年をとるほど太ってしまう理由とは？　カギは「脂質」をとり込む速さにあり

年をとると起こる変化とは？

年をとるほど、肥満ぎみの人は増える傾向があるとわかっています。2016年の厚生労働省国民健康・栄養調査によると、肥満傾向となるBMI25以上の人は20代の場合、男性が25.7％、女性で9.5％ですが、年齢層が上がるほどその比率は上がり、50代にはそれぞれ36.5％、21.3％になります。食生活や運動などさまざまな要因はあるでしょうが、太った人の割合が確実に多くなっていくのです。その背景には、年をとるほど体重が増えやすくなる面もあると見られます。

このたびスウェーデンの研究グループは、年をとるほどやせづらくなるメカニズムを詳しく調べるために、54人の男女の脂肪細胞を13年間にわたって分析。年をとるにつれて、肥満につながるような変化が起こるのかを詳しく調べました。

脂肪の新陳代謝が減っていく

その結果、わかったのは、脂肪の組織のなかで、脂肪をとり込み、消費するという新陳代謝のサイクルが低下しているということでした。体重が増えた人でも、減った人でも同じようにこうしたサイクルが遅くなってしまう変化が見られたのです。この脂肪の新陳代謝の低下に合わせて、食べる量を減らさないと、平均して体重が20％増えてしまうという結果に。
さらに分析によって、脂肪細胞において、脂質の消費が速いかどうかではなく、脂質をとり込むペースが速いかどうかが体重の減少につながることもわかりました。脂肪の組織が脂質を盛んにとり込むことで体重の減少につながる面があるようです。年齢を重ねるにつれ、体重が増えてしまう背景には脂質をどう使うかという点にあったのです。

なお、研究グループは、こうした脂質の回転を速める手段としては運動が重要と説明。年齢とともに起こるこうした変化を踏まえて、ダイエットやフィットネスにとり組むことが体重増加を避けるために大切だといえるでしょう。

＜参考文献＞

New study shows why people gain weight as they get older
https://news.ki.se/new-study-shows-why-people-gain-weight-as-they-get-older

Nat Med. 2019 Sep;25(9):1385-1389. doi: 10.1038/s41591-019-0565-5. Epub 2019 Sep 9.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/31501613