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【医師監修】新生児なのに寝ない! 赤ちゃんが寝ない原因と対策

  • 2019.11.1
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泣いてばかりで寝てくれない!

生後2週間もすると、新生児の赤ちゃんがなかなか寝てくれない時があります。ママは慣れない子育てでへとへとなのに、昼だけでなく夜も赤ちゃんがなかなか寝てくれない。その状況に、どうして良いのかわからず、眠くて泣きたくなる人もいることでしょう。

これは新米ママが、最初に体験する子育ての試練かもしれません。どうしたら寝かしつけに成功するのでしょうか? 新生児が寝ないときの対策を考えてみました。

【監修】
赤坂ファミリークリニック院長 伊藤明子先生


小児科医師、公衆衛生専門医、同時通訳者。東京外国語大学イタリア語学科卒業。帝京大学医学部卒業、東京大学医学部附属病院小児科入局。東京大学大学院医学系研究科公共健康医学専攻修了。同大学院医学系研究科公衆衛生学/健康医療政策学教室客員研究員。2017年より赤坂ファミリークリニック院長、NPO法人Healthy Children, Healthy Lives代表理事。

著書・共著に『小児科医がすすめる最高の子育て食』など。テレビ番組「林修の今でしょ!講座」などに出演中。二児の母。


■新生児が寝ない時ってどんな時?
赤ちゃんは言葉でコミュニケーションをとることができません。唯一、泣くことでママに不快な状態であることを伝えてきます。

新生児がぐずって寝ないのには、なんらかの原因があるようです。赤ちゃんだって、本当は寝たい…、だけど眠れない。と、ママに訴えているのかもしれません。

▼授乳・ミルク後なのに寝ない


新生児の1日は、おなかいっぱいにおっぱいやミルクを飲んでは、うんちやおしっこをして、寝ることを繰り返します。こうして毎日すごい早さで成長しているのです。

授乳後は至福のひとときのはず…なのですが、泣いてばかりで寝てくれない時があります。原因のひとつには、ミルクといっしょに飲み込んだ空気が、おなかにたまり、ガスとなって圧迫しているのかもしれません。

▼ずっと抱っこしているのに寝ない


赤ちゃんはママの抱っこが大好き。ママにゆらゆらと抱っこされると、安心してスヤスヤと眠りにつきます。

しかし、毎回このようにうまくいくとは限りません。長時間抱っこして、やっと寝たと思い、そーっとベッドへ下ろしたとたんに泣き出し、もう一度最初からやり直し…なんて日もあります。

ママと同じように赤ちゃんにも、機嫌や体調の波はあります。その日によっていろいろあるのでしょう。

▼なぜか夜だけ寝ない


生まれたばかりの赤ちゃんは、生活リズムがまだ定まっていません。ですから昼と夜の違いもわかりませんし、区別もついていません。ですから、夜だから寝ないという、特別な理由はまだありません。昼と夜のリズムができてくるのは、生後3カ月ごろといわれています。

■新生児が寝ない6つの原因
赤ちゃんが眠ない原因とは何か考えてみましょう。

▼原因1:気持ち悪くて泣いている


赤ちゃんは不快な状態であることをママに泣いて訴えます。赤ちゃんにとっては、これが唯一のコミュニケーション手段ですから、ママは泣いている原因を取り除いてあげる必要があります。

まず思いつくのは、おむつがぬれているということ。おしっこやうんちでおしりが汚れていたら大人だって気持ちが悪いですよね。それは赤ちゃんもいっしょ。きれないおむつに取り換えてあげましょう。

ほかには、ゲップが出ない、便秘でおなかが張っているなども考えられます。不快な状態を取り除いてあげることで眠りにつくことがあります。

▼原因2:まだおなかが空いている


次に考えられるのは、おっぱいやミルクが足りていないということ。新生児はまだおっぱいをじょうずに吸うことができないため、ママへの刺激が足りず、母乳が十分に出ないことがあります。

授乳後なのに寝ないときは、ミルクを足してみましょう。母乳は出ている量がママにはわかりにくいことから、母乳が足りていないことがあります。

▼原因3:環境に慣れていない


ママのおなかの中から誕生してからまだ間もない新生児。おなかの中は刺激が少なく、安全なところでした。そんな世界とは違い、外には刺激がいっぱい。

大人には慣れて感じないことにも、赤ちゃんには強い刺激となっている場合があります。光や音、においや感触、赤ちゃんにとって心地よい環境かどうかを赤ちゃんの視点で見直してみましょう。

▼原因4:体調が悪い


鼻水や目やにが出ていたり、せきやくしゃみはしていませんか? このほかにも呼吸が荒い、体が熱いなど、いつもと違う様子がある場合、体調が悪くて寝られないのかもしれません。

