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【年末調整】扶養控除の対象範囲&書き方をFPがわかりやすく解説!

  • 2019.11.9
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この記事では、所得税(・住民税)の扶養控除について、家族のうち誰が扶養控除の対象となるのか、扶養控除の対象範囲や社会保険の扶養との違いや、年末調整で扶養控除の適用を受けるための手続きについて解説します。

扶養控除とは

扶養控除とは
出典:国税庁

また血縁関係のある親族のほか、知事から養育を委託された児童(里子)や、市町村長から養護を委託された老人も扶養親族に含みます。

内縁関係(事実婚)のパートナーは控除対象にならない

税法上、内縁関係(事実婚)のパートナーは配偶者ではなく、その他親族にも該当しません。そのため控除対象配偶者、控除対象扶養親族のいずれでもありません。

要件2:納税者と生計を一にしている

納税者が実際に生活費や教育費、療養費などを負担しているかどうかが「生計を一にしている」かの基準です。単身赴任や下宿などで別居していたとしても、定期的に生活費や教育費の仕送りなどを行っていれば「生計を一にしている」とみなされます。

控除対象となる例
  • 納税者が仕送りをしている下宿中の子ども
  • 納税者が仕送りをしている海外留学中の子ども(非居住者)
  • 納税者が仕送りをしている故郷の両親
  • 単身赴任中の納税者の収入で生活している別居の家族
同居している親族は原則扶養とみなされる

要件1の親族に該当する人が同居している場合には、お互いが明らかに独立して生活している場合を除き「生計を一にしている」とみなされます。

1人を重複して扶養することはできない

複数の納税者に対して扶養親族となる要件を満たしていたとしても、重複して扶養親族にすることはできません

たとえば複数の子どもから親が仕送りを受けている場合、仕送りをしている子のうち1人だけが親を扶養にできます(父親と母親の両方を扶養にできる場合、それぞれ別々の子が扶養にするのはOK)。誰の扶養とするかは、仕送り額などに関わらず話し合いによって決めることができます。

また子が母親を扶養とした場合、父親は配偶者控除の適用を受けられなくなります。そのため子の扶養とする場合と父親の控除対象配偶者とする場合、どちらが有利になるかを比較して判断する必要があります。

要件3:所得が38万円以下(令和2年分以降48万円)

扶養(納税者の収入で生活している)とみなされるのは、対象者の年間合計所得金額が38万円以下(令和2年分以降48万円)の場合です。

収入が給与のみの人であれば給与所得控除(令和元年分まで65万円、令和2年分以降55万円)が適用されるため、給与収入が103万円以下であれば収入要件を満たします。

要件4:青色申告者の事業専従者として年間を通じて一度も給与支払いを受けていない、または白色申告者の事業専従者でない

事業を行っている納税者は、その事業へ専ら従事する配偶者やその他親族(事業専従者)へ支払った給与を、必要経費として所得から差し引くことができます(「青色事業専従者給与(青色申告者)」または「事業専有者控除(白色申告者)」)。

専従者として以下に該当する親族は、控除対象とすることができません。

  • 納税者が青色申告者の場合:青色事業専従者として控除を受けようとする年に給与支払いを受けている親族
  • 納税者が白色申告者の場合:白色事業専従者である親族
要件5:12月31日時点で16歳以上

要件1〜4を満たす人のうち控除対象となるのは、控除を受けようとする年の12月31日時点で16歳以上の人です。16歳未満の扶養親族(年少扶養親族)については、扶養控除の対象ではありません。

社会保険の扶養との違い

同居が不要 同居が必要

・直系尊属(父母・祖父母・曽祖父母)

・配偶者(内縁関係を含む)

・子

・孫

・兄弟姉妹 ・左記以外の被保険者の3親等内の親族

・内縁関係の配偶者の父母および子

・内縁関係の配偶者が亡くなった後における父母および子

収入要件

社会保険の被扶養者となるのは、主として被保険者に生計を維持されており、その人の年間収入が130万円(60歳以上または障害者の場合は180万円)以下かつ、次の要件を満たした人です。

  • 同居の場合:収入が扶養者(被保険者)の収入の半分未満(原則)
  • 別居の場合:収入が扶養者(被保険者)からの仕送り額未満
年間収入は将来の見込み収入額が基準

