経産婦だと陣痛時間は短くなる?

陣痛時間は短くなる傾向にある


経産婦は初産婦に比べて、出産のスピードが早いといわれています。分娩時間の平均は、初産婦で12~16時間、経産婦だと5~8時間程度です。

「おしるし」と呼ばれる出血があったからといっても、すぐに陣痛が始まるわけではありません。陣痛の間隔が5~10分になったころには、子宮口の開きは2~3センチほど。陣痛が10分間隔になったら連絡をするように産院から指導されますが、経産婦は初産婦に比べて子宮口が開きやすいことから、早めの連絡が勧められることがあります。

後陣痛がつらいケースも


出産後は子宮がもとの大きさに戻ろうとして収縮を繰り返すため、「後陣痛(こうじんつう)」という痛みが出ることも。個人差もありますが、生理痛よりも少し強い痛みが数日続きます。

経産婦のほうが後陣痛を強く感じることが多いのだとか。お産がスムーズだと子宮の戻りが比較的早く、痛みが強いそうですから、初産のときと比べて分娩時間が短い経産婦のほうがつらいと感じるのかもしれません。つらくても、子宮の回復が順調な証拠ですから安心してくださいね。

経産婦であっても個人差が大きい


お産の進み方はあくまでも人それぞれ。初産婦に比べて経産婦のほうが陣痛の時間が短いと一概にはいえません。

でも、お産の流れを知る経産婦なら、「陣痛の感覚が短くなってきたからそろそろかな」とか「いきみたくなったからもう少しで生まれるはず」と、予想でき、その後の流れを想像できることから、お産にかかる時間も短く感じられることはありそうです。



■経産婦は予定日超過しやすいって本当?

予定日を超過するケースもあるがおなかの子によって変わる


出産予定日とは妊婦さんにとって特別な日。赤ちゃんに会えるのを楽しみに待っていることでしょう。しかし、予定日に赤ちゃんが生まれてくる確率はわずか5%なのだとか!

予定日はあくまで、妊娠40週0日を迎える日であり、赤ちゃんが生まれてくる予定の日ではありません。予定日超過は経産婦だからというわけではなく、おなかの赤ちゃんしだいのようです。

予定日を超過している/しそうな時は


予定日を過ぎても、きちんと妊婦健診を受けましょう。予定日超過から日がたつにつれ胎盤の機能が低下するので、こまめにチェックする必要があります。1週間に1度だった妊婦健診は、さらに回数が増えることに。大きなおなかを抱えて何度も病院に行くのは大変ですが、もうひと息です!

予定日に生まれそうになかったり、予定日を過ぎた場合は、次のことにチャレンジしてみて。

・無理のない範囲で運動する


振動で子宮口を刺激するといわれる、ウォーキングやスクワットなどにトライしてみましょう。スクワットで骨盤底筋を鍛えると、産道がスムーズに開くようになります。もしお産につながらなくても、お産に向けての体づくりにもなると割り切って。

・おっぱいマッサージをする


赤ちゃんが生まれてくるのを待つ間には、出産してからスムーズに授乳ができるように準備をしておきましょう。乳頭のマッサージをすることで、赤ちゃんが吸いつきやすい形になり、赤ちゃんに吸われても痛くならない皮膚になります。

また、乳頭への刺激は子宮を収縮させることも。「もう生まれてきていいんだよ」と、赤ちゃんに伝わるといいですね。

・ツボ押しをする


陣痛を促進するといわれているツボを押してみるのもいいかもしれません。力いっぱい押すのではなく、少し痛いけれど気持ちいい程度の力加減で刺激しましょう。
・三陰交(三陰交)…足の内側にある、くるぶしから指4本分上にあるツボ
・太衝(たいしょう)…足の甲にある、足の親指と人差し指の間の骨が合流してくぼんでいるところ

いずれも冷え性や生理痛、更年期障害を緩和するといわれているツボです。覚えておくと、産後も役立ちそうですね。

・無理はせずゆっくり待とう


いつ陣痛が始まるのか、そればかりが気になって落ち着きませんよね。でも、予定日を超過してもきちんと健診を受け、異常がなければ大丈夫! 妊娠41週に入ったら陣痛の誘発や促進をしてお産をするケースがほとんどなので、心配しなくても赤ちゃんは生まれてきます。

出産までの時間は、これからお兄ちゃんやお姉ちゃんになるわが子とゆっくり過ごせるいい機会でもあります。赤ちゃんの誕生を待つ時間を子どもといっしょに楽しんで。

■まとめ



おなかの赤ちゃんによって、お産はまったく違うもの。たとえば、お産がおしるしから始まるか、陣痛から始まるか、それとも破水から始まるか…。こればかりは経験があっても予測不可能。経験があるからこそ、前のお産と違うことがあれば不安が大きくなってしまうこともあるかもしれません。

しかし、出産というゴールにたどり着くまでの道のりは、おなかの赤ちゃんによって変わるもの。前回のお産とはまた違った風景を楽しみながらゴールを目指してくださいね。

参考資料:
・日本産科婦人科学会
・『はじめてママの「からだとこころの悩み」お助けBOOK』(世界文化社) 監修 竹内正人
・『母乳育児ミルク育児の不安がなくなる本』(主婦の友社) 監修 渡辺とよ子
・『35才からの妊娠・出産・育児』(ベネッセコーポレーション)監修 郡山智、郡山純子

(河野能子)

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