さっきまでご機嫌だったから大丈夫! と放置せずにこまめに体調をチェックすることをおすすめします。新生児は、大人と違い様態が急変するものです。体調が悪くて寝れない場合があることを知っておきましょう。

▼原因5:興奮している


寝ないからといって必ずしも、ぐずって機嫌が悪いわけではありません。実は機嫌が良く、興奮していることが原因で、寝ないこともあります。

昼間の経験の刺激が強すぎた場合、夜も興奮状態が続き、なかなか眠りにつけないことがあります。大人だって、うれしいことがあった時、わくわくするような経験をした時、夜眠れなかったことがありますよね。それらと同じことが小さな赤ちゃんの世界にも起こっているようです。

▼原因6:理由なく寝ない時もある


赤ちゃんが寝ない理由の多くは解明されていないことがほとんどです。理由なく寝ない時もあります。人は基本的に、眠りにつくためには、昼間に程よい運動や刺激が必要です。これは赤ちゃんにも通じることかもしれません。

ママが歌を歌いながら赤ちゃんの体をさする、手遊び歌などで遊びの相手をすることをおすすめします。程よい刺激が運動となり、夜ぐっすり寝てくれるようになるでしょう。



■新生児が寝ない時にやってみたい5つの対策

▼対策1:気持ちの悪い原因を全て取り除く


赤ちゃんにとって気持ちが悪い原因を全て取り除いてあげましょう。これはひとつひとつ試してみるしかありません。おむつを取り換えてみたり、汗をかいて暑がっていたら肌着を調節する、便秘をしていたら、赤ちゃんのおなかに手をあて、のの字を書くようにマッサージしてあげるなど、心地よい状態になるようにしてあげてください。

そのほかには、あせもや湿疹、アトピー性皮膚炎など、肌のかゆみが原因ということもあります。体の状態をよく観察し、必要であれば病院を受診し、治療薬を塗るなどのケアをしましょう。

▼対策2:環境を変えてみる


長い時間抱っこをしてるのに、どうしても寝てくれない! そんな時は、寝かしつけの環境を変えてみましょう。

お天気が良い日であれば外に出て、お庭や家の近所を散歩するのも良いですし、思いきって車でドライブも良いでしょう。車の揺れを心地よく感じて、赤ちゃんが寝てくれることもあります。ママにとっても良い気分転換になることでしょう。

▼対策3:添い寝する


赤ちゃんの体をトントントンとリズムよく指先でたたいてみたり、背中をやさしくさすりながら添い寝をしてみましょう。気持ち良くなった赤ちゃんの呼吸が次第に深くなり、うとうととしてくることがあります。

ママの呼吸や鼓動のリズムがおなかの中にいたころの環境と近い刺激となり、心地よく眠りにつく子もいます。

▼対策4:抱き方を変えてみる


抱っこは縦抱きが好きな子もいれば、横抱きが落ち着く子もいるなど、その子によって好みが違います。しばらく抱っこでゆらゆらしても寝ない場合は、抱き方をいろいろ変えてみましょう。

また、ママの体がつらくならないような工夫も必要です。汗ばむ日には腕にガーゼを巻いてみたり、ママがラクな態勢でいられるように、腰や腕にクッションを挟むなどすると良いでしょう。時にはゆりかごやゆらゆらと揺れるベッドなども使ってみましょう。

対策5:寝かしつける人がリラックスできるようにする


考えられる不快な原因はすべて確認したけれど、寝てくれない…という日もあるでしょう。不安になったりイライラしたりするママの気持ちもわかります。でも、そんなママの気持ちが赤ちゃんに伝わっては、どちらもつらくなってしまいます。

ですから気長にゆったりとした気持ちで向き合いましょう。ママの気持ちが穏やかになると、赤ちゃんがうとうととし始め、気づいたら寝ていたということもあるものです。

■まとめ



なぜ赤ちゃんが寝ないのかは赤ちゃんにしかわかりません。紹介した対策は、あくまでも赤ちゃんの気持ちを推測したものでしかありません。

しかし、これらは子育てを経験したうえで、有効だったことばかりです。新米ママは赤ちゃんとのコミュニケーションが始まったばかりなので、お互いに理解できないことも多いでしょう。

でも、いっしょに過ごす時間が長くなってくると、赤ちゃんからのサインもわかるようになり、上手に不快を取り除いてあげられるようにもなってきます。まずはひとつひとつ試してみてください。いろいろ試していくうちに赤ちゃんとの息も合うようになっていきます。

参考資料:
・厚生労働省『お母さんと子どものコミュニケーションのために』
・『広辞苑』(岩波書店)
・『はじめての妊娠・出産 最新版』(ベネッセコーポレーション)

(前川祐美子)

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