収入要件における年間収入は過去の収入ではなく、被扶養者となる日以降の見込み収入額が基準となります。年間収入となっていますが、実際には各月ごとの収入を基準に判定され、年間収入が130万円未満であっても、月収が10万8,333円(=130万円÷12カ月)を超えると扶養から外れます。

年末調整で所得税(住民税)の扶養控除を受けるために必要な書類と手続き

扶養控除は年末調整の際、勤務先に〈給与所得者の扶養控除等申告書〉を提出することで適用を受けられます。

申告書は、控除を受ける年において最初に給与支払いを受ける日の前日までに提出する必要があり、前年の年末調整の時期にあわせて翌年分の申告書を提出するのが一般的です(中途就職の場合には就職後最初の給与支払いを受けるまでに提出)。

給与所得者の扶養控除等申告書の書き方(記入例)
給与所得者の扶養控除等申告書の書き方(記入例)
出典:国税庁
控除対象扶養親族欄への記載事項

出典:国税庁 (一部抜粋・加筆)

(1)個人番号(マイナンバー)

個人番号欄には、各控除対象扶養親族の個人番号(マイナンバー)を記載します。

勤務先が一定の要件に基づいて作成した帳簿を備えていれば個人番号の記載を省略できる場合もあります。記載するかは勤務先の指示に従いましょう。

(2)老人扶養親族欄・特定扶養親族欄

控除を受けようとする年の12月31日時点で70歳以上の場合には、老人扶養親族欄(上段)のいずれか(「同居老親等」または「その他」)該当するチェックボックスにチェックを入れます。

控除を受けようとする年の12月31日時点で19歳以上23歳未満の場合には、特定扶養親族欄(下段)のチェックボックスにチェックを入れます。

(3)所得の見積額欄

所得の見積額欄には、それぞれ控除対象扶養親族のその年の見込み所得額を記載します。所得額が38万円(令和2年分以降48万円)を超える見込みであれば控除対象扶養親族には該当せず、扶養控除を受けられません。

所得金額が38万円以下となる収入金額の目安

収入金額

収入が給与所得のみの場合 103万円

収入が公的年金等に係る雑所得のみの場合 65歳未満 108万円

65歳以上 158万円

住民税に関する事項欄(16歳未満の扶養親族)

申告書の下段には住民税に関する事項(16歳未満の扶養親族)を記載します。16歳未満の扶養親族(年少扶養親族)は扶養控除の対象外ですが、住民税の非課税限度額を計算する際の扶養親族にはカウントされる

出典:国税庁 (一部抜粋・加筆)

住民税の非課税限度額 住民税の非課税限度額とは住民税が課税されるかどうかの判断基準となる金額のこと。前年中の合計所得金額が非課税限度額以下であれば住民税がかからないメリットがあります。 限度額は「控除額」ではなく、あくまで「課税されるかされないかの基準」。限度額を超えた場合の住民税額計算には影響しません(年少扶養親族は控除対象扶養親族とならない)。

住民税の非課税限度額

所得割・均等割いずれも非課税 住民税の所得割が非課税

扶養親族がいない場合 35万円 35万円

扶養親族がいる場合 35万円×(本人+扶養親族等の数*3)+21万円 35万円×(本人+扶養親族等の数*3)+32万円

(*3 年少扶養親族を含む)

単身児童扶養者欄

令和2年分以降の申告書からは〈単身児童扶養欄〉が新たに設けられます。この欄は離婚や死別(生死不明を含む)などによって、ひとり親として子ども(所得見積額48万円以下・令和2年分以降)を扶養し、児童扶養手当の支給を受けている人が記入します。

該当者はチェックボックスにチェックを入れ、「児童扶養手当証書の番号」「生計を一にする児童の氏名」「その児童の所得見積額」を記入します。児童扶養手当証書の番号が不明な場合には、住んでいる市町村の担当課で確認できます。

扶養等控除申告書提出後に変更(異動)が生じた場合

申告書のを提出した後に、家族構成などが変化して記載内容に変更(異動)が生じた場合、その後最初に給与支払を受ける日の前日までに変更後の内容を記載した申告書を提出する必要があります。

結婚した場合には配偶者に関する項目の変更が必要ですが、通常扶養親族に変更はありません。ただし連れ子などがいる場合には、扶養親族の変更もあわせて必要となります。

年末調整の扶養控除に関するまとめ

扶養控除は年齢や収入によって控除対象となるか、控除対象となる範囲がやや分かりにくい部分もあります。控除対象となる範囲を正しく理解して、もれのない申告を行いましょう。

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